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そうだ、エルシオンランドに行こう!(再会編2)
そうだ、エルシオンランドに行こう!(再会編2)1
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とある飯屋の裏。
ワタシとエルはバッタリと再会してしまった。
奴の最期を看取ってから、100年以上は経っていただろう。
とにかく久しぶりの再会であった。
しかし、何とも複雑な心境になってしまうのは仕方ない。
連れていかれたエルの家にはリオンが居たのだが、いわゆる『男の娘』となっており、欠片ほどの違和感も無くスカートをはきこなしていた。
一方、エルの方。
外見は昔のままなのだが――――――可愛げの全く無いタヌキ系・糞ジジイとなっていた。
時はあそこまで人を変えるのか……。
アリシアやエリスはあの可愛い性格のままで一生を過ごしたと信じたいが、奴らを見ていると段々と不安になってくる。
ちなみに何故『男の娘』などのマニアックな人間用語を知っているかというと、毎晩人間たちと飲み明かしてるからだ。
この体では長距離転移は元より、短距離転移ですら難しい。
大切な愛娘の体を傷めぬよう、大抵は人間同様の日々をおくっている。
……そうすると夜は暇で、宿屋の階下にある飯屋で人間たちと遅くまで飲むことが多くなる。
元から人間については相当詳しかったのに、それで益々詳しくなってしまったというわけだ。
さてワタシは今、エルシオン共和国にいる。
ここは、かつてワタシがアースラに捕らわれていた忌々しい場所だ。
……と言っても、ワタシが居た頃は王制の別の国であった。
今あるのは、その国が滅んだ更に後―――――他国の支配を退けて新たに建国された大統領制の国なのだ。
数代前の大統領がアルフレッド王にそそのかされ、優美なことで名高かったエルシオン城は驚くべき変貌を遂げた。
そして現在は、その国を代表する華々しいレジャーランドとなっている。
ワタシは以前、そこの株主優待券をエルからもらった。
……しかし、有効期限は1年。
もうすぐ失効しそうなので、久しぶりに寄ってみることにしたのだ。
最初にエルシオンランドに調査に来たのは、アリシアが天に召されてから22年後。
迷惑なほど長生きしたエルが眠りについたのを確認し、アリシアの体を一年かけて若返らせてからのことだった。
エルシオン城の前まで来た時は、そりゃあ驚いたものだった。
昔も城門のあたりは活気があったが、そういうレベルではない。
入るにしても大行列の後方に並ばなければならず、しかも入場制限まであったのだ。
チケットを買うのすら困難で、どうしたものかと思案していたら、見知らぬ男が融通してくれた。
美人は得である。
アリシアよ、ありがとう!!
しばらくはチケットの礼として、その男の言うまま一緒にまわっていたのだが、何気に肩を抱こうとしてきたので途中でまいた。
美人は大変でもある。
アリシアもきっと苦労していたに違いない。
さて、今回ワタシがもらった優待券は優良顧客用の特別なもので、入場ゲートも別となっている。
並ばなくて良いのかァ……。
エルも中々気の利いたものをくれるではないか。
悠々と入場し、とりあえず一番気になるところから巡る。
そう、初めてエルシオンランドを訪れたとき一番仰天したあの場所だ。
前の外伝終了~今回の外伝開始までの間に評価を入れて下さった方ありがとうございます。長~いのに最後まで読んで下さり大感謝です!(お礼を言う場所がないのでここでコッソリ)
ワタシとエルはバッタリと再会してしまった。
奴の最期を看取ってから、100年以上は経っていただろう。
とにかく久しぶりの再会であった。
しかし、何とも複雑な心境になってしまうのは仕方ない。
連れていかれたエルの家にはリオンが居たのだが、いわゆる『男の娘』となっており、欠片ほどの違和感も無くスカートをはきこなしていた。
一方、エルの方。
外見は昔のままなのだが――――――可愛げの全く無いタヌキ系・糞ジジイとなっていた。
時はあそこまで人を変えるのか……。
アリシアやエリスはあの可愛い性格のままで一生を過ごしたと信じたいが、奴らを見ていると段々と不安になってくる。
ちなみに何故『男の娘』などのマニアックな人間用語を知っているかというと、毎晩人間たちと飲み明かしてるからだ。
この体では長距離転移は元より、短距離転移ですら難しい。
大切な愛娘の体を傷めぬよう、大抵は人間同様の日々をおくっている。
……そうすると夜は暇で、宿屋の階下にある飯屋で人間たちと遅くまで飲むことが多くなる。
元から人間については相当詳しかったのに、それで益々詳しくなってしまったというわけだ。
さてワタシは今、エルシオン共和国にいる。
ここは、かつてワタシがアースラに捕らわれていた忌々しい場所だ。
……と言っても、ワタシが居た頃は王制の別の国であった。
今あるのは、その国が滅んだ更に後―――――他国の支配を退けて新たに建国された大統領制の国なのだ。
数代前の大統領がアルフレッド王にそそのかされ、優美なことで名高かったエルシオン城は驚くべき変貌を遂げた。
そして現在は、その国を代表する華々しいレジャーランドとなっている。
ワタシは以前、そこの株主優待券をエルからもらった。
……しかし、有効期限は1年。
もうすぐ失効しそうなので、久しぶりに寄ってみることにしたのだ。
最初にエルシオンランドに調査に来たのは、アリシアが天に召されてから22年後。
迷惑なほど長生きしたエルが眠りについたのを確認し、アリシアの体を一年かけて若返らせてからのことだった。
エルシオン城の前まで来た時は、そりゃあ驚いたものだった。
昔も城門のあたりは活気があったが、そういうレベルではない。
入るにしても大行列の後方に並ばなければならず、しかも入場制限まであったのだ。
チケットを買うのすら困難で、どうしたものかと思案していたら、見知らぬ男が融通してくれた。
美人は得である。
アリシアよ、ありがとう!!
しばらくはチケットの礼として、その男の言うまま一緒にまわっていたのだが、何気に肩を抱こうとしてきたので途中でまいた。
美人は大変でもある。
アリシアもきっと苦労していたに違いない。
さて、今回ワタシがもらった優待券は優良顧客用の特別なもので、入場ゲートも別となっている。
並ばなくて良いのかァ……。
エルも中々気の利いたものをくれるではないか。
悠々と入場し、とりあえず一番気になるところから巡る。
そう、初めてエルシオンランドを訪れたとき一番仰天したあの場所だ。
前の外伝終了~今回の外伝開始までの間に評価を入れて下さった方ありがとうございます。長~いのに最後まで読んで下さり大感謝です!(お礼を言う場所がないのでここでコッソリ)
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