314 / 437
アリシア外伝・窓の外の雪
アリシア外伝・窓の外の雪 6
しおりを挟む
私は深呼吸を一つして、リオンにも通じそうな話し方を考えた。
よし、これでいこう!!
「あのねっ、リオンってい~っつもあのバ……じゃなくて素敵なお兄様に買い物してもらっているでしょう?
でも、あなたももうすぐ13歳。
それでいいの? ちょっとは恥ずかしく思ったりしないの?」
「誇らしいですっ!!! 素敵な兄様に色々買っていただけてっ!!!」
バカ弟は、それはそれは嬉しそうに胸を張って言いやがった。
絶句である。
「あのね、アリシアさん。この服もこのコートもマフラーも、それからこのカバンも、ハンカチもペンも小物入れも、靴下も靴も、全~部兄様が僕に買って下さったのですよっ!
兄様は本当に優しい方なのですっ!」
弾丸のように一気に話すと、リオンは満面の笑みを浮かべた。
そうだった。コイツは兄を褒めるときだけは他人にも笑うのだった。
「……ま、まさかパンツまで兄まかせじゃないでしょうね…………」
イヤミのつもりでボソッと呟くと、
「当然です!
今日のパンツは薄い水色に白のラインが入っていて、と~っても可愛いのですよっ!
それも兄様が吟味して……」
嬉しげに喋るリオンの口を慌ててふさいだ。そうして外に引きずっていく。
ああ、恥ずかしかった!!!
鉄の心臓を持つと言われる私だが、13歳にもなろうかという男の子が兄に買ってもらったパンツの柄を嬉しげに喋る場面には出くわしたことが無い。
それでなくとも美女の私と美少年のリオンは周りから常にチラチラ見られていて、さっきの会話も店中の人が聞き耳立てていたに違いない。
ああ、他人の振りしたいっ。
他人の振りしてダッシュで一人で帰りたいっ!!
しかし王の好意を無にするわけにもいかないし、今後リオンと仲良くなれる機会があるとも思えない。
我慢だ私……。
大人になれ私っ……!!
よし、これでいこう!!
「あのねっ、リオンってい~っつもあのバ……じゃなくて素敵なお兄様に買い物してもらっているでしょう?
でも、あなたももうすぐ13歳。
それでいいの? ちょっとは恥ずかしく思ったりしないの?」
「誇らしいですっ!!! 素敵な兄様に色々買っていただけてっ!!!」
バカ弟は、それはそれは嬉しそうに胸を張って言いやがった。
絶句である。
「あのね、アリシアさん。この服もこのコートもマフラーも、それからこのカバンも、ハンカチもペンも小物入れも、靴下も靴も、全~部兄様が僕に買って下さったのですよっ!
兄様は本当に優しい方なのですっ!」
弾丸のように一気に話すと、リオンは満面の笑みを浮かべた。
そうだった。コイツは兄を褒めるときだけは他人にも笑うのだった。
「……ま、まさかパンツまで兄まかせじゃないでしょうね…………」
イヤミのつもりでボソッと呟くと、
「当然です!
今日のパンツは薄い水色に白のラインが入っていて、と~っても可愛いのですよっ!
それも兄様が吟味して……」
嬉しげに喋るリオンの口を慌ててふさいだ。そうして外に引きずっていく。
ああ、恥ずかしかった!!!
鉄の心臓を持つと言われる私だが、13歳にもなろうかという男の子が兄に買ってもらったパンツの柄を嬉しげに喋る場面には出くわしたことが無い。
それでなくとも美女の私と美少年のリオンは周りから常にチラチラ見られていて、さっきの会話も店中の人が聞き耳立てていたに違いない。
ああ、他人の振りしたいっ。
他人の振りしてダッシュで一人で帰りたいっ!!
しかし王の好意を無にするわけにもいかないし、今後リオンと仲良くなれる機会があるとも思えない。
我慢だ私……。
大人になれ私っ……!!
0
お気に入りに追加
118
あなたにおすすめの小説



目覚ましに先輩の声を使ってたらバレた話
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
サッカー部の先輩・ハヤトの声が密かに大好きなミノル。
彼を誘い家に泊まってもらった翌朝、目覚ましが鳴った。
……あ。
音声アラームを先輩の声にしているのがバレた。
しかもボイスレコーダーでこっそり録音していたことも白状することに。
やばい、どうしよう。
【完結】幼馴染から離れたい。
June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。
βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。
番外編 伊賀崎朔視点もあります。
(12月:改正版)
読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭
1/27 1000❤️ありがとうございます😭


思い込み激しめな友人の恋愛相談を、仕方なく聞いていただけのはずだった
たけむら
BL
「思い込み激しめな友人の恋愛相談を、仕方なく聞いていただけのはずだった」
大学の同期・仁島くんのことが好きになってしまった、と友人・佐倉から世紀の大暴露を押し付けられた名和 正人(なわ まさと)は、その後も幾度となく呼び出されては、恋愛相談をされている。あまりのしつこさに、八つ当たりだと分かっていながらも、友人が好きになってしまったというお相手への怒りが次第に募っていく正人だったが…?

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる