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リオン編 シリウスという国
リオン編 シリウスという国5
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僕らは『すいみんやく』というものを騙されて口にして、こんな事になってしまったらしい。
男は喋り終えると鍵を開けて、牢の中に入ってきた。
「お前らはめったに見ないような上物だ。
買値は一人につき金貨7枚だったが、もっと着飾ればその十倍でだって売れそうだ」
鎖に繋がれたままの兄様の顎をその男は捉えて、じっと見つめた。
早く助けなきゃ……そう思うのに体が動かない。
ずっとずっと震えていた。
母のように思っていたおばさんに売られた。そのことはそれ程までに僕に衝撃を与えた。
「売られるなんて嫌だ!! 俺達は奴隷なんかじゃないっ!!」
兄様が叫ぶ。
それすらも、何だか遠い世界から聞こえてくるような気がする。
こんなことではいけない。
もっとしっかりしなくては……と思うのに。
「嫌でも仕方ないだろう?
お前たちは非合法な奴隷だ。この国じゃやばくて捌けないが、他国にはこういうやばい商品でも高く買ってくれる金持ちが大勢いる。
この世は弱い者、正しい者のためにあるわけじゃない。
力と金がある奴のモノなのさ。
諦めてご主人様の靴でも何でもぺろぺろ舐めて、従順に仕えな?
それが力の無い、弱い奴のショセイジュツってものだぜ」
男は薄く哂ってそう言った。
仕える?
僕が?
兄様以外の人間に?
そしてこの世で一番大切な兄様も、奴隷に……。
男の言葉の意味をぼんやりと考えるうちに、段々と意識の焦点が合ってきた。
そんな馬鹿なことが、あるはずがない。
僕らはいろいろな事に負けずに、これまで頑張ってきた。
それなのに兄様とともに奴隷に落とされ、どこの誰とも知れぬ卑しい人間の靴を舐めながら生きるなんて嫌だ。
というか、そんなことはしない。絶対に。
……人間って馬鹿だな
僕は密かに哂った。
人間なんかに、僕や兄様を蹂躙する力などあるものか。
急速に心が冷えていく。
心のどこか大事な部分が凍ってしまったような、不思議な感覚。
でも、もういい。
僕には兄様が居るから、きっと平気。
この先誰に裏切られても、誰に豹変されても……きっと生きていけるから。
男は喋り終えると鍵を開けて、牢の中に入ってきた。
「お前らはめったに見ないような上物だ。
買値は一人につき金貨7枚だったが、もっと着飾ればその十倍でだって売れそうだ」
鎖に繋がれたままの兄様の顎をその男は捉えて、じっと見つめた。
早く助けなきゃ……そう思うのに体が動かない。
ずっとずっと震えていた。
母のように思っていたおばさんに売られた。そのことはそれ程までに僕に衝撃を与えた。
「売られるなんて嫌だ!! 俺達は奴隷なんかじゃないっ!!」
兄様が叫ぶ。
それすらも、何だか遠い世界から聞こえてくるような気がする。
こんなことではいけない。
もっとしっかりしなくては……と思うのに。
「嫌でも仕方ないだろう?
お前たちは非合法な奴隷だ。この国じゃやばくて捌けないが、他国にはこういうやばい商品でも高く買ってくれる金持ちが大勢いる。
この世は弱い者、正しい者のためにあるわけじゃない。
力と金がある奴のモノなのさ。
諦めてご主人様の靴でも何でもぺろぺろ舐めて、従順に仕えな?
それが力の無い、弱い奴のショセイジュツってものだぜ」
男は薄く哂ってそう言った。
仕える?
僕が?
兄様以外の人間に?
そしてこの世で一番大切な兄様も、奴隷に……。
男の言葉の意味をぼんやりと考えるうちに、段々と意識の焦点が合ってきた。
そんな馬鹿なことが、あるはずがない。
僕らはいろいろな事に負けずに、これまで頑張ってきた。
それなのに兄様とともに奴隷に落とされ、どこの誰とも知れぬ卑しい人間の靴を舐めながら生きるなんて嫌だ。
というか、そんなことはしない。絶対に。
……人間って馬鹿だな
僕は密かに哂った。
人間なんかに、僕や兄様を蹂躙する力などあるものか。
急速に心が冷えていく。
心のどこか大事な部分が凍ってしまったような、不思議な感覚。
でも、もういい。
僕には兄様が居るから、きっと平気。
この先誰に裏切られても、誰に豹変されても……きっと生きていけるから。
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