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再会の巻
俺ってヤバいやつだよ。知ってた?
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望くん視点です。
産まれた時からずっとお姉さん。俺はずっと弟。年下。幼馴染。子供。
あっちゃんと最後の記憶があるのは三歳の時。初めておしっこがトイレで出来るようになった時だ。その時のことは、今でも鮮明に覚えている。成功した時に、目の前にいたのは母親でなく、あっちゃん……渥美だった。あっちゃんは手を叩いて喜んでいた。
「望!おしっこシーできたね!」
褒められて嬉しかったのと同時に、凄まじい羞恥心が湧き上がってきた事を覚えている。
きっとあれは、好きな女にとって自分が子供だという事を思い知らされたからだ。
思えば俺はこのころから初恋を拗らせてきたんだと思う。
二つ上のまこにぃ、四つ上の渥美、六つ上のかえにぃ。いつもこの四人で一緒にいた。渥美は所詮幼なじみという存在だった。
一番下の俺はみんなに可愛がられた。自分で言うのもなんだが、俺は天使の様に可愛かった。特に渥美の俺への可愛がりは凄まじく、いつも一緒だった。俺は渥美に育てられたと言っても過言ではない。
何てったって、初めて喋った言葉が『あーちゃ』だったらしい。これは未だに母親に恨み言を言われる。それならば渥美に任せなければいいのにとも思ったが、今となってはそんな母親に感謝している。
生まれたときから人の多い環境で育った俺は、周りの人間をよく見て過ごしていた。兄の習い事の付き添いや、仕事、家事に忙しい両親に甘えることは中々難しく、色々な事を我慢することが多かった。
けれども、俺の親代わりといっても過言ではない渥美は、俺の変化に敏感だった。
少し具合が悪いかな?と思うとすぐに気づかれた。それは歳を重ねても変わらなかった。
自分の事を親よりも分かってくれる異性。そんな女を好きにならないわけなかった。
「あ、ぁっ!のぞみぃ……」
「渥美……あつみっ」
初めて渥美を抱いてから止まらなくなった。
渥美の腰を掴んだ俺の指が食い込むほど力を入れ、自身を叩きつける。痛みと快感に渥美が顔を歪めた。
たまらない。快楽に抗おうとする渥美に、駄目押しのキスを落とす。嬌声を抑えることなく渥美は喘いだ。
その声は俺の脳天を突いて、シナプスを通じで全身に快感を伝えてくれる。
はぁっと息を一つ吐き、スパートをかける。じゅっと渥美の中から蜜が溢れると同時に、きゅうっとナカが締まった。その刺激に抗う事なく、自身の熱を放出した。
びくびくと渥美のナカも痙攣しており、渥美も達したのがわかる。
「あ……中に……」
あの日以来避妊はしている。ただ、生理の前日だけこうして全てをぶちまける。
俺としては直ぐにでも子供が欲しいが、渥美はそれに躊躇している。きっと俺を利用して自尊心を満たしている事が気になっているんだろう。
俺が側にいるようになってから、渥美はとても柔らかい表情をするようになった。前の凝り固まった表情を崩してグズグズにするのも楽しかったが、素直な渥美はもっと可愛い。
最高のタイミングだったと思う。日を追うごとに渥美が俺に堕ちてくるのがわかる。
長かった。あの日から今日が来るまで……
「……のぞみぃ……」
「どうしたの?渥美」
「のどかわいた……」
動けないのか、横になったまま可愛くおねだりをしてくる。
「ん、待ってて」
ベッドから立ち上がり、冷蔵庫へと向かう。渥美のために買った硬水のミネラルウォーター。キャップを捻って渥美の好きなパンダの絵がついたコップに注ぐ。
ぐるりとキッチンを見回すと、渥美のお気に入りの調理器具、キッチン用品、賃貸にしては珍しい横に三つに並んだIHコンロ、彼女の白魚の様な手を守るための食洗機、有名メーカーのベッド、ソファ、ラグ。もちろん食器もすべて渥美の好みのもの。
部屋を見渡し、自然と口元が緩く弧を描いた。小さい頃から彼女の好みを知り尽くしている俺が、彼女にとって居心地のいい空間を作る事は簡単だった。
初めて渥美を部屋に連れて来た時に、きらきらと目を輝かせていた事を俺は忘れない。
それ以降、俺の家は彼女にとっての城となった。殆どの日数を渥美はここで過ごしている。俺の画策した通りに。
正攻法ではない。ここまでしなくても、彼女はきっと俺から離れていく事はない。
でも、怖かった。
子供の頃に経験したあの事を思い出すと心が凍ってしまいそうになる。
もし、同じようなことがあれば、今度こそ俺は壊れてしまうかもしれない。
握りしめていたミネラルウォーターを飲み干し、ぐしゃりとボトルを握りしめる。
それをゴミ箱へ、投げ捨てる。ゴミと一緒に渥美への気持ちも捨てられたら楽になれる。そんな風に考えたことは一度や二度ではない。捨てることなど出来ないと知っている俺は、今度こそ渥美を手に入れて見せる。
俺には似合わないパンダのコップを持って、愛しい人が待つ部屋へと戻った。
産まれた時からずっとお姉さん。俺はずっと弟。年下。幼馴染。子供。
あっちゃんと最後の記憶があるのは三歳の時。初めておしっこがトイレで出来るようになった時だ。その時のことは、今でも鮮明に覚えている。成功した時に、目の前にいたのは母親でなく、あっちゃん……渥美だった。あっちゃんは手を叩いて喜んでいた。
「望!おしっこシーできたね!」
褒められて嬉しかったのと同時に、凄まじい羞恥心が湧き上がってきた事を覚えている。
きっとあれは、好きな女にとって自分が子供だという事を思い知らされたからだ。
思えば俺はこのころから初恋を拗らせてきたんだと思う。
二つ上のまこにぃ、四つ上の渥美、六つ上のかえにぃ。いつもこの四人で一緒にいた。渥美は所詮幼なじみという存在だった。
一番下の俺はみんなに可愛がられた。自分で言うのもなんだが、俺は天使の様に可愛かった。特に渥美の俺への可愛がりは凄まじく、いつも一緒だった。俺は渥美に育てられたと言っても過言ではない。
何てったって、初めて喋った言葉が『あーちゃ』だったらしい。これは未だに母親に恨み言を言われる。それならば渥美に任せなければいいのにとも思ったが、今となってはそんな母親に感謝している。
生まれたときから人の多い環境で育った俺は、周りの人間をよく見て過ごしていた。兄の習い事の付き添いや、仕事、家事に忙しい両親に甘えることは中々難しく、色々な事を我慢することが多かった。
けれども、俺の親代わりといっても過言ではない渥美は、俺の変化に敏感だった。
少し具合が悪いかな?と思うとすぐに気づかれた。それは歳を重ねても変わらなかった。
自分の事を親よりも分かってくれる異性。そんな女を好きにならないわけなかった。
「あ、ぁっ!のぞみぃ……」
「渥美……あつみっ」
初めて渥美を抱いてから止まらなくなった。
渥美の腰を掴んだ俺の指が食い込むほど力を入れ、自身を叩きつける。痛みと快感に渥美が顔を歪めた。
たまらない。快楽に抗おうとする渥美に、駄目押しのキスを落とす。嬌声を抑えることなく渥美は喘いだ。
その声は俺の脳天を突いて、シナプスを通じで全身に快感を伝えてくれる。
はぁっと息を一つ吐き、スパートをかける。じゅっと渥美の中から蜜が溢れると同時に、きゅうっとナカが締まった。その刺激に抗う事なく、自身の熱を放出した。
びくびくと渥美のナカも痙攣しており、渥美も達したのがわかる。
「あ……中に……」
あの日以来避妊はしている。ただ、生理の前日だけこうして全てをぶちまける。
俺としては直ぐにでも子供が欲しいが、渥美はそれに躊躇している。きっと俺を利用して自尊心を満たしている事が気になっているんだろう。
俺が側にいるようになってから、渥美はとても柔らかい表情をするようになった。前の凝り固まった表情を崩してグズグズにするのも楽しかったが、素直な渥美はもっと可愛い。
最高のタイミングだったと思う。日を追うごとに渥美が俺に堕ちてくるのがわかる。
長かった。あの日から今日が来るまで……
「……のぞみぃ……」
「どうしたの?渥美」
「のどかわいた……」
動けないのか、横になったまま可愛くおねだりをしてくる。
「ん、待ってて」
ベッドから立ち上がり、冷蔵庫へと向かう。渥美のために買った硬水のミネラルウォーター。キャップを捻って渥美の好きなパンダの絵がついたコップに注ぐ。
ぐるりとキッチンを見回すと、渥美のお気に入りの調理器具、キッチン用品、賃貸にしては珍しい横に三つに並んだIHコンロ、彼女の白魚の様な手を守るための食洗機、有名メーカーのベッド、ソファ、ラグ。もちろん食器もすべて渥美の好みのもの。
部屋を見渡し、自然と口元が緩く弧を描いた。小さい頃から彼女の好みを知り尽くしている俺が、彼女にとって居心地のいい空間を作る事は簡単だった。
初めて渥美を部屋に連れて来た時に、きらきらと目を輝かせていた事を俺は忘れない。
それ以降、俺の家は彼女にとっての城となった。殆どの日数を渥美はここで過ごしている。俺の画策した通りに。
正攻法ではない。ここまでしなくても、彼女はきっと俺から離れていく事はない。
でも、怖かった。
子供の頃に経験したあの事を思い出すと心が凍ってしまいそうになる。
もし、同じようなことがあれば、今度こそ俺は壊れてしまうかもしれない。
握りしめていたミネラルウォーターを飲み干し、ぐしゃりとボトルを握りしめる。
それをゴミ箱へ、投げ捨てる。ゴミと一緒に渥美への気持ちも捨てられたら楽になれる。そんな風に考えたことは一度や二度ではない。捨てることなど出来ないと知っている俺は、今度こそ渥美を手に入れて見せる。
俺には似合わないパンダのコップを持って、愛しい人が待つ部屋へと戻った。
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