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アルフレッド王編・番外(連載コメディーとなります)

アルフレッド王編・番外(連載コメディーとなります)6

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 そんなこんなで一ヶ月がたった。

 妃とは簡素なノートでのやり取り……そして食事を日に一回一緒にとる毎日があるだけで、寝室も相変わらず別だ。

 私は父と違って女性の甘やかな肌をどうしても求めたいと言うわけではないが、結婚式を間近に控えたエルとアリシアのラブラブぶりが鬱陶しい。

 こちらは禁欲の日々だというのに、さっさと子供まで作ってすっきりとした顔をしているのはいかがなものだろう。

 エルよ。もう弟の事はどうでもよいのか?
 私は寂しいぞ。
 お前は私同様、婚期を逃すと踏んでいたのに。


「ヴァティール殿。どうにも私には納得がいきませんな」

 ある日私は、決死の覚悟でヴァティール殿に直訴してみた。

「何がだ?」

「不公平ではありませんか。
 あなたにとって娘同様のアリシアは子供を作っても何も文句を言わぬのに、どうして私とエリスでは駄目なのでしょうか?」

 そこまで言うと、ヴァティール殿は不機嫌そうに顔をしかめた。
 マズイ。機嫌を損ねたかっ……!!

 豚の餌コースが脳裏に浮かび、冷や汗が伝う。

「……ったく。お前は人間の癖に知らないのかァ?」

 ヴァティール殿があきれたような表情を浮かべた。

「いいかよく聞け。人間には出産適齢期というものがある。
 ま、人間に限らず生物にはほとんどあるのだがな」

「まぁ適齢期ぐらいは、私も知っておりますが」

 というか、知らないほうがどうかしている。

「そうか。なら良い。
 知っての通り、人間は『適齢期』というものを逃すと子を作れない。
 そういうか弱い生物なのだ。
 寿命短い人間たちは、子孫を作って命を繋いでいかねばならない。
 また、それが生物にとっての一番の幸せだと聞いている」

 そこまで言うと、ヴァティール殿はうつむいた。

「だから……だから不本意……なのだが……我慢、しているのだっ!!
 ワタシが反対したらアリシアは優しいから、結婚しないままだろうし……娘を泣かすわけにはいかないだろうッ!
 この馬鹿者が!!!!」

 彼はそう言って、娘の代わりに泣き伏した。
 
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