誘蛾灯のトロイメライ

捩れ花の池の中央にある樹で、誰かが首を括っていた。
酔っ払いの男の叫びによって集まった人々が翌朝確認してみれば、その遺体はただの球体関節人形であったという。けれど酔っ払いの男だけは青褪めた顔で、「あれは遺体だった」と繰り返す。

そんな事件の起きた翌日、修復師である紗々羅のもとに緑青と名乗る軍人が現れた。
どう見てもランプにしか見えないそれは、緑青が言うには誘蛾灯であるという。その修復を依頼された紗々羅は、奇妙な縁から緑青の調査に巻き込まれる。
彼は言う――「あの首吊りの人形の件は裏があるぞ」と。
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