あなた方が悪いのですよ?

ララ

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第六話

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幼馴染のエルはいつも私を歓迎してくれる。 
家にいたくない時には、今日のように彼の部屋を訪れるのだ。 

「……新しいお母さんね。大変なんだなプリシラも」 

エルはベッドに寝転がりながら本を読んでいた。 
彼の両親は厳しく、毎日のように彼に勉強をしろと言っている。 
隙あらば本を買ってきて、それを読むように強いるのだ。 

「エルこそ大変だね。そんな分厚い本……私には読めないよ」 

「ははっ……読むだけなら誰でもできるよ。理解するのは難しいけどね」 

確かにそうだな、と納得しつつ、私はソファーにもたれた。 
この会話はタイムリープする前にはなかった。 
あの時は、父が私の意見なんて聞いてくれなくて、悔しくて二週間も自室に籠っていた。 

私の行動により少しだけ未来が変わったのだ。 
父は私の意見を聞いてくれ、ロマーヌのことを調べると言ってくれた。 

「それで、その新しいお母さんとは上手くやっていけそうなのかい?」 

エルが本から目を離した。 
宝石のような綺麗な瞳に思わずドキッとしてしまう。 

「いえ。絶対に上手くやっていけないわ。あの人の本性を私は知っているもの」 

「ふーん」 

エルは興味なさげにそう言ったが、頭の中では思考を巡らしているに違いなかった。 
本に目を戻すことなく、私をじっと見つめているから。 

「エルこそ……学校を卒業したらお父さんの事業を継ぐのでしょう?大丈夫なの?」 

お返しよと言わんばかりに、そう言ってみると、彼は苦笑した。 

「分からないよ。未来のことは誰にも分からない。今の僕は何とかなると思っているけど、その時になったら予想外の出来事が起こるかもしれない。僕は魔法使いでもなければ、ただの勉強好きな子供だからね。未来までは視えないよ」 

「えっと……つまり……」 

彼の言っていることを要約しようとしたが、すぐに諦めた。 
私もふっと笑みを浮かべると、彼に言う。 

「何とかなるってことね!」 
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