416 / 437
そうだ、エルシオンランドに行こう!(再会編2)
そうだ、エルシオンランドに行こう!(再会編2)12完結
しおりを挟む
*おわび
『そうだ、エルシオンランドに行こう!(再会編2)6』が予約ミスで公開されていませんでした。
申し訳ありません。現在、遅まきながら公開にしております。
ご迷惑をおかけしました。
それでも、引きつったのは瞬きほどの間であった。
エルはリオンの頬に、にっこりと微笑みながら美しくキスをした。
さぁどうだ?
これでリオンの機嫌は直るのかッ!?
ドキドキしながら見守る。
なんせ今夜、アースラの末であるリオンに居座られるかどうかの瀬戸際なのだ。
頑張れ、エル!! ワタシのためにも頑張って仲直りしてくれッ!!
心から応援してやるぞッ!!
「………………兄様!
やきもち焼いちゃってごめんなさいっ!!」
リオンは可愛らしく兄の胸に飛び込んだ。
ほっ。
これで仲直り完了か。案外ちょろいなァ。心配してソンした。
権謀術数に長けていたアースラの末とはとても思えない。
そうして二人は、仲良く自分たちの部屋に帰って行った。
万歳! 万歳!!
これでゆっくり眠れる。
ワタシは基本睡眠を必要としないが、人間の体を使っている間は一定時間体を休眠させて傷んだ部分を修復せねばならない。
悪いがよその夫婦喧嘩より、我が娘の体の修復作業の方が大事に決まっている。
翌日は素晴らしい快晴だった。
ロビーの大きな窓から朝日が差し込む早朝、ワタシは早速退室の手続きを取っていた。
本当はあと二泊するつもりだったのだが、あの二人の部屋の隣だといろいろと鬱陶しい。
しかも諸事情で結局体を休眠させられなかったのだ。
あいつらは、あれだけ遊んだり喧嘩したのにさっさと寝もせずに、明け方までやかましかった。
人間の子供の修学旅行じゃあるまいし、イイ年なのだからもう少し落ち着けよッ!!
ワタシは耳がいいので、隣の部屋であっても全て聞こえてしまう。
部屋に帰ってからのエルの土下座などは「もっとやれ~! いい気味だ~ッ!!」と、比較的ワクワク聞いていたのだが、その後は出会ってからの思い出話を強烈なのろけを交えながら延々と語る。
そう、明け方まで延々と。
人間のじじいは話が長いと魔界の本にも書いてあったが、本当に長い。
よみがえるのは、廟で延々とじじいの長話を聞かされ続けたあの拷問のような時間。
繰り返し、繰り返し、何百回、何千回。それは21年間も欠かさず続けられたのだった。
昨晩が『エルシオン出会い編』だったから、今晩は多分『旅の苦労編』だろう。
その次は『ブルボア王国編』だろうか……。
軽々と明日、明後日の話題を予想出来てしまう我が身が悲しい。
あいつらは無駄に頑丈なうえ、レジャーでテンションが上がっているから数晩の徹夜ぐらいはへっちゃらだろう。
そしてリオンはあんな話でも付き合っていて楽しいようだ。
もちろん、あいつらが起きていようと、意識をシャットアウトして聞こえないようにし、ワタシだけはぐっすり眠るという事は出来る。
でも、自分を封印できる『アースラの末』が近くに居て起きているというのに、動向を探らず無防備な姿で眠るという選択はない。
思い出話の中で、エルならうっかりアリシアとの愛を語るおそれがある。
そうなったなら、また夫婦喧嘩が勃発するに違いない。
ワタシが眠ったあと知らぬうちに夫婦喧嘩に巻き込まれ、八つ当たりで封印されたりしたらマヌケ過ぎるじゃないか。
もう、過去の過ちを繰り返すわけにはいかないのだ。
幸い昨夜は大丈夫だったが、今日もあの二人はエルシオンランドで遊ぶ予定だと聞いている。
昨日同様、リオンに捕まって一緒に引っぱり回されることだろう。
そしてアホの子のエルは、きっと今日も何かやらかして、ワタシが巻き込まれるのに決まってる。
こんなウザいことが、この世にあるだろうかッ……!!
「あばよっ!」
ワタシはもう当分、エルシオン城には近づかない。
二人に会うことは無いだろう。
無いといいな……。
どうかありませんように……。
大いなる希望と一抹の不安を抱えてワタシはエルシオンを後にした。
FIN
前回の再開編を書くのがあまりにも楽しかったので続きを書いてしまいました。
エルは能天気に過ごし、リオンも師匠が美しく飾られ、皆に感謝される姿を見てそれで満足なようです。
図太い二人はもはや人外寄りな気がしてなりません。
ではまた~!
読んでくださって大感謝です!!!
『そうだ、エルシオンランドに行こう!(再会編2)6』が予約ミスで公開されていませんでした。
申し訳ありません。現在、遅まきながら公開にしております。
ご迷惑をおかけしました。
それでも、引きつったのは瞬きほどの間であった。
エルはリオンの頬に、にっこりと微笑みながら美しくキスをした。
さぁどうだ?
これでリオンの機嫌は直るのかッ!?
ドキドキしながら見守る。
なんせ今夜、アースラの末であるリオンに居座られるかどうかの瀬戸際なのだ。
頑張れ、エル!! ワタシのためにも頑張って仲直りしてくれッ!!
心から応援してやるぞッ!!
「………………兄様!
やきもち焼いちゃってごめんなさいっ!!」
リオンは可愛らしく兄の胸に飛び込んだ。
ほっ。
これで仲直り完了か。案外ちょろいなァ。心配してソンした。
権謀術数に長けていたアースラの末とはとても思えない。
そうして二人は、仲良く自分たちの部屋に帰って行った。
万歳! 万歳!!
これでゆっくり眠れる。
ワタシは基本睡眠を必要としないが、人間の体を使っている間は一定時間体を休眠させて傷んだ部分を修復せねばならない。
悪いがよその夫婦喧嘩より、我が娘の体の修復作業の方が大事に決まっている。
翌日は素晴らしい快晴だった。
ロビーの大きな窓から朝日が差し込む早朝、ワタシは早速退室の手続きを取っていた。
本当はあと二泊するつもりだったのだが、あの二人の部屋の隣だといろいろと鬱陶しい。
しかも諸事情で結局体を休眠させられなかったのだ。
あいつらは、あれだけ遊んだり喧嘩したのにさっさと寝もせずに、明け方までやかましかった。
人間の子供の修学旅行じゃあるまいし、イイ年なのだからもう少し落ち着けよッ!!
ワタシは耳がいいので、隣の部屋であっても全て聞こえてしまう。
部屋に帰ってからのエルの土下座などは「もっとやれ~! いい気味だ~ッ!!」と、比較的ワクワク聞いていたのだが、その後は出会ってからの思い出話を強烈なのろけを交えながら延々と語る。
そう、明け方まで延々と。
人間のじじいは話が長いと魔界の本にも書いてあったが、本当に長い。
よみがえるのは、廟で延々とじじいの長話を聞かされ続けたあの拷問のような時間。
繰り返し、繰り返し、何百回、何千回。それは21年間も欠かさず続けられたのだった。
昨晩が『エルシオン出会い編』だったから、今晩は多分『旅の苦労編』だろう。
その次は『ブルボア王国編』だろうか……。
軽々と明日、明後日の話題を予想出来てしまう我が身が悲しい。
あいつらは無駄に頑丈なうえ、レジャーでテンションが上がっているから数晩の徹夜ぐらいはへっちゃらだろう。
そしてリオンはあんな話でも付き合っていて楽しいようだ。
もちろん、あいつらが起きていようと、意識をシャットアウトして聞こえないようにし、ワタシだけはぐっすり眠るという事は出来る。
でも、自分を封印できる『アースラの末』が近くに居て起きているというのに、動向を探らず無防備な姿で眠るという選択はない。
思い出話の中で、エルならうっかりアリシアとの愛を語るおそれがある。
そうなったなら、また夫婦喧嘩が勃発するに違いない。
ワタシが眠ったあと知らぬうちに夫婦喧嘩に巻き込まれ、八つ当たりで封印されたりしたらマヌケ過ぎるじゃないか。
もう、過去の過ちを繰り返すわけにはいかないのだ。
幸い昨夜は大丈夫だったが、今日もあの二人はエルシオンランドで遊ぶ予定だと聞いている。
昨日同様、リオンに捕まって一緒に引っぱり回されることだろう。
そしてアホの子のエルは、きっと今日も何かやらかして、ワタシが巻き込まれるのに決まってる。
こんなウザいことが、この世にあるだろうかッ……!!
「あばよっ!」
ワタシはもう当分、エルシオン城には近づかない。
二人に会うことは無いだろう。
無いといいな……。
どうかありませんように……。
大いなる希望と一抹の不安を抱えてワタシはエルシオンを後にした。
FIN
前回の再開編を書くのがあまりにも楽しかったので続きを書いてしまいました。
エルは能天気に過ごし、リオンも師匠が美しく飾られ、皆に感謝される姿を見てそれで満足なようです。
図太い二人はもはや人外寄りな気がしてなりません。
ではまた~!
読んでくださって大感謝です!!!
0
お気に入りに追加
118
あなたにおすすめの小説

新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。


紹介なんてされたくありません!
mahiro
BL
普通ならば「家族に紹介したい」と言われたら、嬉しいものなのだと思う。
けれど僕は男で目の前で平然と言ってのけたこの人物も男なわけで。
断りの言葉を言いかけた瞬間、来客を知らせるインターフォンが鳴り響き……?

この戦いが終わったら一緒になろうと約束していた勇者は、私の目の前で皇女様との結婚を選んだ
めぐめぐ
恋愛
神官アウラは、勇者で幼馴染であるダグと将来を誓い合った仲だったが、彼は魔王討伐の褒美としてイリス皇女との結婚を打診され、それをアウラの目の前で快諾する。
アウラと交わした結婚の約束は、神聖魔法の使い手である彼女を魔王討伐パーティーに引き入れるためにダグがついた嘘だったのだ。
『お前みたいな、ヤれば魔法を使えなくなる女となんて、誰が結婚するんだよ。魔法しか取り柄のないお前と』
そう書かれた手紙によって捨てらたアウラ。
傷心する彼女に、同じパーティー仲間の盾役マーヴィが、自分の故郷にやってこないかと声をかける。
アウラは心の傷を癒すため、マーヴィとともに彼の故郷へと向かうのだった。
捨てられた主人公が、パーティー仲間の盾役と幸せになる、ちょいざまぁありの恋愛ファンタジー短編。
※思いつきなので色々とガバガバです。ご容赦ください。
※力があれば平民が皇帝になれるような世界観です。
※単純な話なので安心して読めると思います。

婚約破棄されて捨てられた精霊の愛し子は二度目の人生を謳歌する
135
BL
春波湯江には前世の記憶がある。といっても、日本とはまったく違う異世界の記憶。そこで湯江はその国の王子である婚約者を救世主の少女に奪われ捨てられた。
現代日本に転生した湯江は日々を謳歌して過ごしていた。しかし、ハロウィンの日、ゾンビの仮装をしていた湯江の足元に見覚えのある魔法陣が現れ、見覚えのある世界に召喚されてしまった。ゾンビの格好をした自分と、救世主の少女が隣に居て―…。
最後まで書き終わっているので、確認ができ次第更新していきます。7万字程の読み物です。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる