275 / 437
リオン編 願いの日
リオン編 願いの日5
しおりを挟む
兄さんは今、ほとんどの時間を僕と神殿で過ごしている。
浮かべるのは、穏やかな笑顔。
歌うように祈る僕を、優しく見守っていて下さるのだ。
エルシオン王族は、結界の作用を全く受けない。
だからこれは、兄さんの心からの笑顔。
僕の『祈り』の声をただ静かに、満足そうに聞いていらっしゃる。
……誰にも邪魔されず、悪くも言われず、二人きりでこんなに長く一緒に過ごせるなんて、夢みたいだ。
そういえば僕がもっと幼い頃、『兄さんと結婚したい』と願ったことがあったっけ。
年数にすればたった2年とすこし前なのに、うんと昔の事のように感じる。
この国に来たばかりの頃、その話をうっかりアリシアに漏らしてしまい、思いっきり笑われた。
憤慨して王にもその話をしたのだが、王にも吹き出されて、僕は現実を知った。
小さい身内の求めに応じて『そういう約束』をすることは、決して珍しくはないらしい。
けれど、僕の年までそれを信じている人は、あまりいないということだった。
そっか……駄目なのか。
がっかりだよ。
いつか見たあの花嫁さんのように、美しい白いドレスを着て、幸せそうに兄さんの隣を歩きたかった。
広場のあの人々のように、皆が僕たちを祝福してくれたら、どんなに素晴らしいだろうかと、夢見ていた。
なのに、ただの夢で終わってしまった。
けれど、こうやって二人きりで過ごしていると、まるで兄さんと結婚しているみたいに思えて仕方ない。
結婚って言うのは、大好きな者同士二人が一緒に過ごし、一緒に人生を歩むって事らしいから。
それにほら、王が下さった豪華で真っ白なこの神官服。
花嫁のドレスに見えないことも無いよね?
たとえ兄さんと結婚できないとしても、ずっと兄さんと一緒にいたいな。
一番側にいたいな。
このまま何にも脅かされず、二人で、ただ穏やかに時を過ごしたい。
浮かべるのは、穏やかな笑顔。
歌うように祈る僕を、優しく見守っていて下さるのだ。
エルシオン王族は、結界の作用を全く受けない。
だからこれは、兄さんの心からの笑顔。
僕の『祈り』の声をただ静かに、満足そうに聞いていらっしゃる。
……誰にも邪魔されず、悪くも言われず、二人きりでこんなに長く一緒に過ごせるなんて、夢みたいだ。
そういえば僕がもっと幼い頃、『兄さんと結婚したい』と願ったことがあったっけ。
年数にすればたった2年とすこし前なのに、うんと昔の事のように感じる。
この国に来たばかりの頃、その話をうっかりアリシアに漏らしてしまい、思いっきり笑われた。
憤慨して王にもその話をしたのだが、王にも吹き出されて、僕は現実を知った。
小さい身内の求めに応じて『そういう約束』をすることは、決して珍しくはないらしい。
けれど、僕の年までそれを信じている人は、あまりいないということだった。
そっか……駄目なのか。
がっかりだよ。
いつか見たあの花嫁さんのように、美しい白いドレスを着て、幸せそうに兄さんの隣を歩きたかった。
広場のあの人々のように、皆が僕たちを祝福してくれたら、どんなに素晴らしいだろうかと、夢見ていた。
なのに、ただの夢で終わってしまった。
けれど、こうやって二人きりで過ごしていると、まるで兄さんと結婚しているみたいに思えて仕方ない。
結婚って言うのは、大好きな者同士二人が一緒に過ごし、一緒に人生を歩むって事らしいから。
それにほら、王が下さった豪華で真っ白なこの神官服。
花嫁のドレスに見えないことも無いよね?
たとえ兄さんと結婚できないとしても、ずっと兄さんと一緒にいたいな。
一番側にいたいな。
このまま何にも脅かされず、二人で、ただ穏やかに時を過ごしたい。
0
お気に入りに追加
118
あなたにおすすめの小説


思い込み激しめな友人の恋愛相談を、仕方なく聞いていただけのはずだった
たけむら
BL
「思い込み激しめな友人の恋愛相談を、仕方なく聞いていただけのはずだった」
大学の同期・仁島くんのことが好きになってしまった、と友人・佐倉から世紀の大暴露を押し付けられた名和 正人(なわ まさと)は、その後も幾度となく呼び出されては、恋愛相談をされている。あまりのしつこさに、八つ当たりだと分かっていながらも、友人が好きになってしまったというお相手への怒りが次第に募っていく正人だったが…?

目覚ましに先輩の声を使ってたらバレた話
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
サッカー部の先輩・ハヤトの声が密かに大好きなミノル。
彼を誘い家に泊まってもらった翌朝、目覚ましが鳴った。
……あ。
音声アラームを先輩の声にしているのがバレた。
しかもボイスレコーダーでこっそり録音していたことも白状することに。
やばい、どうしよう。
【完結】幼馴染から離れたい。
June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。
βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。
番外編 伊賀崎朔視点もあります。
(12月:改正版)
読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭
1/27 1000❤️ありがとうございます😭



ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる