2 / 14
第2話
しおりを挟む
目が覚めるとどこかの廃墟にいるようだった。俺はなぜか折り畳まれた服の上にいた。横に視線をずらすと瑠璃色の艶やかな髪をしたパジャマ姿の可愛らしい美少女が布団がわりの布にくるまって寝息を立てている。美少女は廃墟のすき間から風が吹き込む度にブルリと震え、またお腹がすいているのか時折腹を鳴らす。
自分の体を見ることはできないが、美少女と自分とを比べたサイズ感、そしてあの神様との会話からしてどうやら本当に自分はパンティーになってしまったのかも。とそこへ。
(おーおー、無事パンティーに転生できたようじゃの! お主のイメージ通りの可愛らしいパンティー型の魔道具じゃ。感謝するがよい!)
(感謝するがよい、じゃねえ! どうしてくれる!)
(お主がそう言ったからの? こちらに非はないぞ?)
(確かに言ったけどよ、普通冗談だってわかるだろうがよ……)
(フォッフォッフォッフォ)
神様の声が頭に響いたので心の中で言葉を発してみたら会話が成立した。あとやっぱりパンティーになってしまったのは確定らしくガックリと落ち込む俺。いや、落ち込んでる場合じゃない。
(それよりもこれどういう状況なんだよ、ってか人間に戻してくれよ!)
(それは無理じゃ。再び人間に転生するには、魔道具として生を全うし、徳を積まねばならぬのじゃ!)
(なんだと!?)
(とりあえずそこにいる少女を助けてみることじゃ。徳を積み、魔道具として生を全うすれば、いずれ人間として転生させることも可能なのでな)
(まじか……)
俺は横にいる美少女の寝顔を見る。確かに頬が煤《すす》けて汚れており、せっかくの美少女が台無しだ。こんな廃墟に住んでいることからも何か困っている状況にあるのだと推測できる。
(あとお主には貯まった徳を使ってお役立ち能力をつけてあるので説明するぞい。言語理解、五感、魔力上昇(小)、影獣(狼)、空間収納(小)、探知(小)じゃ。言語理解と五感で会話が可能に、魔力上昇(小)はお主を装備する者の魔力を上げる、影獣(狼)は敵と戦わせることのできる獣魔を召喚することができるスキルじゃの。まずは色々試してみることじゃ)
(わかった……)
スキルって言えば、漫画とかで出てくるあれだよな。
(ステータスとスキルポイント、スキルツリーと心の中で唱えれば、表示されるようになっておる。ステータスとスキルポイントはモンスターを倒してその魔石を体内に取り込めば上がるし、スキルを使うのに必要な魔力もそれで回復する。新たなスキルを取得してせいぜいサバイブするがよかろう。そこは人の身で生き抜くにはかなり危険な世界なのでな)
モンスターがいるのか……。
(あとはその少女とのファーストコンタクトじゃが…、まああんまり説明しすぎるとワシの楽しみが減るのでの、このくらいにしておくぞよ。それでは素敵な魔道具ライフを送るのじゃ! ふぉーっふぉっふぉっふぉっふぉ!)
「俺は神様の娯楽のために生きてるわけじゃないんですけど!」と文句を言おうと思ったら、神様は笑ゥ◯ぇるすまんのような笑い声の余韻だけを残し気配はすでになくなっていた。
まあ、文句を言ったところで徳とやらを積まないと神様にもどうしようもできないようだし意味がない。何より徳さえ積めば人間に転生し直すことができると神様は言た。ゴールが明確なら人間頑張れるってもんだ。
ならやってやんよ、魔道具ライフ。人間になどすぐに返り咲いてやる。
自分の体を見ることはできないが、美少女と自分とを比べたサイズ感、そしてあの神様との会話からしてどうやら本当に自分はパンティーになってしまったのかも。とそこへ。
(おーおー、無事パンティーに転生できたようじゃの! お主のイメージ通りの可愛らしいパンティー型の魔道具じゃ。感謝するがよい!)
(感謝するがよい、じゃねえ! どうしてくれる!)
(お主がそう言ったからの? こちらに非はないぞ?)
(確かに言ったけどよ、普通冗談だってわかるだろうがよ……)
(フォッフォッフォッフォ)
神様の声が頭に響いたので心の中で言葉を発してみたら会話が成立した。あとやっぱりパンティーになってしまったのは確定らしくガックリと落ち込む俺。いや、落ち込んでる場合じゃない。
(それよりもこれどういう状況なんだよ、ってか人間に戻してくれよ!)
(それは無理じゃ。再び人間に転生するには、魔道具として生を全うし、徳を積まねばならぬのじゃ!)
(なんだと!?)
(とりあえずそこにいる少女を助けてみることじゃ。徳を積み、魔道具として生を全うすれば、いずれ人間として転生させることも可能なのでな)
(まじか……)
俺は横にいる美少女の寝顔を見る。確かに頬が煤《すす》けて汚れており、せっかくの美少女が台無しだ。こんな廃墟に住んでいることからも何か困っている状況にあるのだと推測できる。
(あとお主には貯まった徳を使ってお役立ち能力をつけてあるので説明するぞい。言語理解、五感、魔力上昇(小)、影獣(狼)、空間収納(小)、探知(小)じゃ。言語理解と五感で会話が可能に、魔力上昇(小)はお主を装備する者の魔力を上げる、影獣(狼)は敵と戦わせることのできる獣魔を召喚することができるスキルじゃの。まずは色々試してみることじゃ)
(わかった……)
スキルって言えば、漫画とかで出てくるあれだよな。
(ステータスとスキルポイント、スキルツリーと心の中で唱えれば、表示されるようになっておる。ステータスとスキルポイントはモンスターを倒してその魔石を体内に取り込めば上がるし、スキルを使うのに必要な魔力もそれで回復する。新たなスキルを取得してせいぜいサバイブするがよかろう。そこは人の身で生き抜くにはかなり危険な世界なのでな)
モンスターがいるのか……。
(あとはその少女とのファーストコンタクトじゃが…、まああんまり説明しすぎるとワシの楽しみが減るのでの、このくらいにしておくぞよ。それでは素敵な魔道具ライフを送るのじゃ! ふぉーっふぉっふぉっふぉっふぉ!)
「俺は神様の娯楽のために生きてるわけじゃないんですけど!」と文句を言おうと思ったら、神様は笑ゥ◯ぇるすまんのような笑い声の余韻だけを残し気配はすでになくなっていた。
まあ、文句を言ったところで徳とやらを積まないと神様にもどうしようもできないようだし意味がない。何より徳さえ積めば人間に転生し直すことができると神様は言た。ゴールが明確なら人間頑張れるってもんだ。
ならやってやんよ、魔道具ライフ。人間になどすぐに返り咲いてやる。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
魔法力0の騎士
犬威
ファンタジー
この世界グランディアには魔法が存在する。
魔法は誰でも扱うことができ、人によって個人差があった。
魔法が当たり前のように日常に溢れている中、アリア=シュタインは生まれながらにして魔法力の値が完全に0であった。それでもアリアはその事を嘆くわけでもなく魔法が無いなら無いなりに努力を重ね、念願であった騎士になり、それから五年という月日が経った。
このころから見るようになった悪夢はアリアの人生を大きく変える物語になっていき、さらに激化する大陸戦争にアリアもまた巻き込まれていく……
イラストはぎどら(@KING GIDORA)様の力作ですので無断転載、無断使用はお止めください!
クラス転移、異世界に召喚された俺の特典が外れスキル『危険察知』だったけどあらゆる危険を回避して成り上がります
まるせい
ファンタジー
クラスごと集団転移させられた主人公の鈴木は、クラスメイトと違い訓練をしてもスキルが発現しなかった。
そんな中、召喚されたサントブルム王国で【召喚者】と【王候補】が協力をし、王選を戦う儀式が始まる。
選定の儀にて王候補を選ぶ鈴木だったがここで初めてスキルが発動し、数合わせの王族を選んでしまうことになる。
あらゆる危険を『危険察知』で切り抜けツンデレ王女やメイドとイチャイチャ生活。
鈴木のハーレム生活が始まる!
転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。
そんなに妹が好きなら死んであげます。
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』
フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。
それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。
そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。
イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。
異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。
何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
悪役令嬢は始祖竜の母となる
葉柚
ファンタジー
にゃんこ大好きな私はいつの間にか乙女ゲームの世界に転生していたようです。
しかも、なんと悪役令嬢として転生してしまったようです。
どうせ転生するのであればモブがよかったです。
この乙女ゲームでは精霊の卵を育てる必要があるんですが・・・。
精霊の卵が孵ったら悪役令嬢役の私は死んでしまうではないですか。
だって、悪役令嬢が育てた卵からは邪竜が孵るんですよ・・・?
あれ?
そう言えば邪竜が孵ったら、世界の人口が1/3まで減るんでした。
邪竜が生まれてこないようにするにはどうしたらいいんでしょう!?
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる