272 / 437
リオン編 願いの日
リオン編 願いの日2
しおりを挟む
暗殺隊を抜けた後、僕は部屋に篭りがちになった。
とにかく暇だった。
しかし僕と違って、兄さんはとても忙しい。
忙しすぎて、僕の相手もほとんどして下さらない。
暇になると、僕はつい魔力を使ってしまう。
兄さんがその事を嫌がると、よく知っているのに。
聞こえてくるのは、僕の影口。
そして兄の。
そんなことは前からだった。
ずっと前から知っていた。
だから人気の無い場所をお借りして、神官として過ごしたかったのだ。
少しでも早く、『善の結界』を極める修行をするために。
今の僕に、最強レベルの結界を張り続ける力など無い。
あっても、範囲は城をかろうじて包めるかどうか。
コントロール能力は、地下神殿を出た11歳のときにも劣る。
修行を怠ったせいで、僕を中心に球形に結界を張るのでさえ、精一杯だ。
持続時間も少なくて、これでは意味が無い。
エルシオン王国時代のように永続するからこそ、価値があるのだ。
それでも前は、ほんの少しだけ人々に期待していた。
結界なんか、すぐには要らないのではないか?
抗争が終結して殺気立った雰囲気が和らげば、人々の態度も変わるかも。
結界なんか無くても、売り子をしていたときのように、皆ニコニコ笑ってくれるかも。
でもそれは、甘すぎる考えだった。
抗争が無くなったからこそ、人々はいっそう『僕』を必要としなくなり、異端の魔物には早く消えて欲しいと願っている。
命がけで皆を守っても、感謝してくれるのは兄と王。僕の嫌いなアリシアだけしかいない。
なら、早々に消えてやる。
みんなの望み通りに。
だからせめて、兄さんの悪口だけは言わないで欲しい。
大丈夫。僕だけなら、何を言われても平気。
民たちは8年後、皆、善良な人間に変わるのだから。
とにかく暇だった。
しかし僕と違って、兄さんはとても忙しい。
忙しすぎて、僕の相手もほとんどして下さらない。
暇になると、僕はつい魔力を使ってしまう。
兄さんがその事を嫌がると、よく知っているのに。
聞こえてくるのは、僕の影口。
そして兄の。
そんなことは前からだった。
ずっと前から知っていた。
だから人気の無い場所をお借りして、神官として過ごしたかったのだ。
少しでも早く、『善の結界』を極める修行をするために。
今の僕に、最強レベルの結界を張り続ける力など無い。
あっても、範囲は城をかろうじて包めるかどうか。
コントロール能力は、地下神殿を出た11歳のときにも劣る。
修行を怠ったせいで、僕を中心に球形に結界を張るのでさえ、精一杯だ。
持続時間も少なくて、これでは意味が無い。
エルシオン王国時代のように永続するからこそ、価値があるのだ。
それでも前は、ほんの少しだけ人々に期待していた。
結界なんか、すぐには要らないのではないか?
抗争が終結して殺気立った雰囲気が和らげば、人々の態度も変わるかも。
結界なんか無くても、売り子をしていたときのように、皆ニコニコ笑ってくれるかも。
でもそれは、甘すぎる考えだった。
抗争が無くなったからこそ、人々はいっそう『僕』を必要としなくなり、異端の魔物には早く消えて欲しいと願っている。
命がけで皆を守っても、感謝してくれるのは兄と王。僕の嫌いなアリシアだけしかいない。
なら、早々に消えてやる。
みんなの望み通りに。
だからせめて、兄さんの悪口だけは言わないで欲しい。
大丈夫。僕だけなら、何を言われても平気。
民たちは8年後、皆、善良な人間に変わるのだから。
0
お気に入りに追加
118
あなたにおすすめの小説


思い込み激しめな友人の恋愛相談を、仕方なく聞いていただけのはずだった
たけむら
BL
「思い込み激しめな友人の恋愛相談を、仕方なく聞いていただけのはずだった」
大学の同期・仁島くんのことが好きになってしまった、と友人・佐倉から世紀の大暴露を押し付けられた名和 正人(なわ まさと)は、その後も幾度となく呼び出されては、恋愛相談をされている。あまりのしつこさに、八つ当たりだと分かっていながらも、友人が好きになってしまったというお相手への怒りが次第に募っていく正人だったが…?

目覚ましに先輩の声を使ってたらバレた話
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
サッカー部の先輩・ハヤトの声が密かに大好きなミノル。
彼を誘い家に泊まってもらった翌朝、目覚ましが鳴った。
……あ。
音声アラームを先輩の声にしているのがバレた。
しかもボイスレコーダーでこっそり録音していたことも白状することに。
やばい、どうしよう。
【完結】幼馴染から離れたい。
June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。
βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。
番外編 伊賀崎朔視点もあります。
(12月:改正版)
読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭
1/27 1000❤️ありがとうございます😭



ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる