292 / 437
外伝 ヴァティールの独り言
外伝 ヴァティールの独り言4
しおりを挟む
こう言っちゃ何だが、ワタシは娘らにも慕われてるし、城でも人気者だ。
なにせ元々の性格がいいからな。
エリスを大人気なくいじめた奴らを脅したりはしたが、アースラを除く人間は、元々ある程度は善良に出来ている。
悪いこととは知りながら、止められない憎しみを『敵国人であるエリス』にぶつけていただけなのだろう。
それを止めたなら、一時はワタシのことも憎むだろうがその後は正気に戻って『止まれた事』にホッとし……感謝してくれる奴がほとんどだ。
弱い子供に当たったとて、得るものなど何もないと本当は知っているのだから、さもありなん。
止まれない奴は『糞アースラと同類』なので、こっそり始末するつもりでいた。
幸いにもそんな奴はいなかったが。
そんなわけもあってワタシの評判は、リオンなどとは比べ物にならぬほど良い。
まあ、それでも………………リオンはアースラよりはだいぶマシだとは思う。
アースラと同じく人間としての分をわきまえないアイツだから、もっと酷く成長していても、ワタシは驚いたりはしなかった。
でも思ったほどではなく、逆にビックリした。
リオンがやったのはせいぜい人血を使った魔法陣。
『善の結界』の小規模な不正使用程度。
それも、やむをえない場合のみだ。
魔道を使わずとも、コレに類する行いをする人間が大勢いることをワタシはよく知っている。
糞アースラに比べれば、可愛いものだと言えるだろう。
アースラときたらリオンのやっていたようなことは『通常稼動状態』だったし、魔物や高位魔道士、果ては聖人・神と称される奴の墓まで暴いて禁呪の研究をせっせとやっていた。
それだけでも人間の魔道士としてはありえないのに、人肉は喰うわ、人体実験はやるは、実の妹の体を改造するわでもう、救いようの無い男だった。
リオンは、そのいずれもやっていない。
以前ワタシがエルに囁いた『リオンは人の生き血を飲んでいた』という言葉も、エルが魔物の言葉に簡単に惑わされるかどうかを計るための嘘&ちょっとした嫌がらせとして言ってみただけで、実際はやっていない。
ただし……リオンはエルと違って、アースラと同じ匂いがする。
しかもアースラを手本とした魔道教育を受けている。
あの糞魔道士みたいに成長したらやっかいなので、本音を言うと早めに始末してしまいたい。
なにせ元々の性格がいいからな。
エリスを大人気なくいじめた奴らを脅したりはしたが、アースラを除く人間は、元々ある程度は善良に出来ている。
悪いこととは知りながら、止められない憎しみを『敵国人であるエリス』にぶつけていただけなのだろう。
それを止めたなら、一時はワタシのことも憎むだろうがその後は正気に戻って『止まれた事』にホッとし……感謝してくれる奴がほとんどだ。
弱い子供に当たったとて、得るものなど何もないと本当は知っているのだから、さもありなん。
止まれない奴は『糞アースラと同類』なので、こっそり始末するつもりでいた。
幸いにもそんな奴はいなかったが。
そんなわけもあってワタシの評判は、リオンなどとは比べ物にならぬほど良い。
まあ、それでも………………リオンはアースラよりはだいぶマシだとは思う。
アースラと同じく人間としての分をわきまえないアイツだから、もっと酷く成長していても、ワタシは驚いたりはしなかった。
でも思ったほどではなく、逆にビックリした。
リオンがやったのはせいぜい人血を使った魔法陣。
『善の結界』の小規模な不正使用程度。
それも、やむをえない場合のみだ。
魔道を使わずとも、コレに類する行いをする人間が大勢いることをワタシはよく知っている。
糞アースラに比べれば、可愛いものだと言えるだろう。
アースラときたらリオンのやっていたようなことは『通常稼動状態』だったし、魔物や高位魔道士、果ては聖人・神と称される奴の墓まで暴いて禁呪の研究をせっせとやっていた。
それだけでも人間の魔道士としてはありえないのに、人肉は喰うわ、人体実験はやるは、実の妹の体を改造するわでもう、救いようの無い男だった。
リオンは、そのいずれもやっていない。
以前ワタシがエルに囁いた『リオンは人の生き血を飲んでいた』という言葉も、エルが魔物の言葉に簡単に惑わされるかどうかを計るための嘘&ちょっとした嫌がらせとして言ってみただけで、実際はやっていない。
ただし……リオンはエルと違って、アースラと同じ匂いがする。
しかもアースラを手本とした魔道教育を受けている。
あの糞魔道士みたいに成長したらやっかいなので、本音を言うと早めに始末してしまいたい。
0
お気に入りに追加
118
あなたにおすすめの小説

新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。

不幸体質っすけど、大好きなボス達とずっと一緒にいられるよう頑張るっす!
タッター
BL
ボスは悲しく一人閉じ込められていた俺を助け、たくさんの仲間達に出会わせてくれた俺の大切な人だ。
自分だけでなく、他者にまでその不幸を撒き散らすような体質を持つ厄病神な俺を、みんな側に置いてくれて仲間だと笑顔を向けてくれる。とても毎日が楽しい。ずっとずっとみんなと一緒にいたい。
――だから俺はそれ以上を求めない。不幸は幸せが好きだから。この幸せが崩れてしまわないためにも。
そうやって俺は今日も仲間達――家族達の、そして大好きなボスの役に立てるように――
「頑張るっす!! ……から置いてかないで下さいっす!! 寂しいっすよ!!」
「無理。邪魔」
「ガーン!」
とした日常の中で俺達は美少年君を助けた。
「……その子、生きてるっすか?」
「……ああ」
◆◆◆
溺愛攻め
×
明るいが不幸体質を持つが故に想いを受け入れることが怖く、役に立てなければ捨てられるかもと内心怯えている受け

今世はメシウマ召喚獣
片里 狛
BL
オーバーワークが原因でうっかり命を落としたはずの最上春伊25歳。召喚獣として呼び出された世界で、娼館の料理人として働くことになって!?的なBL小説です。
最終的に溺愛系娼館主人様×全般的にふつーの日本人青年。
※女の子もゴリゴリ出てきます。
※設定ふんわりとしか考えてないので穴があってもスルーしてください。お約束等には疎いので優しい気持ちで読んでくださると幸い。
※誤字脱字の報告は不要です。いつか直したい。
※なるべくさくさく更新したい。

噛痕に思う
阿沙🌷
BL
αのイオに執着されているβのキバは最近、思うことがある。じゃれ合っているとイオが噛み付いてくるのだ。痛む傷跡にどことなく関係もギクシャクしてくる。そんななか、彼の悪癖の理由を知って――。
✿オメガバースもの掌編二本作。
(『ride』は2021年3月28日に追加します)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる