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出会い編
【幕間】幸福な朝
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幕間 幸福な朝
目が覚めたのはまだ、夜も明けきらぬ頃合いだった。
「……アルフ?」
「起こしたか?すまないな」
半身を起こして水を飲んでいたアルフレートがカイルに気付いて、カイルの素肌の肩に触れる。
カイルは思わず先程までのあれこれを思い出してぴくりと反応してしまう。
アルフレートは笑うとカイルを引き寄せて額に口づけをおとして髪をいつものようにぐしゃぐしゃと乱した。普段とかわらない態度に安心しておはようと言うと、アルフレートの青い瞳が細められて、
「体は?痛むか」
「……ちょっと。痛いっていうか、だるい……」
みじろぎすれば、まだ、股の間に違和感がある。
アルフレートが、入っていた箇所だと思うとカイルは言葉少なに赤面するしかなかった。中を蕩けるように蹂躙されたはずだったのに、今は伝うものもなく、とぼんやりと思い出す。
くたりとした自分をアルフレートが色々と清めてくれたのを……覚えている。
暖炉の火はまだ煌々と燃えているが、寒いだろうからとシャツを渡されて大人しく、服を羽織った。なんだかぼうっとした頭でうまくボタンが止まらないでいると、貸せ、と言われて衣服を整えられる。
入団したての頃、式典で使う従士の正規服がうまく着られずにアルフレートが着せてくれたのを思い出したまるで子供のように世話をやかれているのが、恥ずかしい。
「水を飲むか?」
「……いただきます……」
折り目正しく返事をしてしまうとアルフレートはくつくつと笑いながら背後からカイルを抱きしめた。
「水が飲みにくいんですけど」
「飲ませてやろうか?口移しで」
「……ばっ!ばかいうな」
アルフレートは「別に冗談じゃないぞ」と嘯いてカイルの肩に顔を埋めた。
「本当はもう一回戦楽しみたいが」
「……む、無理!痛いし!疲れたし!」
「色気のない奴め」
アルフレートは不満げに口を尖らせた。
「しかし、さすがに今日はな……。無茶苦茶にだき潰したいが、あと半日もすれば吹雪も止みそうだ。お前がドラゴンに乗れずに帰るのが遅れたら、さすがにテオドールが激怒するだろうな」
「今帰ってもじゅうぶん班長は怒ると思うけど」
「おまえ、とりなせ。あいつはおまえには甘いからな」
「ヤだよ。アルフが無鉄砲に飛び出したのが悪いんじゃん。ちゃんと怒ってもらったほうがいいって」
憎まれ口を叩くと生意気だと文句を言ったアルフレートが口付けてくる。
―――これは、親愛ではなく、そういう意味でのキスだろうかとおずおずと口を開くとアルフレートの舌は遠慮無くカイルの口腔に侵入した。
舌を愛撫されるかのように動くの気持ちいい。また妖しげな雰囲気になりそうなのを、カイルは嫌がって押し返した。
アルフレートが、チッと舌打ちした。
「……んっ、今日はもう無理だって」
「そうだな。王都に帰ったら休暇を合わせるぞ。三日三晩、他のことを考えられないくらいーー食い尽くしてやる」
にっこりと美貌の上司に微笑まれて、カイルの背筋冷や汗が流れた。
「こ、公私混同はよくないと思う」
「知るか。言っておくが、今日は遠慮したからな。次は覚悟しておけ」
「なんで悪役の捨て台詞みたいになってんだよ!そもそも遠慮したって、嘘だろ!あんだけーー」
あんだけイかされたのに!?
と、いいかけて、カイルは口をつぐんだ。
気を抜くとうっかりとんでもないことを口走りそうになる。
アルフレートが赤面したカイルにニヤついた。
「あれだけ、気持ちよかったのに?……か?」
「知るか!」
アルフレート指が、揶揄うようにカイルの下肢に伸びる。
昨夜散々搾り取られて、もう反応しないと思っていた性器が裏筋をツーーと引っ掻かれて瞬く間に硬くなってしまう。
「ば、ばか、なにやって」
「前だけ、気持ちよくしてやる。ほら、しがみついていろ」
抗おうとしたのに、ぎゅっと握り込まれて、ああっと叫んでアルフレートの胸に倒れ込んでしまう。
「もっと、気持ちよくしてやる。お前が私なしでは無理になるように。全てつくりかえてやる」
「んっ……!強い、って」
「ここも、――こっちもだ。全部、私だけのものだ。カイル。――もう、絶対に他のやつには触らせない。絶対に」
呆気なく吐精させたられて、また、アルフレート胸にくたりと倒れ込んでしまう。
カイルは赤面しながらアルフレートの首にかじりついて、言った。
「そんなの、もうーーとっくに、だよ。全部」
アルフレートの膝の上に乗って、上から唇を落とす。恥ずかしいけれど、今言わないといけない気がした。
「俺、何にも持ってないけど。それでいいなら、あんたにやる。全部、全部やるーー」
口づけを交わしながら、快感とは違う心地よさを拾いながら、戯れあう。
幸福な朝は吹雪の終わりとともにやってきて。
束の間、二人の前に幸福な道を示した。
目が覚めたのはまだ、夜も明けきらぬ頃合いだった。
「……アルフ?」
「起こしたか?すまないな」
半身を起こして水を飲んでいたアルフレートがカイルに気付いて、カイルの素肌の肩に触れる。
カイルは思わず先程までのあれこれを思い出してぴくりと反応してしまう。
アルフレートは笑うとカイルを引き寄せて額に口づけをおとして髪をいつものようにぐしゃぐしゃと乱した。普段とかわらない態度に安心しておはようと言うと、アルフレートの青い瞳が細められて、
「体は?痛むか」
「……ちょっと。痛いっていうか、だるい……」
みじろぎすれば、まだ、股の間に違和感がある。
アルフレートが、入っていた箇所だと思うとカイルは言葉少なに赤面するしかなかった。中を蕩けるように蹂躙されたはずだったのに、今は伝うものもなく、とぼんやりと思い出す。
くたりとした自分をアルフレートが色々と清めてくれたのを……覚えている。
暖炉の火はまだ煌々と燃えているが、寒いだろうからとシャツを渡されて大人しく、服を羽織った。なんだかぼうっとした頭でうまくボタンが止まらないでいると、貸せ、と言われて衣服を整えられる。
入団したての頃、式典で使う従士の正規服がうまく着られずにアルフレートが着せてくれたのを思い出したまるで子供のように世話をやかれているのが、恥ずかしい。
「水を飲むか?」
「……いただきます……」
折り目正しく返事をしてしまうとアルフレートはくつくつと笑いながら背後からカイルを抱きしめた。
「水が飲みにくいんですけど」
「飲ませてやろうか?口移しで」
「……ばっ!ばかいうな」
アルフレートは「別に冗談じゃないぞ」と嘯いてカイルの肩に顔を埋めた。
「本当はもう一回戦楽しみたいが」
「……む、無理!痛いし!疲れたし!」
「色気のない奴め」
アルフレートは不満げに口を尖らせた。
「しかし、さすがに今日はな……。無茶苦茶にだき潰したいが、あと半日もすれば吹雪も止みそうだ。お前がドラゴンに乗れずに帰るのが遅れたら、さすがにテオドールが激怒するだろうな」
「今帰ってもじゅうぶん班長は怒ると思うけど」
「おまえ、とりなせ。あいつはおまえには甘いからな」
「ヤだよ。アルフが無鉄砲に飛び出したのが悪いんじゃん。ちゃんと怒ってもらったほうがいいって」
憎まれ口を叩くと生意気だと文句を言ったアルフレートが口付けてくる。
―――これは、親愛ではなく、そういう意味でのキスだろうかとおずおずと口を開くとアルフレートの舌は遠慮無くカイルの口腔に侵入した。
舌を愛撫されるかのように動くの気持ちいい。また妖しげな雰囲気になりそうなのを、カイルは嫌がって押し返した。
アルフレートが、チッと舌打ちした。
「……んっ、今日はもう無理だって」
「そうだな。王都に帰ったら休暇を合わせるぞ。三日三晩、他のことを考えられないくらいーー食い尽くしてやる」
にっこりと美貌の上司に微笑まれて、カイルの背筋冷や汗が流れた。
「こ、公私混同はよくないと思う」
「知るか。言っておくが、今日は遠慮したからな。次は覚悟しておけ」
「なんで悪役の捨て台詞みたいになってんだよ!そもそも遠慮したって、嘘だろ!あんだけーー」
あんだけイかされたのに!?
と、いいかけて、カイルは口をつぐんだ。
気を抜くとうっかりとんでもないことを口走りそうになる。
アルフレートが赤面したカイルにニヤついた。
「あれだけ、気持ちよかったのに?……か?」
「知るか!」
アルフレート指が、揶揄うようにカイルの下肢に伸びる。
昨夜散々搾り取られて、もう反応しないと思っていた性器が裏筋をツーーと引っ掻かれて瞬く間に硬くなってしまう。
「ば、ばか、なにやって」
「前だけ、気持ちよくしてやる。ほら、しがみついていろ」
抗おうとしたのに、ぎゅっと握り込まれて、ああっと叫んでアルフレートの胸に倒れ込んでしまう。
「もっと、気持ちよくしてやる。お前が私なしでは無理になるように。全てつくりかえてやる」
「んっ……!強い、って」
「ここも、――こっちもだ。全部、私だけのものだ。カイル。――もう、絶対に他のやつには触らせない。絶対に」
呆気なく吐精させたられて、また、アルフレート胸にくたりと倒れ込んでしまう。
カイルは赤面しながらアルフレートの首にかじりついて、言った。
「そんなの、もうーーとっくに、だよ。全部」
アルフレートの膝の上に乗って、上から唇を落とす。恥ずかしいけれど、今言わないといけない気がした。
「俺、何にも持ってないけど。それでいいなら、あんたにやる。全部、全部やるーー」
口づけを交わしながら、快感とは違う心地よさを拾いながら、戯れあう。
幸福な朝は吹雪の終わりとともにやってきて。
束の間、二人の前に幸福な道を示した。
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