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第22章 許し

8.許し

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 俺はあまりの内容の告白に言葉を失った。

「ヴァティール様だってそうよ。
 エルだって本当はわかっているんじゃないの?
 あの方は口は悪いけど、心は優しいわよ。
 私が熱を出したときは……ずっと寝ないで看病して下さった。
 額に置かれた手があんまり冷たくて、『ああこの方は本当に人間ではないんだ』って思ったけど……それでも嬉しさの方が勝ったわ。
 エリス姫の事だって、誰が何を言おうとがんとして守った。
『アレス帝国が何をしようが子供のエリスには関係の無い話だ』……って。
 私はあんな優しい方を見たことが無い。
 ねえエル。
 リオンはあの時死んだのよ。
 あなたと国を守って死んだ。
 呪いによって生き返るっていうのはわかったけど、そんな事は本当は『人間』にはあってはならないのよ。
 だから、酷なようだけどもう諦めて。ね……?」

「……っリオンは死んでなんかいない……!!」

「死んだのよ!!」

「死んでない!!  死んでなんか……」

 泣きたくないのに、涙があふれた。

 否定しなくては。
 リオンは生きている。

 そう思うのに、心のどこかではアリシアの言葉を認める俺が居る。

『人間』ゆえにリオンは死んだのだ。
 呪いから開放されたのだ。

 あの地下神殿から出て以来、辛い目にばかり合ってきたリオン。

 でも……もう弟は辛い目に合うことも、苦しい思いをすることも、俺のために人を殺すこともない。

 それは残酷な形ではあったけれど、もしかしたら神がリオンに与えた『許し』なのかもしれない。
 涙を流し続ける俺をアリシアは優しく抱きしめてくれた。 
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