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なまのお供といえば?

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 枝豆始めました。

 本日のオススメメニューの中に大きく書かれた文字を、美貴子は声に出して読み上げる。

「えだまめ!」

 一拍置いて出た声は思いのほか大きくなってしまった。

「そうだよ。今年もこの季節がやってきたね」

 洗い物をしていた女将の明るい声が返ってくる。冷たいおしぼりで手を拭きつつ、美貴子はぷちぷちと弾ける枝豆の食感を想像する。

 夏。
 熱い。
 熱い日にはビール。
 ビールはやっぱり生ビール。
 生ビールのお供といえば。

「枝豆ください! あと、なま! 生ひとつ!」

 あいよぉ! といつも通り大将の元気な声。美貴子は口の中で弾ける豆の感触と、冷たくキンキンに冷えた生ビール。これ以上の組み合わせがあるだろうか。いや、ない。調子の外れた鼻歌を歌いながら、美貴子は運ばれてくるであろう枝豆と生ビールに思いを馳せる。

「なま、なまなま、やっぱりなま~合わせるのはぷちぷち、くりくりおまめちゃん~」


 外れた鼻歌にいつしか歌詞が乗る。ひとしきり歌い終わると、隣の椅子が大きな音を立てた。

「あ、高城さん」
「こんばんは。美貴子ちゃん。今日は早いね」
「はい! 早く終わったので先に来ちゃいました!」

 美貴子の隣で、目を細めて微笑むのは、美貴子の恋人である高城だった。真夏日だったにも関わらずかっちりとしたスーツ姿だ。しかし、隣に座る高城の姿は、朝出てきた時と変わらず涼しげだ。本当に一日働いたのかと疑いたくなる。

「今日は一日外回りだったから。大将。僕にも生をひとつ」
「え!?」
「ん? どうしたの?」
「朝とほとんど出で立ちが変わらないから……外回りだったんですね」

 美貴子の返答に、高城はきょとんと目を丸くしたあと、くつくつと笑い出した。

「美貴子ちゃんに会えるから整えてきたとは思わないの?」
「っ、ひぇ! イケメンの威力……!」

 化粧崩れも直さず、真っ直ぐに店に向かった美貴子。自分の様形が恥ずかしくなったのな、慌てて前髪を直す。無駄だと思っていても、なにかせずにはいられなかった。

「はいよ! 生と枝豆ね!」

 曇ったグラスになみなみと注がれた生ビールと木ざるに入った枝豆が、俯く美貴子の前に置かれる。大好きな二つが目に入った瞬間、美貴子の頭の中から今の出来事が追い出された。

「ふぁー! いただきます!」

 大ジョッキの取っ手はキンキンに冷えていた。ほてった体を覚ます冷たさに、美貴子は一瞬身震いをする。そして、勢いよくジョッキを傾け、これまた冷えた生ビールを勢いよく流し込む。
 
「っ、ぷはー!」

 半分ほど飲んだところで、ジョッキをテーブルに置く。そして爽やかな苦味が無くなる前に、枝豆を口にくわえた。一粒ずつなんてお行儀よく食べていられない。大きな房の中に隠れていた三つの豆を、口の中に押し出していく。

「んっ、んんー!」

 ぷちぷたと口のなかで弾ける食感は、想像以上だった。

「枝豆出たんだね」
「んっ、ごめんなさい。独り占めしちゃった! やっぱり生にはお豆ですよね~」

 頬杖をついてこちらを見つめる高城に気がつく。一人ではしゃいでしまったことを恥じながら、美貴子は枝豆山盛りの木ざるを高城の方に寄せる。

「じゃ、ひとつ」

 高城の長い指が房をつまむ。その指を見て、美貴子は昨晩の情事を思い出してしまった。長い指で蜜壷の奥を責め立てられた昨晩を。

「っ、」
「ああ、いいね。夏が来たって感じだ」
「ですよね! やっぱり夏は、おっきいなまと、ぷちぷちくりくりおマメちゃんですよね!」

 美貴子が大きな声で反応した瞬間。高城の鋭い目がさらに細められた。

「おっきいなまと、クリクリおマメちゃん……ね」

 美貴子は涼しい店内にも関わらず、背中に一筋の汗が流れるのを感じた。


□□


「あっ、いや、んんっ! だ、だめ……」
「ほら、好きなんでしょ? くりくりおまめちゃん」

 ちがう! と否定するはずの声は、喘ぎ声に飲み込まれた。冷たいビールジョッキを持った時よりもずっとずっと刺激的な感覚が美貴子を襲ったからだ。その刺激を与えた人物は美貴子秘部に顔を埋めている。少し下を見ると、美貴子の愛液で濡れた唇を舌で舐めとっていた。

「いや、いや……しゃわーも、浴びてないのに」
「夏はやっぱりこれなんでしょう? 美貴子ちゃん。僕は言ったよね? 迂闊な言葉を言わないようにと」

 かり、と甘噛みされる。もちろん、腕や首など生易しい場所ではない。今までさんざん喘がされて来た元凶だ。

「ひぃァァァっ!」

 なおもまだ、食まれている場所。高城を苛立たせた、美貴子のうかつな一言 くりくりお豆ちゃんから想像できる場所。

 くりくりおまめちゃんクリトリスだ。

「何度言ったら分かるのかな?」
「わざ、とじゃ……」

 抵抗を口にすると、強い刺激が全身を駆け巡る。食まれると同時に、長い指が蜜壷に挿入されたからだ。

「ん、ぐっ!」
「好きなんでしょ? すっごいぐっしょぐしょだよ? やっぱりナマがいいのかな?」

 中と外。両方の刺激に、美貴子は口の端からよだれを垂らし喘いだ。そんな美貴子を嘲笑うように、高城は美貴子のおマメクリトリス を責める。

「あ、ぁあぁ……っん、んんはぁ……っ」
「美貴子ちゃん? 何が欲しい?」

 ブラジャーからはみ出た乳房がふるりと揺れる。さんざん弄られた先端の蕾は、ピンと立ち上がり、存在を主張していた。高城のもう片方の手が蕾をこねた。中と外と、胸と。三ヶ所を同時に責められ、美貴子の思考は遥か彼方へ飛んでしまっていた。

「なま……」
「ん?」
「なま、なま……おっきいなま、ください!」

 よくできました、と笑う高城。それを見た美貴子は涙混じりの瞳を細めて、同じように笑った。もっと気持ちがいい時がやってくる。その喜びを想像した笑みだった。
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