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第3章 王家の秘密
4・王家の秘密
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我が国は過去、偉大なる魔法王国であったらしい。
それは母上の日記を読むまでもなく、伝承として知っている。
……が、なぜか痕跡はほとんど残っていない。
だから俺も国民も、遠い昔に作られた、ただの『おとぎばなし』を聞くような感覚でそれらを認識していた。
しかし他国では、まだまだ魔道は行われている。
過去の魔術を使った大戦も、動かしがたい事実として存在する。
なのに妙に現実味が無いのは『大魔道』を使う者が、世界的に見ても、現在一人もいないからだ。
『大魔道』と言われる伝承の中に出てくるような大技は、300年前の大戦を境に世界から姿を消した。
我が国に限って言うと、魔道を使えるものは国内には一人もいない。
他国の王宮には必ず居るはずの『治癒魔道士』すら、全く居ない。
実際にはリオンやクロスⅦが存在するのだが、ずっと隠されてきたために皇太子である俺でさえ、全く知らなかった。
母上の日記には、色々なことが詳細に書かれていた。
この国の始祖王である『シヴァ王』
その従兄弟であり親友・腹心でもあった『大魔道士アースラ』
同じく魔道士であり、後に王の妻となる『アースラの妹リリーシャ』
この3人は国の者なら、子供ですら知っている有名人だ。
金貨の表裏には、この3人の姿が彫り込まれている。
彼らが創り上げたのが、今のエルシオン王国。
国を興すための戦いでは、魔道士兄妹により何度も『大魔道』と言われる法術が使われたらしい。
そして見事アレス帝国を倒し エルシオン王国に平和が訪れた。
めでたし、めでたし……と、ここまでは伝承の通りだ。
しかし母上の日記を読むと、その先が少し違う。
王家の3人は戦が終了した後、城と領土を包み込むような巨大な『善の結界』を作り上げた。
その結界はもちろん、常人の目には見えない。
でも、どんな悪意・戦意もその結界内では極端に薄らぐ。
その結界があるが故に、エルシオンはまるで神々の住まう国のごとく、平和で善良で、敵からも侵略されない国として存在することが出来ているというのだ。
夢みたいな話だが、全て事実らしい。
ただし善なる結界を造り上げ、維持するには恐ろしく強大な魔力が必要だったようだ。
それは母上の日記を読むまでもなく、伝承として知っている。
……が、なぜか痕跡はほとんど残っていない。
だから俺も国民も、遠い昔に作られた、ただの『おとぎばなし』を聞くような感覚でそれらを認識していた。
しかし他国では、まだまだ魔道は行われている。
過去の魔術を使った大戦も、動かしがたい事実として存在する。
なのに妙に現実味が無いのは『大魔道』を使う者が、世界的に見ても、現在一人もいないからだ。
『大魔道』と言われる伝承の中に出てくるような大技は、300年前の大戦を境に世界から姿を消した。
我が国に限って言うと、魔道を使えるものは国内には一人もいない。
他国の王宮には必ず居るはずの『治癒魔道士』すら、全く居ない。
実際にはリオンやクロスⅦが存在するのだが、ずっと隠されてきたために皇太子である俺でさえ、全く知らなかった。
母上の日記には、色々なことが詳細に書かれていた。
この国の始祖王である『シヴァ王』
その従兄弟であり親友・腹心でもあった『大魔道士アースラ』
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この3人は国の者なら、子供ですら知っている有名人だ。
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彼らが創り上げたのが、今のエルシオン王国。
国を興すための戦いでは、魔道士兄妹により何度も『大魔道』と言われる法術が使われたらしい。
そして見事アレス帝国を倒し エルシオン王国に平和が訪れた。
めでたし、めでたし……と、ここまでは伝承の通りだ。
しかし母上の日記を読むと、その先が少し違う。
王家の3人は戦が終了した後、城と領土を包み込むような巨大な『善の結界』を作り上げた。
その結界はもちろん、常人の目には見えない。
でも、どんな悪意・戦意もその結界内では極端に薄らぐ。
その結界があるが故に、エルシオンはまるで神々の住まう国のごとく、平和で善良で、敵からも侵略されない国として存在することが出来ているというのだ。
夢みたいな話だが、全て事実らしい。
ただし善なる結界を造り上げ、維持するには恐ろしく強大な魔力が必要だったようだ。
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