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アルフレッド王編・番外(連載コメディーとなります)
アルフレッド王編・番外(連載コメディーとなります)2
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幼少の頃の体験により、私はどこか女性を冷めた目で見ていた。
父上の『女好き』のとばっちりをくらいまくったし、母上も美しい妾妃たちによっていやがらせを受け続け、ついには殺されてしまった。
父上自身も己が正妃に暗殺され、女たちの戦いと浪費によって、国は乱れに乱れ、滅んでしまった。
だから美しい女性を見ても、まずは警戒心が先に立つ。
もちろん、程々な女性に対しても特に入れあげることはなかった。
妃を迎えるなら、美しくなどなくとも良い。
『賢く優しい、質素な女性』をただ一人……それで十分。
女同士のいさかいなど、見たくも無い。
エリスは子供の頃から我が城に置いているが、聡明で優しい。
国民からの受けも良い。
しかも、その『受けの良さ』は最初から持ち合わせていたものではなく『敵国の憎まれていた姫』という立場をひっくり返して手に入れたものだ。
彼女は贅沢は好まず、侍女であるアリシアを『お姉様』と慕う。
他の者にも身分を問わず、大変優しく接していた。
暇があれば慰問を行い、たとえ罵られようともくじけはせず、自ら雑巾を手に孤児院の床に膝を折って清掃もしたようだ。
もちろんエリスは同盟国から預かった大切な姫君。
危害を加えられることを恐れて私は許可を出さなかったが、ヴァティール殿が娘の願いを聞き届け、勝手に連れ出してしまった。
こうなると、私ではもう手が出せない。
しかし私の心配は無用だったようで、ヴァティール殿はいつものように、時々凄みながらも、
「娘の故国の不始末なら、私の不始末でもある」
と、案外謙虚にエリスやアリシアと共に清掃作業をしていたと部下から報告を受けていた。
このような行動がアレス帝国の間諜に知れたため、『つけいる隙有り』と皇太子が妹のところに忍んで来たのであろう。
それはまぁともかく、エリスは慈愛あふれる好ましい少女だった。
かつてエルシオンで見た王妃様たちと比べても、決して引けはとらぬであろう。
しかも勉学にも良く励み、贅沢も好まない。
これほど『王妃としての資質』に優れた女性には、もう巡り合えないに違いない。
と言っても、私たちの年齢は著しく離れている。
年の差婚は王族貴族の間では決して珍しいものではなかったし、後継者を生んでもらうなら『若い妃』の方が良いに決まっている。
しかし、私には『父の醜態』を苦々しく思っていた過去があった。
エリスが拒むのなら、この話を進める気は無かった。
国のためならたいていの事は出来る私だったが、エリスはリオン同様、失った弟を思い出させる存在なのだ。
可愛らしい金の巻き毛は弟によく似ていて、私なりに彼女を守ってやりたいと考えていた。
父上の『女好き』のとばっちりをくらいまくったし、母上も美しい妾妃たちによっていやがらせを受け続け、ついには殺されてしまった。
父上自身も己が正妃に暗殺され、女たちの戦いと浪費によって、国は乱れに乱れ、滅んでしまった。
だから美しい女性を見ても、まずは警戒心が先に立つ。
もちろん、程々な女性に対しても特に入れあげることはなかった。
妃を迎えるなら、美しくなどなくとも良い。
『賢く優しい、質素な女性』をただ一人……それで十分。
女同士のいさかいなど、見たくも無い。
エリスは子供の頃から我が城に置いているが、聡明で優しい。
国民からの受けも良い。
しかも、その『受けの良さ』は最初から持ち合わせていたものではなく『敵国の憎まれていた姫』という立場をひっくり返して手に入れたものだ。
彼女は贅沢は好まず、侍女であるアリシアを『お姉様』と慕う。
他の者にも身分を問わず、大変優しく接していた。
暇があれば慰問を行い、たとえ罵られようともくじけはせず、自ら雑巾を手に孤児院の床に膝を折って清掃もしたようだ。
もちろんエリスは同盟国から預かった大切な姫君。
危害を加えられることを恐れて私は許可を出さなかったが、ヴァティール殿が娘の願いを聞き届け、勝手に連れ出してしまった。
こうなると、私ではもう手が出せない。
しかし私の心配は無用だったようで、ヴァティール殿はいつものように、時々凄みながらも、
「娘の故国の不始末なら、私の不始末でもある」
と、案外謙虚にエリスやアリシアと共に清掃作業をしていたと部下から報告を受けていた。
このような行動がアレス帝国の間諜に知れたため、『つけいる隙有り』と皇太子が妹のところに忍んで来たのであろう。
それはまぁともかく、エリスは慈愛あふれる好ましい少女だった。
かつてエルシオンで見た王妃様たちと比べても、決して引けはとらぬであろう。
しかも勉学にも良く励み、贅沢も好まない。
これほど『王妃としての資質』に優れた女性には、もう巡り合えないに違いない。
と言っても、私たちの年齢は著しく離れている。
年の差婚は王族貴族の間では決して珍しいものではなかったし、後継者を生んでもらうなら『若い妃』の方が良いに決まっている。
しかし、私には『父の醜態』を苦々しく思っていた過去があった。
エリスが拒むのなら、この話を進める気は無かった。
国のためならたいていの事は出来る私だったが、エリスはリオン同様、失った弟を思い出させる存在なのだ。
可愛らしい金の巻き毛は弟によく似ていて、私なりに彼女を守ってやりたいと考えていた。
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