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アルフレッド王編・番外(連載コメディーとなります)
アルフレッド王編・番外(連載コメディーとなります)7
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とりあえず、滝のような涙を流すヴァティール殿にハンカチを差し出してみた。
彼はソレを素直に受け取った。
エルもそうだが、彼も案外涙もろい。
この二人こそ私から見ればよく似ていて、まるで親子みたいだ。
もしリオンが『好きな人』を連れてきたなら、きっとエルも同じように泣き伏したのだろうなぁ……。
「ワタシだって……グスン……出来ることならアリシアやエリスを不老不死にしてやりたい。誰にも渡したくないはない。
しかし……ワタシは一族のじじい共に『不老不死を与えられた人間の悲惨な末路』を散々聞かされてきた。
娘たちをそんな目に合わせたくはないし、母となる喜びも体験させてやりたい……ううっ……」
なるほど。
エリスの言う通り、彼は本当に娘想いで優しい。
しかしその優しさの『万分の一』でもいいから、私に振り向けてはくれないものだろうか。
「若いエリスはともかくとして、私の子作り適齢期はそろそろ過ぎそうなのですが……その件についてはいかがお考えなのでしょうか?」
私はとりあえず聞いてみた。
「ふん。私が人間でないと知ってホラを吹く気かッ。
女と違って男はあと十年は大丈夫なはずだ。
それまで待ってもらおうかァ」
……やっぱり駄目か。
確かに年取ってから子を設けることは不可能ではない。
しかし、その年齢だと子を授かる可能性が極端に低くなる事もいなめない。
こりゃだめだ。妃との間に子を作ることはもう無理だ。
運よく十年後に子をもうけたとしても、帝王教育を施し次の王の一人立ちを見届けるまで私が生きているかどうかすらわからない。
しかし、妾を持つのはもっと無理だ。
ヴァティール殿に生皮をはがされて海に捨てられてしまう。
そうでなくとも私は『父の同類』になどなりたくないし、こうなったら腹をくくり優秀な子供を見繕って後継者として育てるしかないか。
私は早々に子作りを諦めることにした。
多少思うところはあるが、これから生まれるエルとアリシアの子なら多分優秀で頑丈だろう。
幼い頃から英才教育をして後を継がせてしまえ。
諦めモードのアルフレッド王に春がやって来るのは、ヴァティールが眠りについた後なのだが、このときの彼には知るよしもない。
頑張れアルフレッド王!!
Fin
読んで下さってありがとうございます!!
おかげさまで今回も楽しく書けました♪
今回の話ではヴァティールは王に大変厳しいですが、婚約の話が決まるまではどっちかというと優しいぐらいでした。
ただし『王』という立場の人に利用されるのはイヤなので積極的に協力などはしていません。
今回も『自分の娘』に危害が及ぶのを恐れて行動しただけで王に協力したわけではありません。
元々アースラのせいで『人間の魔道士』は大嫌い。危険認定しているので火の粉を振り払っただけです。
エリスが悲しむ事を恐れて命までは奪いませんでしたが。
基本ヴァティールはテリトリー内に入ってきた敵には容赦しません。
そしてエリスが止めなければ実際に始末してました。
エリスは『しない』と思い込んでいますが、彼はそこまで善人ではありません。
このお話の時点ではヴァティールは『人間が不老不死になっても悲惨なだけだ』と信じています。
でもラストから200年後にエルたちとヴァティールはひょんなことから再び出会います。
でもどう見ても、エルもリオンも幸せいっぱい。
更に千年たっても相変わらず幸せそうなエルとリオンを見て『じじいたちに騙されたっ……』と感じ後悔しています。
人々に置いていかれるばかりの孤独な不老不死はとてもつらそうですが、『いつも二人の世界』的なリオンとエルなら1万年生きてても大丈夫そうですね~。
いつも読んでくださり、ありがとうございます!!
彼はソレを素直に受け取った。
エルもそうだが、彼も案外涙もろい。
この二人こそ私から見ればよく似ていて、まるで親子みたいだ。
もしリオンが『好きな人』を連れてきたなら、きっとエルも同じように泣き伏したのだろうなぁ……。
「ワタシだって……グスン……出来ることならアリシアやエリスを不老不死にしてやりたい。誰にも渡したくないはない。
しかし……ワタシは一族のじじい共に『不老不死を与えられた人間の悲惨な末路』を散々聞かされてきた。
娘たちをそんな目に合わせたくはないし、母となる喜びも体験させてやりたい……ううっ……」
なるほど。
エリスの言う通り、彼は本当に娘想いで優しい。
しかしその優しさの『万分の一』でもいいから、私に振り向けてはくれないものだろうか。
「若いエリスはともかくとして、私の子作り適齢期はそろそろ過ぎそうなのですが……その件についてはいかがお考えなのでしょうか?」
私はとりあえず聞いてみた。
「ふん。私が人間でないと知ってホラを吹く気かッ。
女と違って男はあと十年は大丈夫なはずだ。
それまで待ってもらおうかァ」
……やっぱり駄目か。
確かに年取ってから子を設けることは不可能ではない。
しかし、その年齢だと子を授かる可能性が極端に低くなる事もいなめない。
こりゃだめだ。妃との間に子を作ることはもう無理だ。
運よく十年後に子をもうけたとしても、帝王教育を施し次の王の一人立ちを見届けるまで私が生きているかどうかすらわからない。
しかし、妾を持つのはもっと無理だ。
ヴァティール殿に生皮をはがされて海に捨てられてしまう。
そうでなくとも私は『父の同類』になどなりたくないし、こうなったら腹をくくり優秀な子供を見繕って後継者として育てるしかないか。
私は早々に子作りを諦めることにした。
多少思うところはあるが、これから生まれるエルとアリシアの子なら多分優秀で頑丈だろう。
幼い頃から英才教育をして後を継がせてしまえ。
諦めモードのアルフレッド王に春がやって来るのは、ヴァティールが眠りについた後なのだが、このときの彼には知るよしもない。
頑張れアルフレッド王!!
Fin
読んで下さってありがとうございます!!
おかげさまで今回も楽しく書けました♪
今回の話ではヴァティールは王に大変厳しいですが、婚約の話が決まるまではどっちかというと優しいぐらいでした。
ただし『王』という立場の人に利用されるのはイヤなので積極的に協力などはしていません。
今回も『自分の娘』に危害が及ぶのを恐れて行動しただけで王に協力したわけではありません。
元々アースラのせいで『人間の魔道士』は大嫌い。危険認定しているので火の粉を振り払っただけです。
エリスが悲しむ事を恐れて命までは奪いませんでしたが。
基本ヴァティールはテリトリー内に入ってきた敵には容赦しません。
そしてエリスが止めなければ実際に始末してました。
エリスは『しない』と思い込んでいますが、彼はそこまで善人ではありません。
このお話の時点ではヴァティールは『人間が不老不死になっても悲惨なだけだ』と信じています。
でもラストから200年後にエルたちとヴァティールはひょんなことから再び出会います。
でもどう見ても、エルもリオンも幸せいっぱい。
更に千年たっても相変わらず幸せそうなエルとリオンを見て『じじいたちに騙されたっ……』と感じ後悔しています。
人々に置いていかれるばかりの孤独な不老不死はとてもつらそうですが、『いつも二人の世界』的なリオンとエルなら1万年生きてても大丈夫そうですね~。
いつも読んでくださり、ありがとうございます!!
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