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エルとリオンのトホホ外伝
エルとリオンのトホホ外伝16
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リオンのホッとした顔を見て安心する。
そうともリオン。
兄様はな、俺の事だけじゃなく『リオンごと大事にしてくれる女性』を彼女にするつもりだ。
そうして3人仲良く、いつまでも一緒に生きていけばいい。
うんうん、良い話でまとまった。
やはりアリシアは、ここぞというところではキメてくれる。
『特殊な性癖を持っている』という欠点はあるが、時々は優しいし、頭の回転もずば抜けて良い。
俺は感謝のまなざしで彼女を見た。
「そうよ。一人になんてならないわよ。リオンだってけっこう人気あるのだもの。
うっと~しい兄ちゃんなんかさっさとポイ捨てして、あなたも『可愛い彼女』でも作りなさいよ。
13歳になったのなら、けっして早すぎたりはしないわっ♪
誰か紹介してあげる?」
ちょ……一見優しげな表情して、何を言い出すのだこのクソ女っ!!
早すぎるに決まっているだろう!!
せっかく途中までは『良い話』だと涙ぐんで聞いていたのに台無しだ。
「だ、駄目だからなっ!!
リオンに彼女なんて、絶~~~対駄目だからなっ!!!!!!」
立ち上がって大声を上げたせいか、再び回り中が俺たちをジロジロ見つめていた。
う。
落ち着け俺。
紳士な俺らしくないぞ。
「リオン、アリシアに騙されてはいけないぞ。
それにリオンは俺とずっと暮らすのと、新しく彼女を作って彼女と暮らすのと、どっちが良い?」
「僕は、兄様とずっと一緒に暮らしたいです」
リオンは1秒の間も無く即答した。
それを見てアリシアは大きくため息をついたが、もう諦めたようだった。
「アリシアさん、あなたのさっきの言葉は僕への好意として受け取っておきましょう。
しかし僕の幸せは『兄様と共に』あるのです。
これからだって僕は毎日兄様に抱っこしていただいて、ベッドで一緒に眠ります。
夕飯とかを『あ~ん』って部屋で食べさせてもらいます。
絶対兄様の『彼女』にその地位は譲りませんし、僕だって兄様とお別れしてまで『彼女』を作るなんて考えられません」
きっぱりと言ったその時、どこからともなく『報道』の腕章をつけた奴らがわらわらと湧いて出た。
「それでリオンさん、毎日お兄さんと一緒に寝てるって本当なのですか?」
「……はいっ。本当です!!」
リオンが頬を染めて力いっぱい返事する。
「お兄さんを愛してるってことですか?」
「ええ、昔から」
『お前ら散れ散れ~ッ!! 念写真も撮るなっ!!』
と、記者連中に怒鳴ったのはフリーズしていた俺じゃなくてアリシアだったが、その翌週、とんでもない記事が出たのは言うまでもない。
雑誌の売り上げは過去最高で、王の機嫌もそれに比例するように最高だったが、なんだか凄い誤解だけが残された。
多分俺は、この国では一生彼女なんか出来ない。
それはリオンも一緒な気がする。
「ゴメンなリオン。何か変な事になって……」
「僕は嬉しいですよ?」
しょんぼりしてしまった俺に、にっこりと笑ってくれるリオンはやはり優しくて愛らしくて癒される。
「ま、いいか」
そう言う俺の顔を、やはり隣の席で朝食を食べていたアリシアは『トホホ』という顔でじっと見つめていた。
Fin
いつもにも増しての馬鹿話、大変失礼致しました。
でも、書くのは大変楽しゅうございました~!
トホホ度は80%ぐらいにしたつもりですが、あまりのブラコン度にドン引きされていませんでしょうか?
アリシア、不憫すぎでしょうか?
でも、ここまで読んで下さってる方々ならきっと大丈夫ですよね~!(と思いたい)
ちなみに雑誌の記事はティーンを含む女性向けなのでそんなに酷いことは書いていませんよ~。
でも今後、女性たちはエルの事は『観賞用』としか思わず、恋人の地位を狙ってアタックをかけるような事は激減すると思います。
男性たちには「アレは無害。どんなに美形でも無害。俺の彼女がキャーキャー言ってても問題なし」と認定されて、好感度がちょっぴり上がったかもですね。
ところで、
「おまいらさっさと結婚しなさい。」
というコメントと共に、某様からかわゆいイラストをいただきました。(前サイトの頃ですが)
すっごくかわゆいでしょう~!!
まだまだ番外編がいくつかあるので気長にお付き合いいただけると嬉しいです。
そうともリオン。
兄様はな、俺の事だけじゃなく『リオンごと大事にしてくれる女性』を彼女にするつもりだ。
そうして3人仲良く、いつまでも一緒に生きていけばいい。
うんうん、良い話でまとまった。
やはりアリシアは、ここぞというところではキメてくれる。
『特殊な性癖を持っている』という欠点はあるが、時々は優しいし、頭の回転もずば抜けて良い。
俺は感謝のまなざしで彼女を見た。
「そうよ。一人になんてならないわよ。リオンだってけっこう人気あるのだもの。
うっと~しい兄ちゃんなんかさっさとポイ捨てして、あなたも『可愛い彼女』でも作りなさいよ。
13歳になったのなら、けっして早すぎたりはしないわっ♪
誰か紹介してあげる?」
ちょ……一見優しげな表情して、何を言い出すのだこのクソ女っ!!
早すぎるに決まっているだろう!!
せっかく途中までは『良い話』だと涙ぐんで聞いていたのに台無しだ。
「だ、駄目だからなっ!!
リオンに彼女なんて、絶~~~対駄目だからなっ!!!!!!」
立ち上がって大声を上げたせいか、再び回り中が俺たちをジロジロ見つめていた。
う。
落ち着け俺。
紳士な俺らしくないぞ。
「リオン、アリシアに騙されてはいけないぞ。
それにリオンは俺とずっと暮らすのと、新しく彼女を作って彼女と暮らすのと、どっちが良い?」
「僕は、兄様とずっと一緒に暮らしたいです」
リオンは1秒の間も無く即答した。
それを見てアリシアは大きくため息をついたが、もう諦めたようだった。
「アリシアさん、あなたのさっきの言葉は僕への好意として受け取っておきましょう。
しかし僕の幸せは『兄様と共に』あるのです。
これからだって僕は毎日兄様に抱っこしていただいて、ベッドで一緒に眠ります。
夕飯とかを『あ~ん』って部屋で食べさせてもらいます。
絶対兄様の『彼女』にその地位は譲りませんし、僕だって兄様とお別れしてまで『彼女』を作るなんて考えられません」
きっぱりと言ったその時、どこからともなく『報道』の腕章をつけた奴らがわらわらと湧いて出た。
「それでリオンさん、毎日お兄さんと一緒に寝てるって本当なのですか?」
「……はいっ。本当です!!」
リオンが頬を染めて力いっぱい返事する。
「お兄さんを愛してるってことですか?」
「ええ、昔から」
『お前ら散れ散れ~ッ!! 念写真も撮るなっ!!』
と、記者連中に怒鳴ったのはフリーズしていた俺じゃなくてアリシアだったが、その翌週、とんでもない記事が出たのは言うまでもない。
雑誌の売り上げは過去最高で、王の機嫌もそれに比例するように最高だったが、なんだか凄い誤解だけが残された。
多分俺は、この国では一生彼女なんか出来ない。
それはリオンも一緒な気がする。
「ゴメンなリオン。何か変な事になって……」
「僕は嬉しいですよ?」
しょんぼりしてしまった俺に、にっこりと笑ってくれるリオンはやはり優しくて愛らしくて癒される。
「ま、いいか」
そう言う俺の顔を、やはり隣の席で朝食を食べていたアリシアは『トホホ』という顔でじっと見つめていた。
Fin
いつもにも増しての馬鹿話、大変失礼致しました。
でも、書くのは大変楽しゅうございました~!
トホホ度は80%ぐらいにしたつもりですが、あまりのブラコン度にドン引きされていませんでしょうか?
アリシア、不憫すぎでしょうか?
でも、ここまで読んで下さってる方々ならきっと大丈夫ですよね~!(と思いたい)
ちなみに雑誌の記事はティーンを含む女性向けなのでそんなに酷いことは書いていませんよ~。
でも今後、女性たちはエルの事は『観賞用』としか思わず、恋人の地位を狙ってアタックをかけるような事は激減すると思います。
男性たちには「アレは無害。どんなに美形でも無害。俺の彼女がキャーキャー言ってても問題なし」と認定されて、好感度がちょっぴり上がったかもですね。
ところで、
「おまいらさっさと結婚しなさい。」
というコメントと共に、某様からかわゆいイラストをいただきました。(前サイトの頃ですが)
すっごくかわゆいでしょう~!!
まだまだ番外編がいくつかあるので気長にお付き合いいただけると嬉しいです。
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