滅びの国の王子と魔獣(挿絵あり)本編完結・以後番外編

結城 

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アリシア外伝・窓の外の雪 

アリシア外伝・窓の外の雪 12

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 こやつ、男の癖にどんだけ可憐に泣くのだ。
 私には到底、真似できない。

「でもねリオン。知らない事=恥ずかしいことってわけでもないのよ?
 むしろ知る楽しみがいっぱいあって素敵な事だと思うわよ~?
 恥ずかしいのはね『知ることを放棄する態度』だけよ。
 リオンは頭は良いし、掃除も上手い。長所がい~っぱいあるわ!
 地図だってすぐに読めるようになったじゃない。
 知らないことは、これから知っていけば良いのよ」

 そう言うと、リオンは涙をいっぱい溜めたまま顔を上げた。

 う。可愛い。
 こりゃ、エルがでろでろに甘やかすのも何かわかるわ。

 でもね、可愛いからといって甘やかしてそれで終わりって…………そんなのは私はおかしいと思う。
 可愛いからこそ厳しくしなきゃいけない時だってあるわけよ。

 エルはその辺をちっともわかっちゃいないけど。

 私は母さんにとても可愛がってもらった。
 だけど可愛がるだけじゃなくて、宿のお客さんたちに対する態度や、お買い物のときの礼儀もきちんと教えてくれた。

 小さい頃から何でも出来た方だったので、つい近所に住む愚図のハンスをからかって苛めたときなどは、ビンタを5発もくらってしまった。
 厳しいときは鬼のように厳しい母だったのだ。

 最後は私のせいで壊れてしまったけれど、幼い頃に愛情をもって躾けてくれたそのことに、私はとても感謝している。



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