310 / 437
アリシア外伝・窓の外の雪
アリシア外伝・窓の外の雪 2
しおりを挟む
そんな風に思っていたある日、私とリオンは王にお使いを頼まれた。
多分王が、見るに見かねて私とリオンが少しでも仲良くなれるよう、気を利かせて下さったのだろう。
一方、全く気の利かないエルは、私と弟のお出かけをまるで『今生の別れ』のように名残惜しんだ。
「王の命令じゃ仕方ないけど……リオンは町には慣れてないんだっ!
それに領地内にはゴロツキがいっぱいいるから、ちゃんと守ってやれよ?
絶対に目を離しちゃ駄目だからな!
迷子にならないように手を繋いで……いやいや、可愛いリオンと手をつないでいいのは俺だけだし。う~ん……」
「んじゃ、迷子紐でもつけとく?」
「何を言うんだっ!! 犬じゃあるまいし!!」
エルは美少年にはあるまじき事に、つばを飛ばしながらくってかかってきた。
「そうですよ。アリシアさんは本当に意地悪ですねっ!」
……いや、本当に意地悪だったら、迷子になろうと知ったこっちゃないんだけどね。
「リオン……可哀想に」
「兄様……ぐすん」
二人はひしっと抱き合った。
けっ! 馬鹿馬鹿しい。
たかが『お使い』ぐらいで、よくここまで盛り上がれるものだ。
それにオマエが必要以上にリオンを甘やかし、不憫がるから彼はあんなにも排他的になったのだ。
男ならびしっと突き放すべきところは突き放し、リオンを男らしく育ててやれよ。
あの子は今でさえ桁外れに強いんだから、上手く育てれば、ごつい男たちにさえ羨望の眼差しで見られるほどの『漢』にだってなれるっつーの。
まったく……やってらんねーよ、と思うが二人でのお使いは『王直々』の命令。
受けた以上はもう断れない。
顔だけ綺麗なアホ二人組みをどうにかこうにか丸め込んで、私とリオンは町の市場へと出発したのだった。
多分王が、見るに見かねて私とリオンが少しでも仲良くなれるよう、気を利かせて下さったのだろう。
一方、全く気の利かないエルは、私と弟のお出かけをまるで『今生の別れ』のように名残惜しんだ。
「王の命令じゃ仕方ないけど……リオンは町には慣れてないんだっ!
それに領地内にはゴロツキがいっぱいいるから、ちゃんと守ってやれよ?
絶対に目を離しちゃ駄目だからな!
迷子にならないように手を繋いで……いやいや、可愛いリオンと手をつないでいいのは俺だけだし。う~ん……」
「んじゃ、迷子紐でもつけとく?」
「何を言うんだっ!! 犬じゃあるまいし!!」
エルは美少年にはあるまじき事に、つばを飛ばしながらくってかかってきた。
「そうですよ。アリシアさんは本当に意地悪ですねっ!」
……いや、本当に意地悪だったら、迷子になろうと知ったこっちゃないんだけどね。
「リオン……可哀想に」
「兄様……ぐすん」
二人はひしっと抱き合った。
けっ! 馬鹿馬鹿しい。
たかが『お使い』ぐらいで、よくここまで盛り上がれるものだ。
それにオマエが必要以上にリオンを甘やかし、不憫がるから彼はあんなにも排他的になったのだ。
男ならびしっと突き放すべきところは突き放し、リオンを男らしく育ててやれよ。
あの子は今でさえ桁外れに強いんだから、上手く育てれば、ごつい男たちにさえ羨望の眼差しで見られるほどの『漢』にだってなれるっつーの。
まったく……やってらんねーよ、と思うが二人でのお使いは『王直々』の命令。
受けた以上はもう断れない。
顔だけ綺麗なアホ二人組みをどうにかこうにか丸め込んで、私とリオンは町の市場へと出発したのだった。
0
お気に入りに追加
118
あなたにおすすめの小説

新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。


思い込み激しめな友人の恋愛相談を、仕方なく聞いていただけのはずだった
たけむら
BL
「思い込み激しめな友人の恋愛相談を、仕方なく聞いていただけのはずだった」
大学の同期・仁島くんのことが好きになってしまった、と友人・佐倉から世紀の大暴露を押し付けられた名和 正人(なわ まさと)は、その後も幾度となく呼び出されては、恋愛相談をされている。あまりのしつこさに、八つ当たりだと分かっていながらも、友人が好きになってしまったというお相手への怒りが次第に募っていく正人だったが…?


目覚ましに先輩の声を使ってたらバレた話
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
サッカー部の先輩・ハヤトの声が密かに大好きなミノル。
彼を誘い家に泊まってもらった翌朝、目覚ましが鳴った。
……あ。
音声アラームを先輩の声にしているのがバレた。
しかもボイスレコーダーでこっそり録音していたことも白状することに。
やばい、どうしよう。
【完結】幼馴染から離れたい。
June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。
βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。
番外編 伊賀崎朔視点もあります。
(12月:改正版)
読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭
1/27 1000❤️ありがとうございます😭

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる