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第14章 明日を歩く
5.明日を歩く★
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八百長の賭け試合だけでもすでにたいした利益を生んでいたが、より多数の者が見やすくなるよう観覧席も改良され、更なる利益を生んだ。
その他にも、闘技関連による収入はかなりあった。
観戦者向けの飲食店・雑貨・お土産物店も順次増えていき、その売上も観客数に比例するように伸びていった。
しばらくしてリオンも、そこの新規店で働くようになった。
リオンは幼い。
だから本来ならガルーダ領内で働くことは出来ない。
他の少年少女たちもだ。
しかしリオンはずっと、俺と一緒に闘技場で働きたがっていた。
実は俺たちが卒業してから入った新しい訓練生たちとリオンは、あまり上手くいっていない。
原因は他の候補生ではなくてリオンだ。
リオンは俺にしか懐かないからなぁ……。
そんなところも可愛いとは言え、そろそろリオンも社会性を身につけなくては困る年頃なのではないだろうか?
そう悩んでいたところに王から直接弟に話が来た。
リオンに『売店の売り子』なんて出来るのか心配だったがリオンは俺に相談もせず、王の口車に乗せられてその場で受けてしまったらしい。
もうどうしようもない。
警戒心が強い割にはコロっと騙されるリオンが兄としてはとても心配だったが、王はリオンの返答を聞くやいなや、素早く諸事を整えてしまった。
つまり就業規定を『王の裁可有りの場合のみ』15歳未満でも働けるよう、改訂したのだ。
最初はハラハラしたが、王のこの決断は、結果として大変良いものだった。
外界で騙され続けてきたリオンは警戒心がとても強い。
予想通り最初はニコリともしない無愛想な売り子だったが、アルフレッド王に、
『アレは人ではない。お金様だ!!
お金様は君を裏切ったりしない!!』
とか、
『今度出るお兄さんの新衣装記念写真集だって買いたいだろう?
買いたいな!!
さあにっこり笑顔で稼ぐのだ!!』
とか言われた途端、笑顔全開のニコニコした売り子に変身した。
本当にあの人は……。
でも、売り子として働くリオンはとても楽しそうだ。
贔屓のお客さんもいっぱい付いて、営業スマイルとは言え喋る相手も結構できた。
変なお客もたまにいるらしいけど、未成年の多く働くリオンの店にはしっかりとした警備兵がついている。
大きなトラブルは今のところないようだ。
さて王の陰謀により、ピンクのフリルがついた可愛らしいエプロンをつけて一生懸命働くリオンは売り子の中でもダントツ人気となった。
『コレは金になる』と踏んだ王はリオングッズも売り始め、弟の人気は益々高くなっていく。
おかげでグッズだけでなく、リオンの売る飲食物は驚くほどのボッタクリ料金にもかかわらず、毎日飛ぶように売れている。
うんうんわかるなあ。
あれだけ可愛ければ俺だって買う。
というか、すでに結構給料をつぎ込んだ。
リオンの念写真集もブロマイドもグッズももちろん保存用込みで3セットずつ買った。
アリシアや他の親衛隊員が時々白い目で見てくるが、一人っ子の彼女や無粋なブラディたちに崇高な兄ゴコロなどわかるまいから放っておく。
兄弟が多かった王だけはアリシアたちをなだめ、ずっと俺たちのことを温かい目で見て下さった。
ありがたい。
さすがに王の器である。
「他のどこの馬の骨ともしれない奴が弟君のために買っているというのに、兄のお前が買わなくてどうするというのだ!!」
と言うアルフレッド王の応援を背に受けて、今日も俺はリオンの売る商品を買いに走る。
その他にも、闘技関連による収入はかなりあった。
観戦者向けの飲食店・雑貨・お土産物店も順次増えていき、その売上も観客数に比例するように伸びていった。
しばらくしてリオンも、そこの新規店で働くようになった。
リオンは幼い。
だから本来ならガルーダ領内で働くことは出来ない。
他の少年少女たちもだ。
しかしリオンはずっと、俺と一緒に闘技場で働きたがっていた。
実は俺たちが卒業してから入った新しい訓練生たちとリオンは、あまり上手くいっていない。
原因は他の候補生ではなくてリオンだ。
リオンは俺にしか懐かないからなぁ……。
そんなところも可愛いとは言え、そろそろリオンも社会性を身につけなくては困る年頃なのではないだろうか?
そう悩んでいたところに王から直接弟に話が来た。
リオンに『売店の売り子』なんて出来るのか心配だったがリオンは俺に相談もせず、王の口車に乗せられてその場で受けてしまったらしい。
もうどうしようもない。
警戒心が強い割にはコロっと騙されるリオンが兄としてはとても心配だったが、王はリオンの返答を聞くやいなや、素早く諸事を整えてしまった。
つまり就業規定を『王の裁可有りの場合のみ』15歳未満でも働けるよう、改訂したのだ。
最初はハラハラしたが、王のこの決断は、結果として大変良いものだった。
外界で騙され続けてきたリオンは警戒心がとても強い。
予想通り最初はニコリともしない無愛想な売り子だったが、アルフレッド王に、
『アレは人ではない。お金様だ!!
お金様は君を裏切ったりしない!!』
とか、
『今度出るお兄さんの新衣装記念写真集だって買いたいだろう?
買いたいな!!
さあにっこり笑顔で稼ぐのだ!!』
とか言われた途端、笑顔全開のニコニコした売り子に変身した。
本当にあの人は……。
でも、売り子として働くリオンはとても楽しそうだ。
贔屓のお客さんもいっぱい付いて、営業スマイルとは言え喋る相手も結構できた。
変なお客もたまにいるらしいけど、未成年の多く働くリオンの店にはしっかりとした警備兵がついている。
大きなトラブルは今のところないようだ。
さて王の陰謀により、ピンクのフリルがついた可愛らしいエプロンをつけて一生懸命働くリオンは売り子の中でもダントツ人気となった。
『コレは金になる』と踏んだ王はリオングッズも売り始め、弟の人気は益々高くなっていく。
おかげでグッズだけでなく、リオンの売る飲食物は驚くほどのボッタクリ料金にもかかわらず、毎日飛ぶように売れている。
うんうんわかるなあ。
あれだけ可愛ければ俺だって買う。
というか、すでに結構給料をつぎ込んだ。
リオンの念写真集もブロマイドもグッズももちろん保存用込みで3セットずつ買った。
アリシアや他の親衛隊員が時々白い目で見てくるが、一人っ子の彼女や無粋なブラディたちに崇高な兄ゴコロなどわかるまいから放っておく。
兄弟が多かった王だけはアリシアたちをなだめ、ずっと俺たちのことを温かい目で見て下さった。
ありがたい。
さすがに王の器である。
「他のどこの馬の骨ともしれない奴が弟君のために買っているというのに、兄のお前が買わなくてどうするというのだ!!」
と言うアルフレッド王の応援を背に受けて、今日も俺はリオンの売る商品を買いに走る。
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