夫の様子がおかしいです

ララ

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第四話

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それからマーカスは傍若無人の限りを尽くした。
使用人たちにバレてしまわないように誤魔化し続けてきた私だが、十日経った今となっては、バレるのも時間の問題だろう。

表面上はマーカスは急病で仕事を休職していることになっているが、そろそろ皆怪しみ出す頃合いだろう。

十日前のことを思い出し頭が痛くなってきた私は、寝室のベッドで再び眠りについた。

「おい、起きろ。朝だぞ」

誰だろう……この声、マーカス!?
もしかして悪魔が消えたのかしら。

目を開けた私は、悪魔のような瞳のマーカスにがっくりと肩を落とす。
どうやらまだ悪魔は消えていないようだ。

「おい、奴隷に料理をさせるように言え。俺がたくさん食いすぎるからって言うことを聞かなくなった」

「自業自得じゃない。これを機に断食でもしたら?それと料理人は奴隷じゃないわ!間違えないで!」

「ふん、生意気な女め……いいからさっさと料理を作るように言ってこい。俺は腹が減った」

「……いい加減にしてよ。毎日毎日働きもせず食って寝て……そのお金がどこから出ているのか考えたことある?私やマーカスが汗水垂らして働いたから今の生活が出来ているのよ」

まるで母親が息子を叱る時のように、私は口を酸っぱくする。

「そんなに何か食べたいのなら働きなさい!」

「……」

私の言葉にマーカスは何か考えこんでいるようで、押し黙ってしまう。

「な、なによ……何か言ったら?」

そのまま沈黙が数秒続き、マーカスはニヤリと笑みを浮かべた。

「ならお前の望み通り働いてやろう。あまり動かないと体もなまるからな」

そう言ってマーカスは寝室を出て行こうとする。

「ちょっと待って!急にどうしたのよ!あなたみたいな悪魔が本当に働けるの?」

疑問がとめどなく溢れ、口から噴き出した。
マーカスは顔だけ私の方へ向けると、不気味な笑みを浮かべた。

「約束しろよ。俺が働いたら料理人に食事を用意させろ。いいな?」

「……いいわよ。悪魔にそれができるのならね」

「ふん、言うようになったじゃないか」

彼はそう言い残すと、足早にその場を去っていった。
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