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第19章 魔獣ヴァティール
4.魔獣ヴァティール
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リオンがヴァティールとなってから1ヶ月が過ぎた。
城の補修はあらかた終わったし、アレス帝国兵も鳴りを潜めた。
今は生き残った住民たちと力を合わせて市街の復旧に努めている。
もちろん油断は出来ない。
たとえ十数万の軍を壊滅させたとて、アレス帝国にとっては『大木の一枝』に過ぎないのだ。
しかしヴァティールの存在を知らない他国は、そうはとらなかった。
アレス帝国の大軍勢をわずか1日で殲滅……という、ありえない神業を成し得た『勇猛機智な国』だと捉えたようだ。
どの国もアレス帝国は怖い。
侵略の手を1ヶ月でも遅らせる事が出来るなら神聖な盟約だって破り捨てるぐらいだ。
だが、あの時手のひらを返した国々がこぞって援助物資を持って再び盟約を結ぶためにやってきた。
いや、それは元々盟約を結んでいた国だけに留まらなかった。
アレス帝国の侵略を恐れるその他数十の国々までが、同盟を結ぶべく多大な手土産を持ってやって来たのだ。
もちろん、そうだからと言って喜ぶわけにはいかない。
前の戦いの時、俺は他国が身勝手に盟約を破る様をこの目で見てきた。
盟約書と言っても所詮は紙切れ1枚。
わが国と命運を共にする気もない、外国人の約束。
こんな物に期待する方が馬鹿なのだ。
だからと言って無碍にするのは策が無さ過ぎる。
向こうの思惑が重要なのではない。
こちらが向こうを利用出来るかどうかが重要なのだ。
アリシアも同意見だった。
アルフレッド王は少し考え込んだが、最後には頷いた。
ウルフは巻き添えでアリシアに頷かされていた。
城の補修はあらかた終わったし、アレス帝国兵も鳴りを潜めた。
今は生き残った住民たちと力を合わせて市街の復旧に努めている。
もちろん油断は出来ない。
たとえ十数万の軍を壊滅させたとて、アレス帝国にとっては『大木の一枝』に過ぎないのだ。
しかしヴァティールの存在を知らない他国は、そうはとらなかった。
アレス帝国の大軍勢をわずか1日で殲滅……という、ありえない神業を成し得た『勇猛機智な国』だと捉えたようだ。
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侵略の手を1ヶ月でも遅らせる事が出来るなら神聖な盟約だって破り捨てるぐらいだ。
だが、あの時手のひらを返した国々がこぞって援助物資を持って再び盟約を結ぶためにやってきた。
いや、それは元々盟約を結んでいた国だけに留まらなかった。
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もちろん、そうだからと言って喜ぶわけにはいかない。
前の戦いの時、俺は他国が身勝手に盟約を破る様をこの目で見てきた。
盟約書と言っても所詮は紙切れ1枚。
わが国と命運を共にする気もない、外国人の約束。
こんな物に期待する方が馬鹿なのだ。
だからと言って無碍にするのは策が無さ過ぎる。
向こうの思惑が重要なのではない。
こちらが向こうを利用出来るかどうかが重要なのだ。
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ウルフは巻き添えでアリシアに頷かされていた。
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