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アルフレッド王編・番外(連載コメディーとなります)

アルフレッド王編・番外(連載コメディーとなります)3

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 しかしエリスは賢い姫君だった。

 彼女は私を『男』として見てはいなかった。明らかに。
 それでも彼女は国益を考えたのか、その話を受けた。
 若い彼女には相当の覚悟がいった事だろうに、たいしたものだ。

 さて、ヴァティール殿はそんな彼女を『娘』と公言して溺愛していたのだが、

「……アルフレッド王よ」

 目の前の彼が、あの紅い瞳で私に凄んだ。

「ワタシはオマエを高く評価している。
 エリスをどこぞの屑に取られるぐらいなら、オマエで我慢しよう。
 しかしこれは何だ?
 こんな可愛らしい『交換日記帳』でエリスの気を引こうなどとは厚かましい。
 お前たちにはコレで十分だ」

 渡されたのは、城内の下級兵士用雑貨店にある3冊1エドルの簡素なノートだった。

「しかしヴァティール殿、若い女性との交換日記に使うには、あまりにも簡素なのでは……」

 というか、私はあの可愛らしい交換日記帳でさえ『大国の姫』には不釣合いに簡素だと感じていた。
 あれは確かに可愛らしいが、金箔も貼られてないし、宝石もちりばめられてはいない。

「うるさい。エリスは贅沢は好まないからこれで良いのだ。
 それから、ノートに『今日の髪型も素晴らしい。可愛らしい貴方によく似合っていますね』などと女々しく書いたりするな。
 お前が心配しなくとも、エリスの髪形についてはワタシやアリシアがもう十分に褒めている」

 ノートの事だけでもビックリなのに、思わぬところからも突っ込まれ、私は一瞬言葉を失った。

「……そ、それでは私はいったい何を書けば良いのでしょうか?」

「うむ。そうだなァ……無難なところで今日の天気の記録。それに、王らしく『法の制定』の過程や、部下からの報告などを書くのが良かろう」

 ヴァティール殿は、うなずきながら言い渡した。

 ……ちょっと待て。
 それはすでに『交換日記』とは言わない。ただの業務連絡ノートだ。

「何、別にワタシは難しい事を押し付けているわけではない。
 そうやって誠実に3年間付き合ったなら、今度はもう少し可愛いノートも認めてやろう。更にもう三年頑張れ」

「もう三年頑張ったら……どうなるのですか?」

 私は恐る恐る聞いてみた。

「そうだな、……喜べ。年に一回ぐらいは手を繋ぐことを許可してやる」

 ヴァティール殿は悪魔のような笑みを浮かべた。

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