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アルフレッド王編・番外(連載コメディーとなります)
アルフレッド王編・番外1(連載コメディーとなります)
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*注・このお話の時期はエルの婚約~結婚式の少し前ぐらいとなります。
アルフレッド王・涙の交換日記秘話!?
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「おーほほほほっ!」
元は他を寄せ付けぬほどの軍事大国であったアレス帝国。
その国の皇太子――――威風堂々・筋骨隆々の青年を見下したようにあざ笑ったのは、普段、聖女のように優しく美しい我が妃であった。
「ンまぁぁ、お兄様、本当に図々しいですわ。
たった10歳のわたくしを敵国に売り渡しておきながら『アレス復興のために力を貸せ』ですって?
嫌です。お断りします。全身全霊をかけて拒否いたしますわ」
ここは王妃であるエリスの私室。
そこにコソコソと忍んできた実兄を、エリスはこれ以上ないほど辛らつな言葉で拒絶した。
アレス帝国は、かつてわが国を攻め滅ぼそうとした憎き敵国である。
しかし元植民地にいっせいに反旗を翻され、弱体化してしまった。
そこでアレス王は、幼い末姫であるエリスをブルボア王国に差し出して、和平の証としたのである。
もちろん同盟国となったからと言って、両国はその後厚い信頼関係で結ばれた……というような麗しい事実は無く、表面的な戦争状態が終結しただけで、水面下ではいまだ憎み合い、潰し合っている。
それでもわが国にはヴァティール殿がいる。
アレス帝国は我が国の画策を知りながらも大きくは動けず、歯噛みするほかなかった。
策に窮したアレス王は、『妹との再会と慰労』という名目で皇太子をブルボア王国に遣わした。
そうしてコソコソと妃の私室に忍んでやって来て……たった今、
『ヴァティールを何とかするように』
と、エリスに命じたところであったのだ。
……え?
そんな秘中の秘を、何故リアルタイムで私が知っているかって?
簡単な事だ。
エリスの私室のクローゼットの中に潜んで、その様を空気取りの隙間から見ているからだ。
いやいや私は仮にも王なので、普段からこのような覗き行為をしているわけではない。
エリスの動向については『元敵国の姫』であっただけに気にならないわけではなかったが、そんな事をしたら、エリスを溺愛しているヴァティール殿が飛んできて、城のてっぺんから吊るされるに違いない。
ヴァティール殿の『エリス溺愛』ぶりは本当に凄まじい。
先日も彼は、可愛いノートを手に王室まで怒鳴り込みに来た。
「貴様ッ!! コレはいったいどういう事だッ!!!」
恐ろしい形相で私を睨みつつ、彼は私に一冊のノートを突きつけた。
「え……と、それは先日エリスに渡した『交換日記帳』だと思うのですが、何か不都合でもありましたかな?」
30代も残りわずかな私だが、エリスとの婚儀が決まった後、
「エリスを泣かせたらブッ殺すッ!!!
結婚しても許可できるのは交換日記までッ!!」
とヴァティール殿に言われたので、取り合えず交換日記でもしてみることにしたのだ。
もちろん私はもうそれなりの年なので、妻を持ったなら一日も早く子作りに励まねばならない。
国の後を継ぐ者がいないというのは、揉める原因となるのだから。
まぁ、いなければいないで優秀な子供を養子にして後継者とする手もあるのだが、それにしてもそろそろ後継者候補を探して教育せねばと考え始めていたところに、アレス帝国から『エリスを正妃に』と打診があり、婚儀に至ったというわけだ。
アルフレッド王・涙の交換日記秘話!?
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「おーほほほほっ!」
元は他を寄せ付けぬほどの軍事大国であったアレス帝国。
その国の皇太子――――威風堂々・筋骨隆々の青年を見下したようにあざ笑ったのは、普段、聖女のように優しく美しい我が妃であった。
「ンまぁぁ、お兄様、本当に図々しいですわ。
たった10歳のわたくしを敵国に売り渡しておきながら『アレス復興のために力を貸せ』ですって?
嫌です。お断りします。全身全霊をかけて拒否いたしますわ」
ここは王妃であるエリスの私室。
そこにコソコソと忍んできた実兄を、エリスはこれ以上ないほど辛らつな言葉で拒絶した。
アレス帝国は、かつてわが国を攻め滅ぼそうとした憎き敵国である。
しかし元植民地にいっせいに反旗を翻され、弱体化してしまった。
そこでアレス王は、幼い末姫であるエリスをブルボア王国に差し出して、和平の証としたのである。
もちろん同盟国となったからと言って、両国はその後厚い信頼関係で結ばれた……というような麗しい事実は無く、表面的な戦争状態が終結しただけで、水面下ではいまだ憎み合い、潰し合っている。
それでもわが国にはヴァティール殿がいる。
アレス帝国は我が国の画策を知りながらも大きくは動けず、歯噛みするほかなかった。
策に窮したアレス王は、『妹との再会と慰労』という名目で皇太子をブルボア王国に遣わした。
そうしてコソコソと妃の私室に忍んでやって来て……たった今、
『ヴァティールを何とかするように』
と、エリスに命じたところであったのだ。
……え?
そんな秘中の秘を、何故リアルタイムで私が知っているかって?
簡単な事だ。
エリスの私室のクローゼットの中に潜んで、その様を空気取りの隙間から見ているからだ。
いやいや私は仮にも王なので、普段からこのような覗き行為をしているわけではない。
エリスの動向については『元敵国の姫』であっただけに気にならないわけではなかったが、そんな事をしたら、エリスを溺愛しているヴァティール殿が飛んできて、城のてっぺんから吊るされるに違いない。
ヴァティール殿の『エリス溺愛』ぶりは本当に凄まじい。
先日も彼は、可愛いノートを手に王室まで怒鳴り込みに来た。
「貴様ッ!! コレはいったいどういう事だッ!!!」
恐ろしい形相で私を睨みつつ、彼は私に一冊のノートを突きつけた。
「え……と、それは先日エリスに渡した『交換日記帳』だと思うのですが、何か不都合でもありましたかな?」
30代も残りわずかな私だが、エリスとの婚儀が決まった後、
「エリスを泣かせたらブッ殺すッ!!!
結婚しても許可できるのは交換日記までッ!!」
とヴァティール殿に言われたので、取り合えず交換日記でもしてみることにしたのだ。
もちろん私はもうそれなりの年なので、妻を持ったなら一日も早く子作りに励まねばならない。
国の後を継ぐ者がいないというのは、揉める原因となるのだから。
まぁ、いなければいないで優秀な子供を養子にして後継者とする手もあるのだが、それにしてもそろそろ後継者候補を探して教育せねばと考え始めていたところに、アレス帝国から『エリスを正妃に』と打診があり、婚儀に至ったというわけだ。
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