【R18】うちの子はどこですか！？！？

うちの子は無事ですか？

うちの子は無事ですか？ 2

──急に私の頭の中に流れてきた記憶は酷く曖昧だった。

以前の「私」は家族に縁遠く、家族というものに憧れていた。

父と母は「私」を置いて先に逝ってしまった。
本当は寂しいのに、自分の心に麻酔をかけて見ないふりをして。自分の心の支えを失うことを知ってしまったからか、誰かを心の内に入れることを怖がって。上手く頼り甘えることが思うように出来ない孤独を感じるたび、「家族」に憧れていた。

そんな私が人の道から外れずに生きていられたのは、長年私の側にいた愛犬の存在が大きかっただろう。
いつも。いつでも。私の側に寄り添い、私の孤独を癒してくれた。

そして、私は高校を卒業後に就職した先の社長の紹介で夫となる男性と結婚した。
憧れの家族を作ることができたのだ。

──「君は向日葵みたいだね。ピンと上を向いてるところとか、眩しいぐらい」

そう言って、夫はいつも穏やかな笑顔で包んでくれた。
甘え下手で上手く頼ることが出来ずに身動きが取れなくなる私に、辛抱強く付き合ってくれた。

恋愛結婚では無かったものの、愛犬と夫と幸せな時間がそこにはあった。
やっと手に入れた幸せが、家族というものが、ずっと続くと思っていた。

しかし、ずっとなんて。永遠なんてこの世には無いのだ。
つい幸せすぎて忘れていた。

子どもにも恵まれ、これからという時に。夫も私を置いて逝ってしまった。

事故だった。

父親の声を聴くことが出来なかった息子を抱え、悲しみに暮れる時間も無く必死に生きた。

私に幸せをくれた夫と、私の宝物のために生きた。