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出会い編

南へ 4※GL注意

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※女性同士のイチャイチャシーンがありますので、嫌いな方はこの話をすっとばしてください。
あとで消すかも!

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「……んっ」
「カイル、静かに」

耳元で囁かれたのはアルフレートの声だった。
斜めに彼を見ると、しい、と指を口元にあてられる。

「声を立てるなよ、カイル。見たことがばれたら王太子妃に殺される。私も、お前も」
「……え?」

なんのことかわからずにいると、二人の女の会話が聞こえてきた。会話というより、これは――

「……んっ、あ……噛まないで。痕がつくわ、ディアンヌ」
「つけているのよ。本当は冬の間消えないくらいに、噛んでやりたい……。ずるいわ、二人で冬を過ごすなんて。殿下ばかり抜け駆けして」
「貴女もくればよかったのよ。そうしたら三人で楽しく過ごせたわ」

二人の間から漏れるのは水音と、紛れもなく嬌声で……カイルは建物の高い窓からおちてくる冬の白い光に側室の白い肌がさらされる。

「動くなよ?」

アルフレートに耳元で静かに囁かれて、カイルは頷く。

「手を離すが、ー声もだすなよ、カイル」

低く、抑えた甘い声が耳朶をくすぐり、ついぞくりと背中が粟立ってしまう。
アルフレートはそっと手を外し、何故かカイルの髪を撫でて、優しい指がカイルを甘やかす。
まるで目の前の女がそうするのを再現するかのように……。

王太子妃は彼女の身体をもみしだいて噛み痕をつけ――――手があらぬところを探り。
ひときわ高い声で鳴いて、二人の睦言は終わった。



「風邪をひかぬように。貴女も王女も冬に弱いから心配だわ」
「春には元気に戻ってくるわ。貴女も健康に気を付けてね」



まるで恋人のように労わる言葉を交わして寄り添いながら建物を出ていく二人を呆然と見送っていると、アルフレートの手が離れた。
カイルは勢いよくアルフレートを振り返った。
いまのは!なんだ!?

「あ、あれは……な、なに?えっ?」
「見たことを、誰にもいうなよ」

狼狽するカイルを笑ってアルフレートはくぎをさした。
言えるわけがない。
誰に言うと……!?

「ちなみに王太子殿下はご存じだ。側近も、彼らの侍女も。さすがに王子様方はどうかわからないが。……仲のいい王太子妃と側室だと有名だろう?」
「う、うん……」
「側室の……、ダンテ夫人は殿下とディアンヌ様両方の恋人なのさ。それよりも、三人で夫婦というべきか。そういう意味で、仲がよろしくていらっしゃる……」

カイルは混乱しつつ、真っ赤になりながら二人が去った方向を見た。

夫婦で同じ人間を恋人に……しかも、妻が、側室と……?
貴族社会とはそういうものなのだろうか。
それにしてもあまりに背徳的ではないのか。
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