痣。

藤野 優

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二人のあいつ、そして距離の話。

2−9

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入って入ってと促してごちゃごちゃした部屋の奥へと進んだ。
文房具が入っている箱から、以前まで血液がついていたであろうカッターナイフを取り出し、白鳥に渡す。
俺はどうしても不器用なので、すぐに怪我をするのだ。まぁそれ以外にも血液がつく理由はあるのだが。

箱の開封をあいつに全部託して、落ちたテープなどのゴミを捨てる。
散らかっている空のダンボールを拾い、玄関の方へ持ち出す。俺はしばらくそんな作業を続けた。

なんとか今日中に家電をすべて箱から出し終える事ができた。

ただ、取り扱い説明書が難解でそれ以上がなかなか進まない。
どうしたものかと頭を抱えていると、白鳥が横から入ってきて「とりあえずやってみれば?俺も手伝うから。」と言ってくれた。ほんとに頼れるやつだと思う。

冷蔵庫を立てて、変な形のコンセントにプラグを刺すところまで出来た。電源をつけて初期設定をするところはよく解らなかったので白鳥に手伝ってもらった。

そんな感じで、大半を白鳥に任せたまま家電の設置を終えた。まさか今日中に終わるとは思ってなかったもので、大変助かっている。
ただ、それでも家電の数はそこそこあったので、すでに終電は取り逃しているような時間だし、夕方からぶっ通しで作業していたのでお腹が空いている。

そこで俺は、ついこの間購入した即席麺をキッチンの棚から二人分取り出してお湯を沸かし始めた。もちろんさっき取り付けた電気ケトルで。

普通に鍋で沸かすより早いんだなぁと最近の科学技術に感心してしまった。いや、俺が古に生きていただけなんだが。危ない。時かけおじさんになるところだった。


さっさと間食を済ませて俺と白鳥は家の近くにある24時間営業のスーパーで買い出しをした。

白鳥はご飯を俺に任せて自分の欲しい物を買いに行った。
俺は、白鳥の食の好みを把握していないので
とりあえず今日の昼食と被らないようにサラダの類の惣菜を買って無人レジに向かった。

バーコードを読み取ってると、
走ってきたのか息が荒い白鳥が「これも追加していい?」とビール缶の6本セットを差し出してきた。
俺の飲む予定はないが、白鳥が飲む分には問題ないので一緒に会計をした。

帰宅して、ダンボール改め新しい折りたたみの机の上に買ってきた惣菜とマグカップに入れた俺の飲み水を置いた。
「「カンパーイ」」と小さく号令をかけ、マグカップと缶ビールを合わせた。
俺はマスクを外したくなかったので、そのまま机にコップを置いたがあいつはクイッとビールを煽るように飲んだ。

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