痣。

藤野 優

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二人のあいつ、そして距離の話。

2−13

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しばらくして、白鳥は夕方からシフトが入っているから、と言って俺の家を後にした。




それから数日間、色々とタイミングが合わず一緒に昼飯を食べたり、飲みに行ったりすることが無くなった。
けれど以前までと違ってメッセージのやり取りが頻繁に行われた。

殆どが白鳥からの会話をなさないような「今日のシフトは13~16、、、。」とか「朝ごはん美味しい」とか。
それに加えて毎日の「おはよう」と「おやすみ」。

一応全てに返事はしているものの、相手の顔が想像できる分迷惑メールのようにシカト出来ない、厄介なメールだとは、思っている。

ただ、それはずっと会えないような仲にはちょうどよくて、いわゆる生存確認のようなものになっていた。


それが日常化したある日「家、来てくれませんか?」とメールがきた。よく意味が理解できなかったので
「えっと、どういうことでしょうか?」と硬苦しい敬語で返信してしまった。
「話が突然過ぎましたね。昨日、友人に大量のカレイをもらったんですけど、消費を手伝ってほしいなぁと思って。」「なので、俺の家に来てくれませんか?」
ピコン、ピコンと通知音を奏でながらメッセージが届いた。

とりあえず、なぜこんなメールが送られてきたのかははっきりしたため
俺は「なるほどね。なら、できるだけ早いほうがいいよね?」「いつがいい?」
と聞いた。

するとすぐに「いつでもいいですよ」「今週末とかどうですか?」と返ってきた

スケジュールを確認すると、金曜日の午後八時~と日曜日の午後六時まではシフトが入っていなかったので、
「金曜夜~日曜夕方までなら空いてる」「そこならいつでも大丈夫」
「なら、金曜に迎えに行きますね」「八時上がりですか?」
「うん」
「把握しました!!」
会話の最後はわかりやすくスタンプが使われていた。

今日は水曜日なのでまだ少し先のことになるが、ほんの少しの期待ぐらいしたっていいだろう。







金曜日になり、すっかり水曜日の会話を忘れていた俺は、
店の制服を畳んでロッカーに入れ「お先に失礼します。」と声をかけ
スタッフ出入り口から顔を出すといういつもの動作を終えた。

いつもと違うのは白鳥がいて、おつかれ、と声をかけてくるところだ。

まさか居るとは思っていなかったので、えっ、と声を先を上げてしまった。
そうすると、共鳴したように白鳥もえっ?と声を上げた。

けれど、なぜここに白鳥が居るのかという問いの答えをすぐに見つけることが出来たので
いや、なんでも無い。と誤魔化し先を促した。
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