滅びの国の王子と魔獣(挿絵あり)本編完結・以後番外編

結城 

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リオン編   分かれ道

リオン編   分かれ道6★

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 ホテルの石壁を吹っ飛ばし、ホールに入る。
 せっかくのフォーマル服が少し汚れてしまったが、後でクリーニングに出せば問題ないはずだ。

 うん。
 やっぱり能力が、かなり上がっている。
 2年前なら、この規模では壊れなかったろう。

 吹き抜けになった高い天井を見上げると、ウチの城より豪華なシャンデリアが煌めいていた。

 うわぁ、綺麗……。
 どうせもうすぐ持ち主もいなくなるし、はずして持って帰っちゃおうか?

 いやいや、僕は何を考えているのだ。
 気高いあの兄の弟なのに、一瞬アリシアみたいなことを考えちゃったよ。
 恥ずかしいっ!!

 僕を『善なる神官』として、清らかに育てて下さったクロスⅦにも申し訳ない。
 きっと草葉の陰で泣いてらっしゃるに違いないよ。
 意外とあの方は泣くからなぁ。

 嘘ですっ!!

 嘘ですからっ!!

 あのシャンデリアをこっそりと持って帰って、売り飛ばして王の部屋の壁の弁償代に充てようなんて、そんな不届きなことは1ミリルたりとも考えてませんからっ!!!

 一人で赤面しながらも、今度はホールの隅々まで見渡す。

 生きている人は一人も居ない。
 まぁ、そうだろうね。
 そのつもりでやったし。

 ホールにいた人たちは石壁を壊すときの余波で、みんな肉塊となって散乱していた。
 余波とはいえ効果線上に居たのだから、まぁこんなもんだろう。

 片付けるのが大変だな……やっぱり剣でちまちま殺していったほうが良かったろうか?

 反射的にそう思ってから苦笑する。
 エルシオンの地下神殿に居たころ、生贄にした狼の肉片の始末は僕がやらなければいけなかった。

 でもここは敵地。
 放っておけば良いだけの事だ。

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