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再会小話(前回外伝の数年後のお話)

再会小話(前回外伝の数年後のお話)2

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 そうして酒を飲んで気の良い人間たちと「あはは」と笑っているうちにガードが甘くなり、ごくごく稀にだが、通路をさり気なく横切る見知らぬ奴に触られてしまうことがある。

 昔のワタシなら、ソイツを大沼の底にでも転移させていただろう。
「何で人間ごときに尻を触られねばならぬのだ!!」と叫んでひと暴れしたかもしれない。

 今でもそうしたい気持ちは多少はあるのだが、アリシアの体で『同属殺し』をするのは気が引ける。
 あの子は不可抗力とはいえ、多くの人間を殺してしまった事をとても悔やんでいたからな。

 だから、こっそりと不届きな男を裏に呼び出して、ささやかな仕返しなどをしているのだ。

 なのに……。

「ヴァティール、それはいくらなんでもやりすぎだ」

 空気を読まない男・エルは、自分の元嫁の尻が触られたにもかかわらず、間抜けな言葉を吐いた。

 確かにワタシにシメられた男は泡を吐いてだらしなく気絶しているが、命に別状は無い。
 外傷もほとんど無い。

 ワタシはリオンほど無茶苦茶な奴ではないからな。力の加減はよく心得ている。

 コレはアレだ……そう、教育!!
 優しいワタシは男を裏に呼び出して、二度と女に邪念を抱かない程度にこうやってシメ上げ、教育しているのだ。

 女によこしまな気持ちを持って触ろうとしたら、そのたびに死を仮想体験できるという特別サービスつきの教育なので、再犯率は0%だ。

 世のため人のため、今日も良いことをしてしまった。
 天国のアリシアやエリスは喜んでくれているかなっ♪

 娘たちの笑顔に思いをはせていると、空気を読まぬ男が言った。

「……ったく。アリシアの体でそういうことをしないでくれないか?」

 エルは不機嫌そうだった。
 せっかくワタシが善行を積んでいるというのに。

 リオンのときもそうだったが、身に染み付いた小姑根性は一度死んでも健在なようである。
 とにかくコイツは昔から、ワタシのする事なす事、なんでも気に入らないのだ。

「取りあえず、騒ぎになる前に俺の家に来い。
 茶ぐらいは出してやる」

 おお、茶は出るのか!

 初めてエルに出会ったとき、リオンと住んでいたみすぼらしい里の家に招かれた。
 しかし、茶の一つも出てこなかった。

 それなのに今回はどうだ。
 ちゃんと成長しているではないか。

 ただ、気がかりなこともある。

「リオンはどうしているのだ?
 お前一人ってことはないのだろう?」

 リオンはあの憎っくき糞魔道士アースラの末だ。
 何度煮え湯を飲まされてきたことか。

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