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一 寄ルナの池と見ルナの花
三 犀原緋室からの報告
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店の入り口でこんなことをしているのは、立派に営業妨害というものだろう。けれど緑青はそんなものどこ吹く風で、紗々羅に睨まれても気にした様子はなく笑っている。
人間は、忘れることを赦されている。どれだけ苦しいことも、悲しいことも、時間が流れていけば忘れることができる――らしい。けれどその苦しみや悲しみは心の奥底に突き刺さって、根を張って、そうして人を苦しめることだってあるのだ。
紗々羅の中でまた「忘れたいのよ」と声がした。忘れたくとも忘れられない、そんな紗々羅の記憶の蓋を開けたこの男には苛立ちを禁じ得ない。
「それで、本題は? まさかそれが本題だという寝言は仰いませんよね?」
「まったく辛辣だな」
いい加減首も本当に痛くなってきたが、視線を逸らすのも負けた気がしてしまう。だから苦笑している緑青の顔を、紗々羅は変わらず睨んでいた。
「一昨日の事件は知っているか。この近くで首吊りがあったと夜中に男が騒いでいた」
「知っています」
ここは国の中心からは、少しはずれたところにある。国を治める姫御子のいる龍天宮はここからは遠く、辛うじて宮のある山が見えているくらいだ。
本来黒装もまた、こんなところにいるはずがないのだ。龍天宮と対をなす龍霊宮が黒装の詰め所であり、彼らは都の治安維持と、屍となった龍の守役をしているのだから。もちろん何か問題があれば黒装は派遣されてくるものの、この辺りはそれも珍しい。
一昨日の事件が本当に首吊り遺体であったとしても、黒装が派遣されてくるようなものではない。各地に置かれている治安維持隊が派遣されてくることがあっても、それで終わるはずの話だ。
「結局、人形だったのでは?」
「そうだ。それがどうにも妙でな、何か知らないかと聞きたかった」
つい、眉間に皺が寄った。
確かにあの日、叫び声は聞いた。そして、確認もしている。
「妙と仰られましても、私は酔っ払いが騒いだとしか知りませんよ。滅多に人が近寄らないあの池で騒ぎなど、迷惑な話ですが」
「迷惑? お前にか?」
「……言い間違えただけです」
溜息を、ひとつ。
それが本題だったとしても、紗々羅から緑青に言えることは何もない。言えることがあったとしても、他の誰かが答えるものと同じものにする。余計な口というのは禍を招くものなのだから、口を閉ざしておくことが賢い方法だろう。
緑青はこの土地のことも、捩れ花の池のことも何も知らない。池の近くに住む人間とて知らないのだから、紗々羅が知らない振りをしていても何ら問題はないのだ。紗々羅とて他の住人と同じなのだと、そう判断してくれればそれで良い。
「おや、群玄のお嬢ちゃん。色男と取り込み中とは、隅に置けないね」
「……犀さん。笑えない冗談は止めてください」
灰色の服と帽子の男が、少し離れたところで笑っていた。首が痛いのから逃れる理由ができたと、紗々羅はこれ幸いとばかりに大きめの声で男に返答をする。
服装は、昨日の緑青に似ている。とはいえ色は黒ではないし、軍人というよりは兵士のような軽装である。帽子も形こそ同じだが、何か紋が入っているわけでもない。
「自警団か?」
「すぐそこの尾白書店の雇われです。ま、若くて体力あるってことで、街の警備と見回りはしてますがね」
「ああ……準軍か。武装書店員」
「そう言うってことは、貴方は正規の軍人さんですね。白か黒か知りませんけど…‥ま、黒ですかね?」
男は帽子を少し上げて、八重歯を見せて笑っている。よく日に焼けた額には、うっすらと帽子の跡があった。
「なんで警備と見回りですよ。今日は捩れ花の池まで足を伸ばしたんで、念には念を入れてるのはありますが」
ようやく紗々羅の上にあった影が離れていく。緑青が少し離れたことで圧迫感がなくなり、安堵のような息が零れて落ちた。
捩れ花の池の人形は、あの日の朝に回収された。回収されたそれは結局本当に人形だったようだが、遺体を見たという男だけは、青褪めた顔でずっと「そんなはずない」と言い続けていた。それを見て人々は「あいつは酒を飲み過ぎた」とか「遺体だと思って気が触れている」だとか、そんなことを口にしていたけれど。
「最近ただでさえ色々あるんで……吉砂とかいう盗賊も出ましたし」
「報告は受けている」
「はーん、吉砂のこと知ってるってことは、やっぱ貴方は黒か」
ポケットに手を突っ込んで緑青の顔を覗き込んだ男が、「あ」と声を上げる。
「俺の身分は、そこの尾白書店の店長に聞いてください。犀原緋室ってのがいないかって」
緋室にしてみれば、それは身分証明のようなものだったのだろう。けれど、ある意味逆効果のような気もしてしまい、つい紗々羅は口を挟む。
「犀さん、それ白さんに聞いたら『さあ、そんなのいましたかねえ』って言うと思う」
「あー……言いそう。かといって朔は絶対出てこないぞ、あの引きこもり」
尾白書店の店長である尾白北瑛と、もうひとりの書店員である朔日海萩の顔を思い浮かべて、少しだけ笑ってしまった。彼らはいつだってそんな調子で、ある意味ではここいらの名物のようになっている。
緑青を見れば、彼は何かを考えるかのように口元に握った手を当てている。
「まあそんなことは良いんだ。嬢ちゃんに報告しとかないとと思ってな」
「報告?」
「捩れ花の池の捩れ花に、白い花が咲いてた」
緋室のことばを聞き終えるよりも前に、紗々羅はぱっと身をひるがえす。けれど駆け出そうとしたその足は、肩を掴まれたことで止まってしまった。
「待て、客を置いてどこへ行く」
肩を掴んでいた緑青の顔をぎっと睨んでも、彼は気にした様子はない。緋室の言うことが本当であるのならこんなところで油を売っている暇はないのに、肩を掴んだ手は簡単には外れそうになかった。
客と言っても、緑青の依頼はすでに受けている。そもそも何の話がしたいかも分からない上に、修復にも関係がなさそうなのに、どこが客なのか。
「貴方の依頼は昨日受けましたので、今更何です。緊急事態です、離してください」
「緊急事態?」
答える義理はないが、肩を掴んだ手が答えないと離れそうにもなくて、紗々羅は声を張り上げた。
「白花変種が咲いているかもしれません!」
ようやく緑青の手を振り解いて、店の入り口にかけていた札を引っ掴んで緋室に押し付けてから駆け出した。緋室ならば意図を汲んでくれるだろうという甘えのようなものではあるが、もしそのまま持ち帰っていたのなら、後で書店に顔を出せば良い。
石畳の道を駆けて、山へと続く道へと向かう。そもそも酔っ払いは、どうしてこちら側に足を向けようなどと思ったのだろうか。酔いすぎて家路を見失ったのだとしても、街の人間は緋室のように見回りでもしない限りは捩れ花の池には近寄ろうとはしないというのに。
ざあっと風が吹き抜けていく。潤未の街の名は、この山の名から取られたと聞く。いつもどこかひんやりとした空気の漂う山は、確かにその名が相応しい。
山の手前に広がった池は、その中央に一本の大きな樹が生えている。遺体は――いや、人形は、あの樹にぶら下がっていた。わざわざ池の中へと分け入っていったのか、あるいは。
「ここが、例の池か」
背後で聞こえた声に、張り詰めていた糸が緩みそうになる。結局溜息が出てしまったということは、紗々羅の糸は敗北したということだ。
池の水面は日差しを受け、乱反射した光がちらちらと輝いている。その様子だけならば、普段と何ら変わったところはない。
「付いてきたんですか、暇なんですね」
「今日は非番だ。好きにしていて何か問題が?」
緑青の言い分は一理あるのかもしれないが、「問題ありません」というのも癪で、紗々羅は何も言わないことにした。
人間は、忘れることを赦されている。どれだけ苦しいことも、悲しいことも、時間が流れていけば忘れることができる――らしい。けれどその苦しみや悲しみは心の奥底に突き刺さって、根を張って、そうして人を苦しめることだってあるのだ。
紗々羅の中でまた「忘れたいのよ」と声がした。忘れたくとも忘れられない、そんな紗々羅の記憶の蓋を開けたこの男には苛立ちを禁じ得ない。
「それで、本題は? まさかそれが本題だという寝言は仰いませんよね?」
「まったく辛辣だな」
いい加減首も本当に痛くなってきたが、視線を逸らすのも負けた気がしてしまう。だから苦笑している緑青の顔を、紗々羅は変わらず睨んでいた。
「一昨日の事件は知っているか。この近くで首吊りがあったと夜中に男が騒いでいた」
「知っています」
ここは国の中心からは、少しはずれたところにある。国を治める姫御子のいる龍天宮はここからは遠く、辛うじて宮のある山が見えているくらいだ。
本来黒装もまた、こんなところにいるはずがないのだ。龍天宮と対をなす龍霊宮が黒装の詰め所であり、彼らは都の治安維持と、屍となった龍の守役をしているのだから。もちろん何か問題があれば黒装は派遣されてくるものの、この辺りはそれも珍しい。
一昨日の事件が本当に首吊り遺体であったとしても、黒装が派遣されてくるようなものではない。各地に置かれている治安維持隊が派遣されてくることがあっても、それで終わるはずの話だ。
「結局、人形だったのでは?」
「そうだ。それがどうにも妙でな、何か知らないかと聞きたかった」
つい、眉間に皺が寄った。
確かにあの日、叫び声は聞いた。そして、確認もしている。
「妙と仰られましても、私は酔っ払いが騒いだとしか知りませんよ。滅多に人が近寄らないあの池で騒ぎなど、迷惑な話ですが」
「迷惑? お前にか?」
「……言い間違えただけです」
溜息を、ひとつ。
それが本題だったとしても、紗々羅から緑青に言えることは何もない。言えることがあったとしても、他の誰かが答えるものと同じものにする。余計な口というのは禍を招くものなのだから、口を閉ざしておくことが賢い方法だろう。
緑青はこの土地のことも、捩れ花の池のことも何も知らない。池の近くに住む人間とて知らないのだから、紗々羅が知らない振りをしていても何ら問題はないのだ。紗々羅とて他の住人と同じなのだと、そう判断してくれればそれで良い。
「おや、群玄のお嬢ちゃん。色男と取り込み中とは、隅に置けないね」
「……犀さん。笑えない冗談は止めてください」
灰色の服と帽子の男が、少し離れたところで笑っていた。首が痛いのから逃れる理由ができたと、紗々羅はこれ幸いとばかりに大きめの声で男に返答をする。
服装は、昨日の緑青に似ている。とはいえ色は黒ではないし、軍人というよりは兵士のような軽装である。帽子も形こそ同じだが、何か紋が入っているわけでもない。
「自警団か?」
「すぐそこの尾白書店の雇われです。ま、若くて体力あるってことで、街の警備と見回りはしてますがね」
「ああ……準軍か。武装書店員」
「そう言うってことは、貴方は正規の軍人さんですね。白か黒か知りませんけど…‥ま、黒ですかね?」
男は帽子を少し上げて、八重歯を見せて笑っている。よく日に焼けた額には、うっすらと帽子の跡があった。
「なんで警備と見回りですよ。今日は捩れ花の池まで足を伸ばしたんで、念には念を入れてるのはありますが」
ようやく紗々羅の上にあった影が離れていく。緑青が少し離れたことで圧迫感がなくなり、安堵のような息が零れて落ちた。
捩れ花の池の人形は、あの日の朝に回収された。回収されたそれは結局本当に人形だったようだが、遺体を見たという男だけは、青褪めた顔でずっと「そんなはずない」と言い続けていた。それを見て人々は「あいつは酒を飲み過ぎた」とか「遺体だと思って気が触れている」だとか、そんなことを口にしていたけれど。
「最近ただでさえ色々あるんで……吉砂とかいう盗賊も出ましたし」
「報告は受けている」
「はーん、吉砂のこと知ってるってことは、やっぱ貴方は黒か」
ポケットに手を突っ込んで緑青の顔を覗き込んだ男が、「あ」と声を上げる。
「俺の身分は、そこの尾白書店の店長に聞いてください。犀原緋室ってのがいないかって」
緋室にしてみれば、それは身分証明のようなものだったのだろう。けれど、ある意味逆効果のような気もしてしまい、つい紗々羅は口を挟む。
「犀さん、それ白さんに聞いたら『さあ、そんなのいましたかねえ』って言うと思う」
「あー……言いそう。かといって朔は絶対出てこないぞ、あの引きこもり」
尾白書店の店長である尾白北瑛と、もうひとりの書店員である朔日海萩の顔を思い浮かべて、少しだけ笑ってしまった。彼らはいつだってそんな調子で、ある意味ではここいらの名物のようになっている。
緑青を見れば、彼は何かを考えるかのように口元に握った手を当てている。
「まあそんなことは良いんだ。嬢ちゃんに報告しとかないとと思ってな」
「報告?」
「捩れ花の池の捩れ花に、白い花が咲いてた」
緋室のことばを聞き終えるよりも前に、紗々羅はぱっと身をひるがえす。けれど駆け出そうとしたその足は、肩を掴まれたことで止まってしまった。
「待て、客を置いてどこへ行く」
肩を掴んでいた緑青の顔をぎっと睨んでも、彼は気にした様子はない。緋室の言うことが本当であるのならこんなところで油を売っている暇はないのに、肩を掴んだ手は簡単には外れそうになかった。
客と言っても、緑青の依頼はすでに受けている。そもそも何の話がしたいかも分からない上に、修復にも関係がなさそうなのに、どこが客なのか。
「貴方の依頼は昨日受けましたので、今更何です。緊急事態です、離してください」
「緊急事態?」
答える義理はないが、肩を掴んだ手が答えないと離れそうにもなくて、紗々羅は声を張り上げた。
「白花変種が咲いているかもしれません!」
ようやく緑青の手を振り解いて、店の入り口にかけていた札を引っ掴んで緋室に押し付けてから駆け出した。緋室ならば意図を汲んでくれるだろうという甘えのようなものではあるが、もしそのまま持ち帰っていたのなら、後で書店に顔を出せば良い。
石畳の道を駆けて、山へと続く道へと向かう。そもそも酔っ払いは、どうしてこちら側に足を向けようなどと思ったのだろうか。酔いすぎて家路を見失ったのだとしても、街の人間は緋室のように見回りでもしない限りは捩れ花の池には近寄ろうとはしないというのに。
ざあっと風が吹き抜けていく。潤未の街の名は、この山の名から取られたと聞く。いつもどこかひんやりとした空気の漂う山は、確かにその名が相応しい。
山の手前に広がった池は、その中央に一本の大きな樹が生えている。遺体は――いや、人形は、あの樹にぶら下がっていた。わざわざ池の中へと分け入っていったのか、あるいは。
「ここが、例の池か」
背後で聞こえた声に、張り詰めていた糸が緩みそうになる。結局溜息が出てしまったということは、紗々羅の糸は敗北したということだ。
池の水面は日差しを受け、乱反射した光がちらちらと輝いている。その様子だけならば、普段と何ら変わったところはない。
「付いてきたんですか、暇なんですね」
「今日は非番だ。好きにしていて何か問題が?」
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