一番大切な物は。

海音

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一番大切な物は。#1

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一番大切な物

それは...

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「夜羽おはよう!」

友達の小宮悠、夜羽の数少ない友達だ。

「おはよう悠!」

夜羽も笑ってあいさつを返す、そんな朝だ。

「今日は修学旅行の班を決めます、男女3人ずつ計6人で一班になります」

と、先生が言う。

クラスの皆んながざわつき始める、でも夜羽は正直どうでもよかった。友達なんていない強いて言うなら悠ぐらいだ。

それ以外だれと一緒になっても変わらない。

「班はくじ引きで決めます」

クラスの皆んなが賛否の声を上げながらも順番にくじを引いていく。

喜ぶ人。

哀しむ人。

いろんな人がいる中、夜羽は...

「小宮悠」

夜羽の引いたくじにはそう書いてあった。

「やった!」

夜羽が小さく呟くと、悠も駆け寄ってきた。

「やったね!夜羽同じ班だ!」

夜羽も安堵のため息をつく。

「えーっともう一人の女子は...」

そっか、もう一人女子がいるのか、誰だろう?

夜羽が考えていると

(珠葉紗雨華)

と、夜羽が広げたくじに書かれていた。

「しゅ..よう...さう..か」

悠は読み上げると

「一緒だね、これからよろしく!」

不意のあいさつに二人は驚いた。

「珠葉紗雨華です、よろしくお願いします」

そこには、凛としていて如何にもしっかり者って感じの女の子が笑顔で立っていた。

「楽しみだねっ!修学旅行!あっ、私の事は紗雨華って呼んでね!」

元気そうに言う。

「こちらこそ!よろしくね!」

コミュ力高い悠はいつも通りだ

「よ..よろしく」

コミュ障の夜羽は上手く喋れない

「そういえば男子三人って誰かな?」

困ってる夜羽を助けるように悠が言う。

「あー確かに」

紗雨華も不思議そうに言う

「俺らだよ」

後ろから声が聞こえた。

「俺らがその男子三人」

「俺が紅坂蓮でこいつが結衣浜翔でそんでこいつが四宮修斗」

「よろしく」

「よろしく」

三人が各々の自己紹介をした所で授業の終わりを知らせるチャイムが鳴った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

帰りのホームルームを終え夜羽が帰ろうとすると

「夜羽一緒に帰ろ」

悠が声を掛けてきた、後ろには紗雨華の姿もある。

「紗雨華の事も誘っといた」

悠が言う。

「良いよ」

夜羽が言った、その日は三人で帰った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「あー今日も疲れたー」

夜羽が声をだしてベットに倒れ込む。

「修学旅行かぁ」

小さく呟くと。

「夜羽ご飯よー」

お母さんの呼ぶ声が聞こえた。

「はーい」

夜羽を返事をしてベットから起き上がる。

その後、夕飯を食べ終え、お風呂に入った。

「そろそろ寝るかー、でも飲まないと」

夜羽はリュックから錠剤が入った瓶を取り出した。

「これを飲まないと眠れないからね」

手に三錠出して口に入れて水で飲み込む。

「美味しい、これでよく眠れる」

「この薬が私の一番大切な物」

そう呟いて夜羽は布団に入った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
二時間後

(はぁ..はぁ....)

夜羽はうなされていた。

「はっ!起きちゃった」

「やっぱり三錠じゃ足りなかったか」

そう言うと、枕の横に置いておいた瓶を手に取った。

「思い出さないうちに」

夜羽はうまくキッチンに向かった、コップに水を注ぎ、口に錠剤を10錠含み、水で流し込んだ。

「これで....眠れる」

夜羽は部屋に戻り枕の横に瓶を置き、布団に入った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「う..んぅ...まだ寝たいよ」

「あっ!今何時!」

夜羽は慌ててスマホを見る

「7時半!!急がないと、8時には家を出なきゃいけないのに!」

自分の部屋を飛び出て階段を駆け下りて洗面台の前に立った。

顔を洗い、歯磨きをし、髪を整えて。

「今日も演じきる」

鏡の前、暗い表情で呟くと夜羽は笑った。

「急がないと本当に遅刻しちゃう!」

慌てて錠剤が入った瓶をリュックに入れて、靴を履いて家を飛び出て学校に向かった。


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