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脱衣場に戻ると、真新しい部屋着の上下が置かれていた。大人のエチケットとはこれか? と、詩織は仁の恋愛偏差値の高さに脱帽した。パステルブルーとホワイトのストライプ柄のふわふわした部屋着は、そこらの量販店で買えるものでは無い。
よくよくみると、某有名ブランドのロゴ。詩織は恐る恐るそれに袖を通す。
サイズもぴったりだった。
「大人のエチケットすごい……」
ぽつりと呟いたあと、鏡と向き合う。ぺちぺちと頬を二回叩いた後、よしっと小さく呟いた。
念入りにスキンケアをし、お手軽メイクのBBクリームを塗り、まゆげだけ整える。そして、髪を乾かしたあと、ゆっくりとリビングに通じる廊下を歩く。
足音を立てないようにしたのは、仁に自分が今どんな気持ちが悟られてしまわぬようにだった。いい歳をした大人が、緊張しているなどと改めて気づいて欲しくなかったからだ。
明かりの漏れる部屋に続くドアをあける。すると、なにやら思案顔でパソコンと向き合う仁の姿が飛び込んできた。店にいた時につけていたエプロンを外し、シャツとシンプルな黒のパンツ。それに、珍しく眼鏡をかけている。PC用レンズだろうかとまじまじ見つめていると、詩織の視線に気づいた仁と目が合った。
「……お先にいただきました」
「ああ。おかえり。あったまった?」
「はい。ボディソープがとってもいい香りでした」
なんてことない笑顔で迎えられた。詩織はドキドキしながら、部屋着を指さす。
「あの、これ……」
「気に入った? すごく似合うよ。買ってきてよかった」
「いま、買ってきたんですか?」
「そうだよ。ここの近くにルームウェア専門店があるの知ってる?」
「……はい」
仁が口にしたルームウェア専門店は、先程ロゴを見た時から気づいていた。もちろん、近所に店舗があるのも知っている。可愛いと思いながらも、年齢的に難しいのでは……と素通りしていた店だ。
「そこの営業さん、よくうちのコーヒー飲みに来るんだ。今日も昼間来て、遅くまで仕事だーってボヤいてたから。特別に。ね?」
何が、「ね?」なのだろうか。仁の顔の広さと大胆さに、詩織は目を見張る。今詩織が着ているものは、仁が買ってきてくれたもの。思わぬプレゼントに、頬が緩み、にやけてしまう。
「言っておくけど、そこの営業さんもよく時間外に来るからおあいこなんだよ?」
「そうなんですね」
ふふ、と笑みがこぼれる。先程まで緊張して仕方がなかったが、店にいた時のような会話に、少なからず安堵してしまう。
「さて」
マスターがテーブルから立ちあがる。いよいよかと思い、詩織ら身を縮こまらせた。すると、くすくすと笑う声が近くで聞こえた。
「僕も入ってくるよ。」
すれ違いざまに、頭をぽんと撫でられた。
「ゆっくりしててね」
そう言って仁は今、詩織が出てきた風呂場に向かっていった。
「……もう、心臓が爆発しそう……」
可愛いルームウェアに、仁の気配がするリビング。見ても構わないと言わんばかりに開かれたパソコン。思わず覗きみると、詩織には全く理解できない数字が並んでいた。かがめた腰を伸ばし、ぐるりと辺りを見回す。
奥に扉が見えるため、もしかしたらそこが寝室なのかもしれない。詩織はなんとも落ち着かない気持ちでリビングをウロウロとする。先程は足音を立てないようにと気をつけていたが、今そんな余裕すらなかった。
毛足の長いダークブラウンのラグとモスグリーンの二人がけソファ。それを見つけた詩織は、ゆっくりと歩みを進める。そして、思い切ってソファに腰かけた。
すると、ふわりと漂う、コーヒーの香り。
――あ、仁さんの香りだ。
カモミールの香りもいいが、詩織にとって仁といえばコーヒーの香りだった。ゆっくり深呼吸するように、香ばしい香りを楽しむと、少しだけリラックスできた。しばらく香りの余韻に浸っていると、リビングのドアが開いた。
「あ……っ」
「ただいま」
仁ががしがしとタオルで頭を拭いている。ただそれだけで、詩織にとって驚きの対象だった。
穏やかな仁の粗野な行動。また違う印象は、詩織の恋心をくすぐる。
「さて。さっき詩織ちゃんが僕に言った時間から五十七分」
「……意外と細かいんですね」
「言っただろう?」
年甲斐もなく、浮かれてるんだって。
息を吹き込まれるように耳元で囁かれる。小さな声とともに、体がびくりと跳ねた。
「まだ緊張してる? でも、すごくかわいい」
流れるように飛び出す褒め言葉に、詩織の鼓動が早くなった。思わず待って欲しいと口にしようとするも、耳たぶを舐められる。思わず体を強ばらせると、ゆっくりと抱きしめられた。
「……同じ匂いがする」
「……あ、」
首筋に顔を埋められ、仁がすんすんと鼻を動かしていた。それがどうにも擽ったく、詩織の口から笑いが漏れてしまう。
「ふふ、くすぐったい」
「ここ、弱いのかな?」
楽しそうな声色と共に、仁がまた顔を埋めた。小さく息を吹きかけられ、詩織はまた笑う。
「ふふ、やだ……だめ」
「ダメなの? 僕はすっごく楽しい」
他愛のない戯れかと思いきや、今度はべろりと舐められた。擽ったさの向こうにある快楽に気づいた詩織は、甘い声が漏れ出た。
「あっん……」
「やっぱり。弱いんだ」
ちゅ、とリップ音が聞こえる。首筋に吸いつかれ、幾度となく唇が落とされた。その度に詩織の口から甘い声が漏れでる。先程の戸惑いなどどこへ行ったのか、詩織は仁からの愛撫を受け入れていた。
「んん、いじわる……」
「意地悪なのは詩織ちゃんのほうだ」
「……ええ? わたし?」
「そう」
鼻先にキスされる。そして『意地悪』の理由を答えることなく、仁が唇を重ねてきた。しっとりと水分を含んだ唇が詩織のものを軽く食む。漏れ出る声と共に薄く口を開くと、ぬるりと舌が入り込んできた。驚きに逃げる詩織の舌を追いかけてくる。そのうち舌が重なり合い、水音が広いリビングに響いた。
合間に漏れる声に甘さが加わる。ゆっくりと抱きしめられ、逃げられない。詩織も仁の背中に腕を回す。 角度を変えて、またキス。鼻先がぶつかるが、今度は笑いが起きなかった。一瞬でも離れると、互いが求め合う。もどかしさが詩織の中に渦巻いていた。
ぎゅうっと抱きしめると、どうして今服を着ているのだろうともどかしく感じていた。
キスの合間に、愛を囁かれる。それが嬉しくて、詩織も応える。それはキスであったり、言葉であったり、身を預けたりなど様々だ。
「散々焦らして……今もこうして無邪気に僕を煽るんだ」
「……ひと、しさん?」
「同じ匂いとか、やばい」
このまま、まざって、溶けてしまいたい。
そっと耳元で囁かれる。
好きだよ、愛しているよ。そんな愛の言葉よりもずっと強烈だった。耳の奥に媚薬を流し込まれてよう。そんな熱のこもった囁きだった。
――足りない……
詩織は無意識に太ももを擦り合わせる。
「詩織ちゃん」
キスの嵐が止み、硬い声で名前を呼ばれる。自分のしていた事に気づき、俯く。すると、顎を持ち上げられ、視線を合わされた。
「もう、いいんだよね?」
いいも何も。散々焦らしたのは自分だったが、その確認すらも焦れてしまう。
「……はい」
その返事が終わる前に、また、唇を塞がれた。
詩織が懇願した数十分が終わる。
よくよくみると、某有名ブランドのロゴ。詩織は恐る恐るそれに袖を通す。
サイズもぴったりだった。
「大人のエチケットすごい……」
ぽつりと呟いたあと、鏡と向き合う。ぺちぺちと頬を二回叩いた後、よしっと小さく呟いた。
念入りにスキンケアをし、お手軽メイクのBBクリームを塗り、まゆげだけ整える。そして、髪を乾かしたあと、ゆっくりとリビングに通じる廊下を歩く。
足音を立てないようにしたのは、仁に自分が今どんな気持ちが悟られてしまわぬようにだった。いい歳をした大人が、緊張しているなどと改めて気づいて欲しくなかったからだ。
明かりの漏れる部屋に続くドアをあける。すると、なにやら思案顔でパソコンと向き合う仁の姿が飛び込んできた。店にいた時につけていたエプロンを外し、シャツとシンプルな黒のパンツ。それに、珍しく眼鏡をかけている。PC用レンズだろうかとまじまじ見つめていると、詩織の視線に気づいた仁と目が合った。
「……お先にいただきました」
「ああ。おかえり。あったまった?」
「はい。ボディソープがとってもいい香りでした」
なんてことない笑顔で迎えられた。詩織はドキドキしながら、部屋着を指さす。
「あの、これ……」
「気に入った? すごく似合うよ。買ってきてよかった」
「いま、買ってきたんですか?」
「そうだよ。ここの近くにルームウェア専門店があるの知ってる?」
「……はい」
仁が口にしたルームウェア専門店は、先程ロゴを見た時から気づいていた。もちろん、近所に店舗があるのも知っている。可愛いと思いながらも、年齢的に難しいのでは……と素通りしていた店だ。
「そこの営業さん、よくうちのコーヒー飲みに来るんだ。今日も昼間来て、遅くまで仕事だーってボヤいてたから。特別に。ね?」
何が、「ね?」なのだろうか。仁の顔の広さと大胆さに、詩織は目を見張る。今詩織が着ているものは、仁が買ってきてくれたもの。思わぬプレゼントに、頬が緩み、にやけてしまう。
「言っておくけど、そこの営業さんもよく時間外に来るからおあいこなんだよ?」
「そうなんですね」
ふふ、と笑みがこぼれる。先程まで緊張して仕方がなかったが、店にいた時のような会話に、少なからず安堵してしまう。
「さて」
マスターがテーブルから立ちあがる。いよいよかと思い、詩織ら身を縮こまらせた。すると、くすくすと笑う声が近くで聞こえた。
「僕も入ってくるよ。」
すれ違いざまに、頭をぽんと撫でられた。
「ゆっくりしててね」
そう言って仁は今、詩織が出てきた風呂場に向かっていった。
「……もう、心臓が爆発しそう……」
可愛いルームウェアに、仁の気配がするリビング。見ても構わないと言わんばかりに開かれたパソコン。思わず覗きみると、詩織には全く理解できない数字が並んでいた。かがめた腰を伸ばし、ぐるりと辺りを見回す。
奥に扉が見えるため、もしかしたらそこが寝室なのかもしれない。詩織はなんとも落ち着かない気持ちでリビングをウロウロとする。先程は足音を立てないようにと気をつけていたが、今そんな余裕すらなかった。
毛足の長いダークブラウンのラグとモスグリーンの二人がけソファ。それを見つけた詩織は、ゆっくりと歩みを進める。そして、思い切ってソファに腰かけた。
すると、ふわりと漂う、コーヒーの香り。
――あ、仁さんの香りだ。
カモミールの香りもいいが、詩織にとって仁といえばコーヒーの香りだった。ゆっくり深呼吸するように、香ばしい香りを楽しむと、少しだけリラックスできた。しばらく香りの余韻に浸っていると、リビングのドアが開いた。
「あ……っ」
「ただいま」
仁ががしがしとタオルで頭を拭いている。ただそれだけで、詩織にとって驚きの対象だった。
穏やかな仁の粗野な行動。また違う印象は、詩織の恋心をくすぐる。
「さて。さっき詩織ちゃんが僕に言った時間から五十七分」
「……意外と細かいんですね」
「言っただろう?」
年甲斐もなく、浮かれてるんだって。
息を吹き込まれるように耳元で囁かれる。小さな声とともに、体がびくりと跳ねた。
「まだ緊張してる? でも、すごくかわいい」
流れるように飛び出す褒め言葉に、詩織の鼓動が早くなった。思わず待って欲しいと口にしようとするも、耳たぶを舐められる。思わず体を強ばらせると、ゆっくりと抱きしめられた。
「……同じ匂いがする」
「……あ、」
首筋に顔を埋められ、仁がすんすんと鼻を動かしていた。それがどうにも擽ったく、詩織の口から笑いが漏れてしまう。
「ふふ、くすぐったい」
「ここ、弱いのかな?」
楽しそうな声色と共に、仁がまた顔を埋めた。小さく息を吹きかけられ、詩織はまた笑う。
「ふふ、やだ……だめ」
「ダメなの? 僕はすっごく楽しい」
他愛のない戯れかと思いきや、今度はべろりと舐められた。擽ったさの向こうにある快楽に気づいた詩織は、甘い声が漏れ出た。
「あっん……」
「やっぱり。弱いんだ」
ちゅ、とリップ音が聞こえる。首筋に吸いつかれ、幾度となく唇が落とされた。その度に詩織の口から甘い声が漏れでる。先程の戸惑いなどどこへ行ったのか、詩織は仁からの愛撫を受け入れていた。
「んん、いじわる……」
「意地悪なのは詩織ちゃんのほうだ」
「……ええ? わたし?」
「そう」
鼻先にキスされる。そして『意地悪』の理由を答えることなく、仁が唇を重ねてきた。しっとりと水分を含んだ唇が詩織のものを軽く食む。漏れ出る声と共に薄く口を開くと、ぬるりと舌が入り込んできた。驚きに逃げる詩織の舌を追いかけてくる。そのうち舌が重なり合い、水音が広いリビングに響いた。
合間に漏れる声に甘さが加わる。ゆっくりと抱きしめられ、逃げられない。詩織も仁の背中に腕を回す。 角度を変えて、またキス。鼻先がぶつかるが、今度は笑いが起きなかった。一瞬でも離れると、互いが求め合う。もどかしさが詩織の中に渦巻いていた。
ぎゅうっと抱きしめると、どうして今服を着ているのだろうともどかしく感じていた。
キスの合間に、愛を囁かれる。それが嬉しくて、詩織も応える。それはキスであったり、言葉であったり、身を預けたりなど様々だ。
「散々焦らして……今もこうして無邪気に僕を煽るんだ」
「……ひと、しさん?」
「同じ匂いとか、やばい」
このまま、まざって、溶けてしまいたい。
そっと耳元で囁かれる。
好きだよ、愛しているよ。そんな愛の言葉よりもずっと強烈だった。耳の奥に媚薬を流し込まれてよう。そんな熱のこもった囁きだった。
――足りない……
詩織は無意識に太ももを擦り合わせる。
「詩織ちゃん」
キスの嵐が止み、硬い声で名前を呼ばれる。自分のしていた事に気づき、俯く。すると、顎を持ち上げられ、視線を合わされた。
「もう、いいんだよね?」
いいも何も。散々焦らしたのは自分だったが、その確認すらも焦れてしまう。
「……はい」
その返事が終わる前に、また、唇を塞がれた。
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