細めの雪にはなれなくて
麻生かおりは、海辺の街で育った。幼い頃から水辺が好きだった。水はいい。液体から個体や気体へ、何も考えず巡り巡って、また戻るだけ。麻生かおりの望みは、ほんの小さなことだった。でもそれが、気づけばずっとそばに居た人を追い詰めていたなんて知らなかった。彼女が唯一望んだのは、全てを失う前に自分から消えることだった。
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