もう別れましたよね?

ララ

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第十話

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「お父様、この土地を買ってくださいませんか?」

家に帰った私は早速父にお願いをする。
困惑したように父が首を傾げる。

「急にどうしたんだいカイラ……その土地に何かあるのかい?」

「実は……ここに海賊の残した秘宝が眠っていると言われているんです、ほら、この前の新聞にも財宝が出たとありましたでしょう?この土地にも同じように何かが眠っているんです!」

「何か……?ふ、ふふっ……はははっ!」

父は豪快に笑うと、冗談だろとでも言いたげな目を私に向ける。

「お父様、私は真剣なんですけど……」

「悪い悪い。そんなつもりじゃなかったんだ。でもカイラ……噂はあくまで噂さ。信じない方が……」

「ふざけないでください!!」

私は思わず声を荒げていた。

「全責任は私が負います!この土地を買ってください!絶対後悔はさせません!」

「いや、しかし……値段的にも軽々と判断できるものではないし……」

「そうやって臆病だから周りの人間に舐められているのですよ!この際だから言っておきますけどね、お父様裏で色々な人に馬鹿にされてますからね!」

私の言葉にショックを受けたのか、父は目を見開く。

「お父様!皆を見返すチャンスです!……大丈夫、その手の専門家に聞いた確かな情報です。私を信じてください!」

父は考えあぐねているようだったが、やがてため息をつくと、「分かった」と小さく言った。

「ありがとうございます、お父様」

それから二週間後。
父は土地を購入し、多額の費用をかけて地面を掘らせた。
新聞社も私たちの挑戦を知ると、是非記事にしたいと言ってきた。

全てが順調にいくと思われた。
少なくとも私はそう確信していた。

しかし……

地面を掘り始めて一年が経過するも何も出てこず、新聞社は興味が失せたように自然に消えていった。
応援してくれていた友人たちも離れていった。

二年が経つ頃には、もう誰もが諦めていた。
それは私自身でさえも……。

「カイラ、責任は取ってくれるんだよな?」

いつも温厚な父が厳しい目を私に向ける。

「……」

終わった……。

なぜあの時、私はあんなにも夢を見ていたのだろう。
マーガレットに勝ちたい一心で、現実をしっかり見れていなかったのではないか。

もし過去に戻れるなら私は自分を殴りたい。
ぼこぼこに話せなくなるまで殴ってやりたい。

本当に今はそう思う。
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