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アリシア外伝・窓の外の雪
アリシア外伝・窓の外の雪 9
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「な……何をするのですかアリシアさん!! 汚いっ!!」
何をって…………普通吹くよ。誰でも。
信じがたいほど反射神経の良い弟君だが、さすがに近距離のうえ予想外だったようで避けられず、彼はまともに吹いた紅茶を浴びた。
こりゃ激怒するな。下手したら殺されるな、と思っていたら意外にもリオンはしょんぼりしたまま押し黙った。
「ゴメン、ゴメン! ついっ!!」
ハンカチで顔を拭いてやると、リオンは抵抗もせず、されるがままだった。
「あの、アリシアさん……一つ聞きたいことがあるのですけど……」
「はい?」
「前から少し疑問だったのですけど…………」
「うん?」
「何か変だなとは思っていたけれど…………」
「うん。それで?」
「ちょっと聞きづらいのですけど…………あの……その……」
いいからさっさと言えっ!
イライラするっ!!
「あの、僕と兄様ってちゃんと結婚できますよ、ね?
だって兄様は前に……『大きくなってもリオンの一番好きな人が俺のままだったら、リオンと結婚するよ』と、昔、僕におっしゃったのです……」
すがるような大きな瞳。
どんな美少女も顔負けの妖精のような可憐な姿。
そんなリオンに子犬みたいな瞳で見つめられ、涙を浮かべられたら嘘でも「うん」と頷きたく…………なるわけがない。
「無理に決まっているわよ」
私のセリフに、リオンはこの世の終わりのような顔をした。
何をって…………普通吹くよ。誰でも。
信じがたいほど反射神経の良い弟君だが、さすがに近距離のうえ予想外だったようで避けられず、彼はまともに吹いた紅茶を浴びた。
こりゃ激怒するな。下手したら殺されるな、と思っていたら意外にもリオンはしょんぼりしたまま押し黙った。
「ゴメン、ゴメン! ついっ!!」
ハンカチで顔を拭いてやると、リオンは抵抗もせず、されるがままだった。
「あの、アリシアさん……一つ聞きたいことがあるのですけど……」
「はい?」
「前から少し疑問だったのですけど…………」
「うん?」
「何か変だなとは思っていたけれど…………」
「うん。それで?」
「ちょっと聞きづらいのですけど…………あの……その……」
いいからさっさと言えっ!
イライラするっ!!
「あの、僕と兄様ってちゃんと結婚できますよ、ね?
だって兄様は前に……『大きくなってもリオンの一番好きな人が俺のままだったら、リオンと結婚するよ』と、昔、僕におっしゃったのです……」
すがるような大きな瞳。
どんな美少女も顔負けの妖精のような可憐な姿。
そんなリオンに子犬みたいな瞳で見つめられ、涙を浮かべられたら嘘でも「うん」と頷きたく…………なるわけがない。
「無理に決まっているわよ」
私のセリフに、リオンはこの世の終わりのような顔をした。
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