332 / 437
外伝・アルフレッド王編・夢の国の果て
アルフレッド王編・夢の国の果て 5
しおりを挟む
そうやってドロドロとした決意を内に秘め、かの大国に向かったはずなのに……僕はあっという間に変わってしまった。
多分エルシオン王国独特の空気がそうさせるのだろう。
巨大王国から見れば十分にみすぼらしい僕を、エルシオン王は大歓迎して下さった。
お后様も同様だ。
お二人の容姿はとてつもなく麗しく、40歳に間もなく届くなんて想像も出来ない。
何より瞳が澄んでいる。
同じ女性とはいえ、お后様は祖国の鬼女たちとはまるで違う生き物のようだった。
「ようこそわが国へ」
僕より少し年上の、美貌の少年皇太子も驚くほどの気さくさで僕に話しかけてきた。
皇太子に寄り添うように微笑む極上の美少女は、きっとわが国で噂になった『貧しい小国出の姫』なのだろう。
では、姫の少し後ろでにこやかに微笑んでいる少年は『麗しの姫』のオマケとして祖国から追い出されたという『姫の兄君』だろうか?
ナニコレ?
こんな綺麗な人間たちが、まさかこの世にいようとは。
父王は美しい女性に手を出しまくっていたが、美しさのレベルが全く違う。
その差は銅の指輪と純金の王冠程もあるだろう。
いや、それ以前にあの姫君の幸せそうなこと。
全く信じられない。
普通、小国から買われるようにして引き取られた姫の立場は大変微妙だ。
陰謀渦巻く宮中に、後ろ盾も財力もろくに持たない姫が入り込んだなら色々と影から嫌がらせをされるのが世の常というもの。
しかしこの姫は僕のような暗い瞳をしていない。
姫のオマケとして国を追い出された兄君も、堂々と大国の王族たちとなじんでいる。
臣下の者たちも皆穏やかそうで、従者でさえその表情は明るい。
更には『絶対者』である王族や貴族に対しても彼らは軽々しく話しかけ、笑いあっているのだ。
多分エルシオン王国独特の空気がそうさせるのだろう。
巨大王国から見れば十分にみすぼらしい僕を、エルシオン王は大歓迎して下さった。
お后様も同様だ。
お二人の容姿はとてつもなく麗しく、40歳に間もなく届くなんて想像も出来ない。
何より瞳が澄んでいる。
同じ女性とはいえ、お后様は祖国の鬼女たちとはまるで違う生き物のようだった。
「ようこそわが国へ」
僕より少し年上の、美貌の少年皇太子も驚くほどの気さくさで僕に話しかけてきた。
皇太子に寄り添うように微笑む極上の美少女は、きっとわが国で噂になった『貧しい小国出の姫』なのだろう。
では、姫の少し後ろでにこやかに微笑んでいる少年は『麗しの姫』のオマケとして祖国から追い出されたという『姫の兄君』だろうか?
ナニコレ?
こんな綺麗な人間たちが、まさかこの世にいようとは。
父王は美しい女性に手を出しまくっていたが、美しさのレベルが全く違う。
その差は銅の指輪と純金の王冠程もあるだろう。
いや、それ以前にあの姫君の幸せそうなこと。
全く信じられない。
普通、小国から買われるようにして引き取られた姫の立場は大変微妙だ。
陰謀渦巻く宮中に、後ろ盾も財力もろくに持たない姫が入り込んだなら色々と影から嫌がらせをされるのが世の常というもの。
しかしこの姫は僕のような暗い瞳をしていない。
姫のオマケとして国を追い出された兄君も、堂々と大国の王族たちとなじんでいる。
臣下の者たちも皆穏やかそうで、従者でさえその表情は明るい。
更には『絶対者』である王族や貴族に対しても彼らは軽々しく話しかけ、笑いあっているのだ。
0
お気に入りに追加
118
あなたにおすすめの小説

新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした
亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。
カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。
(悪役モブ♀が出てきます)
(他サイトに2021年〜掲載済)

心からの愛してる
マツユキ
BL
転入生が来た事により一人になってしまった結良。仕事に追われる日々が続く中、ついに体力の限界で倒れてしまう。過労がたたり数日入院している間にリコールされてしまい、あろうことか仕事をしていなかったのは結良だと噂で学園中に広まってしまっていた。
全寮制男子校
嫌われから固定で溺愛目指して頑張ります
※話の内容は全てフィクションになります。現実世界ではありえない設定等ありますのでご了承ください


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる