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救出
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「そろそろ君の身体を楽しませてもらおうか」
足元で蹲り咳込むクリスの鎖を引き、無理矢理立たせる。鎖に引きずられるように寝台まで歩かされ、アーサーに背中を突き飛ばされた。寝台の上に転がったクリスを見下ろすようにその上に跨がる。
ここにきてクリスがアーサーを拒むように、身体を捩らせ足をバタつかせる。
「嫌だ!離せ、やめろっ!」
急に反抗的になったクリスか気に食わないアーサーは、鎖を後に強く引いた。
「っぐっ!」
首輪が気管を締める。
「往生際が悪いなぁ。ここまできてそれはないでしょ。それともまだあいつに未練があるの?」
そう言うと仰向いたクリスの唇を塞ぐ。
「つっ!」
顔を離したアーサーの口端から血が流れる。
口内に入り込もうとしたアーサーの舌を噛んだのだ。
パンッと乾いた音がして、クリスの頬が叩かれた。
「随分ふざけた真似してくれるね。ここまで抵抗されたの初めてだよ」
流れる血を手の甲で拭うと、懐から小さな瓶を取り出す。透明な少し粘土のある液体が入っている。
似たような物に酷い記憶があるクリスが、怯えて息を呑む。
「全部飲んじゃうと壊れちゃうからね。ほんの少しだけだよ」
そう言って、中の液体を指先に取りクリスの口の中にそれを突っ込む。
甘みのあるものが一瞬舌に触れた。
指を引き出すと手にした鎖を緩める。
寝台の上に倒れ込んだクリスを観察するようにアーサーが見ている。
しばらくすると、身体に変化が起こり始めた。
妙に暑くなってきて息が上がり始めた。むずむずするような感覚が、胎内を這回っている。
いつの間にか腕の拘束は解かれ、身体のざわつきを鎮めるように、クリスは自分の腕を抱き締める。
アーサーの指が頬を撫でると、そこから小波のようにぞわりとしたものが広がる。
下肢に熱が集まり始め、膝を固く閉じてそれを忘れようとするクリスに囁く。
「触ったら気持ちいいよ」
熱に侵されていくクリスの身体が、それに従おうとするが、まだ残る冷静な部分がそれを抑える。
首を横に振ってさらに強く腕を抱き締める。
「本当に強情だよね。ここは触ってほしそうなのに」
そう言うと、既に起き上がり蜜を零す先端を爪先で引っ掻く。
「ぁぅっ!」
痺れるような刺激にクリスが跳ね、さらに蜜が溢れる。
後孔は、溢れた蜜で濡れ妖しくひくついて男を誘っている。
「どろどろで気持ち良さそうだね」
うっとりと呟いて、熱に戦慄くクリスの腰を抱え上げた。
その時、突然部屋の外に人の声がした。
なにやら言い争うような叫び声が聞こえる。
「なに、せっかくいいところなのに」
忌々しそうに呟いたとき、鍵を下ろしたはずの扉が強引に押し破られた。
ここにいるはずのない人の姿にアーサーが驚いた声を上げる。
「どうしてここに?」
その人は、一瞥で室内の様子を見て取ると、アーサーとの距離を一瞬で詰めアーサーをクリスから引き剥がす。
「クリス」
声をかけるが、熱に浮かされたクリスには届いていない。
「なにをした」
「んー、素直になれるお薬をちょっとね。
それより、どうしてここにいるのさ」
怒りを隠さないアディエイルの声に怯みながらも、飄々とした口調はそのままにアーサーが問う。
「あの女を返しに来た」
そう言って、着ていた外套をクリスにかける。
「なぜ貴様がクリスと一緒にいる」
「君はアリシアと一緒だったろう?そこにこの子が一人で歩いてたんだ。いらなさそうだったから拾ったんだよ」
乱れた衣服を整えながらアーサーが悪びれもせずに言う。
「元々君が邪魔しなかったらこうなってたんだし。いいところでまた邪魔されたけどさ」
この言葉に、最悪なところにはかろうじて間に合ったのだと知る。
「色々仕込まれてたのには驚いたけどね。なんでも知ってるのに、反応が初心なのもいいよね」
ピシリと空気が凍りつく。
「上の口はなかなか良かった。後ろはこれからだったんだよね」
アーサーの耳元で何かが風を切る音がした。
「……酷いな」
耳の下辺りから一筋の血が滴る。
「もう少し下を狙おうか?」
アディエイルの無機質な声に、顔色をなくしながらも肩を竦める。
「死んじゃったらどうするの」
「ふん」
「その子には、君に捨てられたと教えといたから。そしたらいい子になったよ」
なおも減らず口をたたき続けるアーサーを一瞥する。
「私が貴様をここで殺らないのは色々面倒だからだ。だがいつでもできる」
今度こそ黙り込んだアーサーを尻目に、クリスを外套に包んで抱き上げ、屋敷を後にした。
帰りの馬車の中、アディエイルの膝に抱かれたクリスが、譫言のようになにか呟きだした。
薬を含まされたまま、触られもせず放置されていた身体は限界だった。
「いかせて…くださ、い。お願いします……」
何度も懇願するクリスの様子に、アディエイルは眉を顰める。これは自分が教えたものではない。
だが薬に侵されたクリスには、目の前の相手が誰かなどわかっていない。アーサーに教えられた通りに口にしているだけだ。
苦々しく思いながらも、クリスの懇願を無視することもできず、クリスにかけた外套を外す。
クリスの口を掌で覆い、蜜を零して震える陰茎を咥えた。
クリスがあげる嬌声はアディエイルの掌で塞がれ、息苦しさとようやく与えられた快感に身悶えする。
やがて呆気なくクリスの腰が震え、アディエイルの口の中に放つと、がくりと力を失いそのまま深い眠りについた。
その寝顔は、ここ数日ですっかり窶れて見えた。
赤味のなくなった青白く冷たい頬に掌をあてて呟く。
「すまなかった。許してくれ」
アディエイルの詫びる言葉は、馬車の車輪の音にかけ消されていった。
足元で蹲り咳込むクリスの鎖を引き、無理矢理立たせる。鎖に引きずられるように寝台まで歩かされ、アーサーに背中を突き飛ばされた。寝台の上に転がったクリスを見下ろすようにその上に跨がる。
ここにきてクリスがアーサーを拒むように、身体を捩らせ足をバタつかせる。
「嫌だ!離せ、やめろっ!」
急に反抗的になったクリスか気に食わないアーサーは、鎖を後に強く引いた。
「っぐっ!」
首輪が気管を締める。
「往生際が悪いなぁ。ここまできてそれはないでしょ。それともまだあいつに未練があるの?」
そう言うと仰向いたクリスの唇を塞ぐ。
「つっ!」
顔を離したアーサーの口端から血が流れる。
口内に入り込もうとしたアーサーの舌を噛んだのだ。
パンッと乾いた音がして、クリスの頬が叩かれた。
「随分ふざけた真似してくれるね。ここまで抵抗されたの初めてだよ」
流れる血を手の甲で拭うと、懐から小さな瓶を取り出す。透明な少し粘土のある液体が入っている。
似たような物に酷い記憶があるクリスが、怯えて息を呑む。
「全部飲んじゃうと壊れちゃうからね。ほんの少しだけだよ」
そう言って、中の液体を指先に取りクリスの口の中にそれを突っ込む。
甘みのあるものが一瞬舌に触れた。
指を引き出すと手にした鎖を緩める。
寝台の上に倒れ込んだクリスを観察するようにアーサーが見ている。
しばらくすると、身体に変化が起こり始めた。
妙に暑くなってきて息が上がり始めた。むずむずするような感覚が、胎内を這回っている。
いつの間にか腕の拘束は解かれ、身体のざわつきを鎮めるように、クリスは自分の腕を抱き締める。
アーサーの指が頬を撫でると、そこから小波のようにぞわりとしたものが広がる。
下肢に熱が集まり始め、膝を固く閉じてそれを忘れようとするクリスに囁く。
「触ったら気持ちいいよ」
熱に侵されていくクリスの身体が、それに従おうとするが、まだ残る冷静な部分がそれを抑える。
首を横に振ってさらに強く腕を抱き締める。
「本当に強情だよね。ここは触ってほしそうなのに」
そう言うと、既に起き上がり蜜を零す先端を爪先で引っ掻く。
「ぁぅっ!」
痺れるような刺激にクリスが跳ね、さらに蜜が溢れる。
後孔は、溢れた蜜で濡れ妖しくひくついて男を誘っている。
「どろどろで気持ち良さそうだね」
うっとりと呟いて、熱に戦慄くクリスの腰を抱え上げた。
その時、突然部屋の外に人の声がした。
なにやら言い争うような叫び声が聞こえる。
「なに、せっかくいいところなのに」
忌々しそうに呟いたとき、鍵を下ろしたはずの扉が強引に押し破られた。
ここにいるはずのない人の姿にアーサーが驚いた声を上げる。
「どうしてここに?」
その人は、一瞥で室内の様子を見て取ると、アーサーとの距離を一瞬で詰めアーサーをクリスから引き剥がす。
「クリス」
声をかけるが、熱に浮かされたクリスには届いていない。
「なにをした」
「んー、素直になれるお薬をちょっとね。
それより、どうしてここにいるのさ」
怒りを隠さないアディエイルの声に怯みながらも、飄々とした口調はそのままにアーサーが問う。
「あの女を返しに来た」
そう言って、着ていた外套をクリスにかける。
「なぜ貴様がクリスと一緒にいる」
「君はアリシアと一緒だったろう?そこにこの子が一人で歩いてたんだ。いらなさそうだったから拾ったんだよ」
乱れた衣服を整えながらアーサーが悪びれもせずに言う。
「元々君が邪魔しなかったらこうなってたんだし。いいところでまた邪魔されたけどさ」
この言葉に、最悪なところにはかろうじて間に合ったのだと知る。
「色々仕込まれてたのには驚いたけどね。なんでも知ってるのに、反応が初心なのもいいよね」
ピシリと空気が凍りつく。
「上の口はなかなか良かった。後ろはこれからだったんだよね」
アーサーの耳元で何かが風を切る音がした。
「……酷いな」
耳の下辺りから一筋の血が滴る。
「もう少し下を狙おうか?」
アディエイルの無機質な声に、顔色をなくしながらも肩を竦める。
「死んじゃったらどうするの」
「ふん」
「その子には、君に捨てられたと教えといたから。そしたらいい子になったよ」
なおも減らず口をたたき続けるアーサーを一瞥する。
「私が貴様をここで殺らないのは色々面倒だからだ。だがいつでもできる」
今度こそ黙り込んだアーサーを尻目に、クリスを外套に包んで抱き上げ、屋敷を後にした。
帰りの馬車の中、アディエイルの膝に抱かれたクリスが、譫言のようになにか呟きだした。
薬を含まされたまま、触られもせず放置されていた身体は限界だった。
「いかせて…くださ、い。お願いします……」
何度も懇願するクリスの様子に、アディエイルは眉を顰める。これは自分が教えたものではない。
だが薬に侵されたクリスには、目の前の相手が誰かなどわかっていない。アーサーに教えられた通りに口にしているだけだ。
苦々しく思いながらも、クリスの懇願を無視することもできず、クリスにかけた外套を外す。
クリスの口を掌で覆い、蜜を零して震える陰茎を咥えた。
クリスがあげる嬌声はアディエイルの掌で塞がれ、息苦しさとようやく与えられた快感に身悶えする。
やがて呆気なくクリスの腰が震え、アディエイルの口の中に放つと、がくりと力を失いそのまま深い眠りについた。
その寝顔は、ここ数日ですっかり窶れて見えた。
赤味のなくなった青白く冷たい頬に掌をあてて呟く。
「すまなかった。許してくれ」
アディエイルの詫びる言葉は、馬車の車輪の音にかけ消されていった。
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