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第12章 転機
5.転機
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しかし、礼を言った上で丁寧に断ると、目の前の男や他の従業員たちは豹変した。
「……丁度いい。どうせ死にに行くようなモンだから、俺たちの役に立ってもらおうかァ……」
彼らは手に手に獲物を持ち、俺たちに迫ってきた。
どうやら噂に聞く、盗賊経営の食事処だったのだろう。
ふとアリシアの方を見ると、にっこりと笑っていた。
こんな場面なのに怖くはないのだろうか?
相変わらず凄い度胸だ。
感心していると、
「そんなことだろうと思ったわ。さ、エル、リオン、皆殺しにしちゃって?」
怯えるどころか、アリシアが素晴らしい笑顔で物騒な事を言った。
「こいつらはラフレイムに行く前に私たちを捕まえたいの。美人の私に美少年のあんたら。
さぞかし高く売れるでしょうね~」
……なるほど。前と全く同じパターンか。
俺はすっかり納得してしまった。
それにしても、こういう怪しい所って見かけの豪華さなんて関係なくどこにでもあるんだなあ……。
こいつらは多分ミランダおばさんの同類。
コレと思う客に目を付けたあと、同系列の隣のホテルを勧めて宿の夕食に一服盛るつもりだったのだ。
そして誰にもみられないよう運び出し、無傷で売りに出したかったようだ。
「わかっているなら大人しくしろッ!!
傷がつくと売値が下がる!!」
口々に勝手な事を叫ぶ大人たちに向かって、リオンがエラジーを抜こうとした。
「待てリオン!
ミランダおばさんの件もある。それにエラジーをこんな所で出すのはマズイ!!
まずはこいつらとちゃんと話し合おう!!」
叫ぶ俺に、宿の男たちはニヤニヤと嗤った。
「話し合うだってぇ?
言葉遣いや容姿から見ると、もしかしたらどこかのお貴族様だったりしてな~!」
「お貴族様なら高く売れるし、そうじゃなくともこの容姿だ、まとめて売ったら一生遊んで暮らせるぜ」
「……そうそう、最近滅んだエルシオン王国の王子が行方不明だってんで、アレス国王が血眼になって探してるらしいけど、実はこいつじゃね?」
男たちがゲラゲラと笑った。
「……丁度いい。どうせ死にに行くようなモンだから、俺たちの役に立ってもらおうかァ……」
彼らは手に手に獲物を持ち、俺たちに迫ってきた。
どうやら噂に聞く、盗賊経営の食事処だったのだろう。
ふとアリシアの方を見ると、にっこりと笑っていた。
こんな場面なのに怖くはないのだろうか?
相変わらず凄い度胸だ。
感心していると、
「そんなことだろうと思ったわ。さ、エル、リオン、皆殺しにしちゃって?」
怯えるどころか、アリシアが素晴らしい笑顔で物騒な事を言った。
「こいつらはラフレイムに行く前に私たちを捕まえたいの。美人の私に美少年のあんたら。
さぞかし高く売れるでしょうね~」
……なるほど。前と全く同じパターンか。
俺はすっかり納得してしまった。
それにしても、こういう怪しい所って見かけの豪華さなんて関係なくどこにでもあるんだなあ……。
こいつらは多分ミランダおばさんの同類。
コレと思う客に目を付けたあと、同系列の隣のホテルを勧めて宿の夕食に一服盛るつもりだったのだ。
そして誰にもみられないよう運び出し、無傷で売りに出したかったようだ。
「わかっているなら大人しくしろッ!!
傷がつくと売値が下がる!!」
口々に勝手な事を叫ぶ大人たちに向かって、リオンがエラジーを抜こうとした。
「待てリオン!
ミランダおばさんの件もある。それにエラジーをこんな所で出すのはマズイ!!
まずはこいつらとちゃんと話し合おう!!」
叫ぶ俺に、宿の男たちはニヤニヤと嗤った。
「話し合うだってぇ?
言葉遣いや容姿から見ると、もしかしたらどこかのお貴族様だったりしてな~!」
「お貴族様なら高く売れるし、そうじゃなくともこの容姿だ、まとめて売ったら一生遊んで暮らせるぜ」
「……そうそう、最近滅んだエルシオン王国の王子が行方不明だってんで、アレス国王が血眼になって探してるらしいけど、実はこいつじゃね?」
男たちがゲラゲラと笑った。
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