【R18】段ボールとオカンとNTR

コーヒー牛乳

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──だから、罰が当たったのだ。

大人になって、懐に入れた相手が。相手の心が離れていくのが辛く寂しく思えた。
年齢を重ねるほど、別れが怖くなった。自分の寂しい穴に吸い込まれ落ちてしまいそうになるのが怖くて。
しがみついてしまった。相手に尽くせば自分の寂しい穴を無視出来た。

「……ハヤトくんが知ってる”マナ姉”はもういないよ」

ハヤトくんの視線から逃げるようにうつ伏せになり、枕に顔を沈める。

「もう簡単に次だとか、そんなバイタリティない。今は興奮して別れられた!って解放感に包まれてるけど、きっと何日かしたら寂しくて沈んでる。それでちょうどよく来た悪いところを直すからって都合のいい連絡につられて元通りなんだよ」

もう何回か繰り返した未来予想図を口にすれば、そんなみっともない自分が恥ずかしくて弟分の顔が見れなかった。
だって、弟分の前での私は。泣いたらさっぱり過去と決別して。次があるさと立ち上がって。さみしくなんかなくて。強かった。気がする。

「それ、さっき聞いたよ。いつも『悪いところがあったら直すから言って』って言うんでしょ?今まで散々言ってたのに、聞いてなかったのかよーってさっきも怒ってたよ」

うつ伏せになった体の上をまたぐように、ハヤトくんが体重をかけ乗った。重い。
しかも、弟分の口調は”またか”というような聞き覚えのある呆れた口調だ。
変に気を使われるよりかマシだが、同じ話を繰り返す妙齢の女性に「さっき聞いた」は禁句だ!

「また同じ話してるって言った!喋りたいんだから、何回でも喋らせてくれたっていいじゃんか……っ」

拗ねたように言い返すと、またハイハイと宥めるようにうなじを舐め上げられた。
きゅうっと肘が縮こまり、服の中に侵入しようとする手の進行を許してしまった。

いつから期待して硬くなっていたのか、胸の感触を確かめるように這わされた手のひらと指がそれに当たると喉が締まるように音が漏れてしまう。

「ビクビクしてかわいい」

ね、と頬にキスの感触があった。それと同時にデニムが下されお尻から手が入っていく。
指に感じた感触に満足したのか、蜜を塗り広げるように前後に撫でられる。

いつから──とか余計なことを言おうとする唇を塞ぐように、頭を引き寄せキスをした。
首がつりそうになったけれど、ハヤトくんは興奮したように指の動きを大胆にした。

もう中からせり上がってくる気持ちよさと、キスの気持ちよさと、何やらの興奮で何も考えがまとまらない。

唇を離し、Tシャツに顔を埋めながら喘ぎ声を我慢する。木造のワンルームなのだ。隣人に聞かれたら恥ずかしくてそれどころではなくなってしまう。

「中がうねって、指が気持ちいい。はぁ。ごめん。もう、挿れたい」

そう囁くが早いか、カチカチと服を寛げる音がした。
中途半端に絡まっていたデニムと下着を引き下ろされ、腰を抱えられると後ろから指とは違う質量の熱いものが入ってきた。

「……はっ、溶けそう」
「もっ、そういうこと……ふぅっ、言わなくてい、いいのっ」

ぴったりと背中を包み込むように覆い被さってきた熱い体に、なぜか安心してしまう。
脇の下から伸びた腕に肩を抑えられ、逃げられないと感じると同時に征服されたような安心感や興奮が頭の中を駆け巡る。

中をこじ開けるようにグリグリと押し付けられ、それだけなのに勝手に体が達してしまった。
我が物顔で中にいる彼にもそれは伝わってしまったようで、それを咎めるように腰の動きが止まらない。

「だめだとかなんとか言いながら、もうイッたの?」
「今、だめっ……動かな…あぁっ」

動かないでと言っているのに、抉るように動かされ息が止まりそうになる。逃げたくても肩を押さえつけられ逃げられない。
ひんひんと泣いているのか、喘いでいるのか自分でもわからなくなってきた声をTシャツに押し付ける。

ふと押さえつける手が緩んだと思ったら、中にあったものがズルリと出ていく。
逃げたかったのに、体を包んでいた熱も。中にあった熱も無くなると、とたんに心細くなる。

なんで、と言葉にする前に体をひっくり返され仰向けになる。
そうするのが自然だとばかりに足を広げられ、また熱が戻ってきた。

はしたない音を鳴らしながら戻ってきた熱と体に安心して、抱き着く。

「……洋服じゃなくて、俺にして」

もしかして、声を我慢するために顔を押し付けていた洋服に嫉妬したのだろうか。そう思い至ると、勝手に中がギュッと熱を締め付けた。
ぐっと声がしたと思ったが、もうお互いのキスに呑まれて聞こえない。

室内にはグチュグチュという水音と、呼吸音と、なんだろう。なんでもいい。頭が弾けそう。
うわごとのように「すごいの」「溶けちゃう」「バカになっちゃう」と口から出ていたらしく、やっぱり何度かキスでふさがれてしまった。

我を忘れて没頭していると、彼の手が私の顔を挟んだ。逃げないように。

「……好き?」

好き、とはどれのことだろうか。今もねっとり動かされてるこれのことだろうか。揺さぶられすぎてよく聞こえなかった。気持ちいいのは好き。
顔を挟む手に自分の手を重ね、好きだと答える。それは濁流のように止まらなかった。
逸らすことは許さないといわんばかりの強さの視線に絡めとられ、見つめながら壊れたように「すき」「すき」「すき」と繰り返した。

その答えに何か触発されたのか、今までの比ではないほど腰を振りたくられ、抉られ、何度目かもうわからない絶頂に頭が弾けた。

どちらの体が跳ねているのか、もうわからない。動きを止め、やっぱりねっとりとキスをしていた唇がゆっくりと離れていく。
彼は体を起こすと、腰をゆるゆると押しつけまだ中に留まろうとしていた。その感覚に、またピクリと私も反応してしまうのだから仕方ない。

中に入っていたものがまた元気になるまで入ったままで。
なぜ抜かずに何度もできていたのかに気付くのは昼過ぎで。

こういうことは勝手にしてはいけないし、勢いでもだめで、とにかくダメなのだと説教をするこになるのは起きてからで。

あいつがまた来るかもしれないからハヤトくんの家に避難しようと当座の荷物を段ボールにつめたのは夕方で。

またしつこくマーキングするかのように中に擦り込まれるのは夜になってからで。

責任をとらなければいけないと地元に挨拶に行くのは来週で。
婚姻届けを出すのは、その日の午後で。

弟分が夫になり、夫の友だちのユウダイくんと手巻きずしパーティーをするのは再来週で。

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