21 / 437
第3章 王家の秘密
2・王家の秘密
しおりを挟む
そういう実態がわかるようになると、300年間見事に国を治めてきた歴代の王たちは確かに偉大と言える。
また、歴代の王たちは『自分のためだけの贅沢』などはしなかった。
他国の王のように、何人もの妃を娶ることもない。
俺は王子だが、リオンのように洗濯まで自分でする事はないにしても、身の回りのことは全て自分自身でする。
着替えも、入浴も、自室の整理も、剣の手入れも……すべて。
それは俺が王になっても変わることはないだろうし、娶る妃も選びに選んだ一人だけだ。
もちろん例外はある。
跡継ぎだけは何が何でも確保せねばならないので、もしもの時は父と同じように、こっそりと妾妃を迎えることになるだろう。
歴代の王たちは『呪い』を信じて始祖王の定めた、古めかしい法律に従っていたわけではなかったはずだ。
今の世でも十分尊重に値するから従っていた。
ただ、それだけなのだということが、今の歳になって、やっと俺にもわかるようになった。
父の弟は幼くして事故死している。
俺に跡継ぎがなかったら、王家の血は絶えてしまうだろう。そうすれば国は乱れるに違いない。
多くの者が内乱、もしくは外圧に巻き込まれ、死ぬかも知れない。
昔はただただ憤って父上を軽蔑したが、今なら……母上に申し訳ないながら、妾妃を迎えることは正当な行為だったと理解できる。
父の妾妃は、子をなすまでは城内に密かに住まわされていたらしい。
エドワードは、一度だけその女性を見たそうだ。
真っ白い雪を思わせる、可憐かつ、凄い美人だったと言っていた。
まぁ、リオンを見ればそれは容易に納得できる。
もしかしたらその人は、母上をしのぐほどの美しさだったかもしれない。
ただ、彼女の存在は完全に隠されており、食事係が通うだけの寂しい暮らしぶりだったという。
その女性は亡くなって久しいらしいが、リオンが生きて地下に幽閉されていたのだから、母親の方も生きている可能性はある。そう思い探したが、結局見つからなかった 。
考えたくは無いが、実子のリオンに対してさえあの仕打ちなのだから、妹姫ヴィアリリスの生まれた今となっては、その女性は始末されたのかもしれない。
リオン自身は、母親について何も知らなかった。
生まれてすぐに引き離されたらしく『母』という言葉さえ知らないのだから、それ以上聞きようも無い。
深く説明して、リオンを傷つけるのもはばかられた。
それからも俺は、様々な事を調べた。
悪いとは思ったけれど、母が離宮に療養に行っている間に、母上の部屋まで調べた。
若い頃の父上が母上に当てたと思われるラブレターの束を、ベットの2重引き出しから見つけた時には思わず笑ってしまったが、笑えないものも発見した。
母上の昔の日記帳だ。
そこにはこう書かれていた。
また、歴代の王たちは『自分のためだけの贅沢』などはしなかった。
他国の王のように、何人もの妃を娶ることもない。
俺は王子だが、リオンのように洗濯まで自分でする事はないにしても、身の回りのことは全て自分自身でする。
着替えも、入浴も、自室の整理も、剣の手入れも……すべて。
それは俺が王になっても変わることはないだろうし、娶る妃も選びに選んだ一人だけだ。
もちろん例外はある。
跡継ぎだけは何が何でも確保せねばならないので、もしもの時は父と同じように、こっそりと妾妃を迎えることになるだろう。
歴代の王たちは『呪い』を信じて始祖王の定めた、古めかしい法律に従っていたわけではなかったはずだ。
今の世でも十分尊重に値するから従っていた。
ただ、それだけなのだということが、今の歳になって、やっと俺にもわかるようになった。
父の弟は幼くして事故死している。
俺に跡継ぎがなかったら、王家の血は絶えてしまうだろう。そうすれば国は乱れるに違いない。
多くの者が内乱、もしくは外圧に巻き込まれ、死ぬかも知れない。
昔はただただ憤って父上を軽蔑したが、今なら……母上に申し訳ないながら、妾妃を迎えることは正当な行為だったと理解できる。
父の妾妃は、子をなすまでは城内に密かに住まわされていたらしい。
エドワードは、一度だけその女性を見たそうだ。
真っ白い雪を思わせる、可憐かつ、凄い美人だったと言っていた。
まぁ、リオンを見ればそれは容易に納得できる。
もしかしたらその人は、母上をしのぐほどの美しさだったかもしれない。
ただ、彼女の存在は完全に隠されており、食事係が通うだけの寂しい暮らしぶりだったという。
その女性は亡くなって久しいらしいが、リオンが生きて地下に幽閉されていたのだから、母親の方も生きている可能性はある。そう思い探したが、結局見つからなかった 。
考えたくは無いが、実子のリオンに対してさえあの仕打ちなのだから、妹姫ヴィアリリスの生まれた今となっては、その女性は始末されたのかもしれない。
リオン自身は、母親について何も知らなかった。
生まれてすぐに引き離されたらしく『母』という言葉さえ知らないのだから、それ以上聞きようも無い。
深く説明して、リオンを傷つけるのもはばかられた。
それからも俺は、様々な事を調べた。
悪いとは思ったけれど、母が離宮に療養に行っている間に、母上の部屋まで調べた。
若い頃の父上が母上に当てたと思われるラブレターの束を、ベットの2重引き出しから見つけた時には思わず笑ってしまったが、笑えないものも発見した。
母上の昔の日記帳だ。
そこにはこう書かれていた。
0
お気に入りに追加
118
あなたにおすすめの小説

新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。

国王の嫁って意外と面倒ですね。
榎本 ぬこ
BL
一国の王であり、最愛のリヴィウスと結婚したΩのレイ。
愛しい人のためなら例え側妃の方から疎まれようと頑張ると決めていたのですが、そろそろ我慢の限界です。
他に自分だけを愛してくれる人を見つけようと思います。

私の事を調べないで!
さつき
BL
生徒会の副会長としての姿と
桜華の白龍としての姿をもつ
咲夜 バレないように過ごすが
転校生が来てから騒がしくなり
みんなが私の事を調べだして…
表紙イラストは みそかさんの「みそかのメーカー2」で作成してお借りしています↓
https://picrew.me/image_maker/625951

不幸体質っすけど、大好きなボス達とずっと一緒にいられるよう頑張るっす!
タッター
BL
ボスは悲しく一人閉じ込められていた俺を助け、たくさんの仲間達に出会わせてくれた俺の大切な人だ。
自分だけでなく、他者にまでその不幸を撒き散らすような体質を持つ厄病神な俺を、みんな側に置いてくれて仲間だと笑顔を向けてくれる。とても毎日が楽しい。ずっとずっとみんなと一緒にいたい。
――だから俺はそれ以上を求めない。不幸は幸せが好きだから。この幸せが崩れてしまわないためにも。
そうやって俺は今日も仲間達――家族達の、そして大好きなボスの役に立てるように――
「頑張るっす!! ……から置いてかないで下さいっす!! 寂しいっすよ!!」
「無理。邪魔」
「ガーン!」
とした日常の中で俺達は美少年君を助けた。
「……その子、生きてるっすか?」
「……ああ」
◆◆◆
溺愛攻め
×
明るいが不幸体質を持つが故に想いを受け入れることが怖く、役に立てなければ捨てられるかもと内心怯えている受け
噛痕に思う
阿沙🌷
BL
αのイオに執着されているβのキバは最近、思うことがある。じゃれ合っているとイオが噛み付いてくるのだ。痛む傷跡にどことなく関係もギクシャクしてくる。そんななか、彼の悪癖の理由を知って――。
✿オメガバースもの掌編二本作。
(『ride』は2021年3月28日に追加します)

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)
夏目碧央
BL
兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。
ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる