157 / 437
第20章 人の心
5.人の心
しおりを挟む
「それ、ナイスアイデアですわ!! ヴァティール様!!」
魔獣の失礼な提案にアリシアが目を輝かせる。
「わたくし、最初はヴァティール様の事『とても怖い方』なのではと思っておりましたが、とんでもないことでした。
ヴァティール様は聡明でお優しくていらっしゃるから、きっと別人格を打ち出したほうが城の皆にも慕われますわ!!」
アリシアの言葉に、王も頷いた。
「……確かにそれは言えるかもしれない。
何度も話してみたが、ヴァティール殿は中々の人物だ。
それにエルよ……とにかくヴァティール殿には城にいていただかねばならない。
王命だ。
ヴァティール殿を城に連れ帰るのだ」
逆らうことは不可なその一言に、俺は渋々頷いた。
帰城したヴァティールはもちろん、皆に畏怖の目で見られた。
親衛隊員であるブラディやアッサムはヴァティールとなったリオンを見たとたん腰を抜かしたし、やっと床上できた暗殺隊員も恐怖のあまり再び寝込んだ。
よくそれで親衛隊や暗殺者が務まったなオイ……あまりにも情けないぞ。
あの時城壁の上で一緒に戦っていた兵士たちには王たちと適当に捏造した事情の方を話しておいた。
それでもリオンの時同様忌まれてしまうのは仕方ない。
遠巻きに恐る恐る見る者、ひそひそと囁く者、色々だ。
しかしそんな城の者たちの視線など意にも介さぬ風に、魔獣は堂々と城の中を歩き回った。
……と言っても傍らには必ずアリシアとウルフが付き従っている。
何かしでかしたら大変だからだ。
ただ、そのアリシアとウルフはとても楽しそうだ。
ヴァティールの方も、貴賓室でイライラしていた頃とは違い彼らにもそれなりの気遣いを見せ、楽しそうに笑いかけていた。
その様を見るうちに城の人々もだんだんと変わってきた。
「何か、今のリオン様……いや、ヴァティール様の方がとっつきやすいよな?
それに最初は『怖い』と思ったけど、よく考えたら国を救ってくれた『大英雄様』だ」
人々はこのように囁き始めたのだ。
魔獣の失礼な提案にアリシアが目を輝かせる。
「わたくし、最初はヴァティール様の事『とても怖い方』なのではと思っておりましたが、とんでもないことでした。
ヴァティール様は聡明でお優しくていらっしゃるから、きっと別人格を打ち出したほうが城の皆にも慕われますわ!!」
アリシアの言葉に、王も頷いた。
「……確かにそれは言えるかもしれない。
何度も話してみたが、ヴァティール殿は中々の人物だ。
それにエルよ……とにかくヴァティール殿には城にいていただかねばならない。
王命だ。
ヴァティール殿を城に連れ帰るのだ」
逆らうことは不可なその一言に、俺は渋々頷いた。
帰城したヴァティールはもちろん、皆に畏怖の目で見られた。
親衛隊員であるブラディやアッサムはヴァティールとなったリオンを見たとたん腰を抜かしたし、やっと床上できた暗殺隊員も恐怖のあまり再び寝込んだ。
よくそれで親衛隊や暗殺者が務まったなオイ……あまりにも情けないぞ。
あの時城壁の上で一緒に戦っていた兵士たちには王たちと適当に捏造した事情の方を話しておいた。
それでもリオンの時同様忌まれてしまうのは仕方ない。
遠巻きに恐る恐る見る者、ひそひそと囁く者、色々だ。
しかしそんな城の者たちの視線など意にも介さぬ風に、魔獣は堂々と城の中を歩き回った。
……と言っても傍らには必ずアリシアとウルフが付き従っている。
何かしでかしたら大変だからだ。
ただ、そのアリシアとウルフはとても楽しそうだ。
ヴァティールの方も、貴賓室でイライラしていた頃とは違い彼らにもそれなりの気遣いを見せ、楽しそうに笑いかけていた。
その様を見るうちに城の人々もだんだんと変わってきた。
「何か、今のリオン様……いや、ヴァティール様の方がとっつきやすいよな?
それに最初は『怖い』と思ったけど、よく考えたら国を救ってくれた『大英雄様』だ」
人々はこのように囁き始めたのだ。
0
お気に入りに追加
118
あなたにおすすめの小説

新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。

もう人気者とは付き合っていられません
花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。
モテるのは当然だ。でも――。
『たまには二人だけで過ごしたい』
そう願うのは、贅沢なのだろうか。
いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。
「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。
ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。
生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。
※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中


思い込み激しめな友人の恋愛相談を、仕方なく聞いていただけのはずだった
たけむら
BL
「思い込み激しめな友人の恋愛相談を、仕方なく聞いていただけのはずだった」
大学の同期・仁島くんのことが好きになってしまった、と友人・佐倉から世紀の大暴露を押し付けられた名和 正人(なわ まさと)は、その後も幾度となく呼び出されては、恋愛相談をされている。あまりのしつこさに、八つ当たりだと分かっていながらも、友人が好きになってしまったというお相手への怒りが次第に募っていく正人だったが…?

嫌われ者の僕
みるきぃ
BL
学園イチの嫌われ者で、イジメにあっている佐藤あおい。気が弱くてネガティブな性格な上、容姿は瓶底眼鏡で地味。しかし本当の素顔は、幼なじみで人気者の新條ゆうが知っていて誰にも見せつけないようにしていた。学園生活で、あおいの健気な優しさに皆、惹かれていき…⁈学園イチの嫌われ者が総愛される話。嫌われからの愛されです。ヤンデレ注意。
※他サイトで書いていたものを修正してこちらで書いてます。改行多めで読みにくいかもです。

目覚ましに先輩の声を使ってたらバレた話
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
サッカー部の先輩・ハヤトの声が密かに大好きなミノル。
彼を誘い家に泊まってもらった翌朝、目覚ましが鳴った。
……あ。
音声アラームを先輩の声にしているのがバレた。
しかもボイスレコーダーでこっそり録音していたことも白状することに。
やばい、どうしよう。
【完結】幼馴染から離れたい。
June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。
βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。
番外編 伊賀崎朔視点もあります。
(12月:改正版)
読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭
1/27 1000❤️ありがとうございます😭
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる