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エルとリオンのトホホ外伝

エルとリオンのトホホ外伝13

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 その日、俺は安心してぐっすりと眠った。
 リオンがいい子に育っていて、本当に嬉しい。

 結局リオンは、俺を独り占めしたいだけのようだった。

 全部パーフェクトだと、俺を好きになった『誰か』に横からかっさらわれるかもしれない。
 でも他の皆が俺の一部を少々悪く思っていたなら、誰にも兄を取られず、いつまでも一緒に居られる……そのような事を王からささやかれて、ナルホドと思い黙っていたらしい。

 う~ん。

 ちょっとモヤモヤするが、そういう風に話しておけば、今後もリオンは『俺を悪く言うヤツ』を問答無用で殺害したりはしないだろう。

 モテないという欠点はあるが、さすが王。たいしたアイデアだ。

 もちろん王はリオンのキレ方の凄さを知らないはずだが『リオンを悲しませない』という点だけを見ても上々と言える。


 翌朝目覚めれば、腕の中には小さくて可愛い弟。
 一応ベッドは二台あるが、リオンに絵本を読んでやりながら、自分も眠たくなってそのままということが時々ある。

 というか、しょっちゅうある。

 いや、ほとんど毎日と言った方がいいのだろうか?
 アリシアに馬鹿にされたくないので秘密だが。

 リオンは外では警戒心が強いが、俺の腕の中では安心しきった顔で眠る。
 それがまた、たいそう可愛い。

 運が良ければ寝言なども聞く事も出来る。
 その言葉が、

「兄様、大好き……」

 だったりしようものなら天にも昇る心地だ。
 黄金にも代えがたい至福の瞬間である。

 それでも仕事のある朝は、いつまでもリオンの顔を眺めているわけにもいかず、仕方なく起こす。

「ふぁ……にーさま、おはようございます……」

 まだ眠そうな目をこすりつつも、リオンが朝の挨拶をする。
 どんな時でも行儀作法の行き届いた子なのである。

 がさつなアリシアやヴァティールとは大違いだ。

 さて、少し長めの袖からのぞく華奢な指に萌えつつも、そろそろ時間を気にしなくてはならない。

「おはよう。さ、着替えて食堂に朝ごはんを食べに行こうか?」

 額におはようのキスを落としてから爽やかに言って、俺も手早く支度を整える。
 今日はいつもより長くリオンの寝顔を見ていたため、少し遅れそうだ。

 しまった……。
 朝食はパンか何かを買って部屋に置いておけばよかった。
 そうすれば、心置きなくリオンの可愛い寝顔をもっと眺めていられたのに。

 夕食は、いくらか払えば希望の時間に部屋まで届けてくれる。
 しかし、朝はそういうサービスはない。

 でもパンだけでは、育ち盛りのリオンの栄養源としてはいささか心もとないか。
 やっぱり手間でも食堂まで行って、バランスの良い食事を取った方がいい。

 王の要請の下、食堂のメニューはすべて安価で栄養バランスのとても良いものとなっているらしいしな。

 さて、食堂に行くとアリシアがいた。

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