一人、辺境の地に置いていかれたので、迎えが来るまで生き延びたいと思います

菻莅❝りんり❞

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17 話し合い

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朝の光が差して、今自分のいる場所を認識した途端、目に涙が溢れてきた。
隣で寝ているレイナの泣き声も聞こえる。

「生きていてくれた。生きていて、、くっ」

「・・・っ、うっ、うっ、、リック」

あれが1週間前の事で、今はどうか分からない。でも、元気なリックの姿が見れた。神がリックの味方をしてくれているかも知れない。それだけで希望がある。

セバスが気を利かせたのか、本来起こしにくる時間になっても、セバスは来なかった。

朝食の時間を少し過ぎた辺りで、セバスとサリーが起こしに来た。

支度を済ませ、食堂へ行くと、父上や母上、ジャックとローズも居た。どうやら皆今から朝食のようだ。

「おはようございます、父上、母上。おはよう、ジャック、ローズ」

俺の後にレイナも挨拶をして、父上達も挨拶を返してくれた。

そのあとは黙々と朝食を食べた。本当は、夢の事を話したかったけど、人が多すぎて口には出来なかった。

「父上、母上。レイナにジャックとローズ。そして、セバス、クリス、サリーとリリー。今日の夕食後、時間を開けておいてくれないか」

父上達は察してくれて、頷いてくれた。ただ、クリスとサリーは少し戸惑っていたが、セバスが頷いたので、それに従った。

朝食後は、俺と父上、セバスとクリス、そして、この領主邸の執事長と副執事長のジャンとアレイで、スタンピード対策を話し合い、準備をした。

スタンピードの通り道は、ダクシナだけではない。ここ、ディーガもその一つだ。

だけど、ダクシナから離れたここなら、魔物や魔獣も分散していて討伐しやすくなっているはずだ。

ここより先には、まだいくつか町があるが、直線上には王都がある。だから、少しでも多くの魔物や魔獣をここで討伐しなければいけない。

ダクシナとディーガの騎士と冒険者が居るのだ。午前・午後と2部隊に分ける事が出来る。

ダクシナから持ってきた食材もあるし、ディーガにも備蓄はある。

「すでにスタンピードは起きているはずだ。だとすると、ダクシナからここまで到達するまで、早くても3日後には来るだろう」

俺達は遠回りに遠回りをしてここまで1週間で来た。しかし、魔物達は直線的に、全てを薙ぎ払って走ってくるだろうから、3~5日程でここへ来てしまう。

「冒険者ギルドに協力してもらい、午前と午後の2部隊作ってもらうよう言ってきてくれ。騎士団の団長達にもそのように通達を」

俺の指示にクリスとアレイが動いた。
そうして、1日中スタンピードの対策を建てていた。

レイナや母上も領民達の不安を取り除くために動いてくれている。もちろん、子供達もそれを手伝ってくれている。

皆、いつも以上に働いていた。体を動かしてないと、リックの事が心配で立ち止まりそうだから。

がむしゃらに働いて、ようやく夜になった。
夕食を食べ終わったら約束通り、皆集まった。



「ライル。ジャンとアレイも同席させるが、いいか?」

最後に部屋に入ってきた父上がそう言って、後ろからジャンとアレイが入ってきた。

「あの場に居なかったですけど、大丈夫ですか?」

ジャンとアレイが、俺達の話を信じるかの心配ではない。知らない話をされて疎外感を感じないか心配だった。

「ご配慮、ありがとうございます。大まかな事は旦那様よりお聞きしております」

ジャンが言う旦那様は父上の事だ。ジャンは俺には若と言う。
ジャンとアレイは父上が引退すると同時に、セバスとクリスに後を継がせ、父上についてここへ来るほど、父上に忠誠を誓っている。

何処かの執事長とは大違いだ

「旦那様、何か?」

「ぃ、いや。何でもない」

たまに、セバスは心が読めるんじゃないかと思うほど、的確に突いてくる時がある。

「おほん。ジャン、ここに人が寄らないように通達してくれ」

「はい。少しお待ちを」

そうジャンが言って部屋を出たけど、すぐに戻ってきた。

「若様、通達いたしました。こちらがいいと言うまで誰も来ません」

人払いをしてまで話すのはもちろん、リックの事だ。

「神の慈悲かはわからないが、ここに居る全員は昨日、同じ夢を見た。あの時はリックの姿が見れたことで気が高ぶっていた。だから違和感を違和感とし感じなかったが、今思うと違和感が出てきた。皆はどうだ?」

俺が聞くと、ジャンとアレイ以外は顔を見合わせて首を傾げたり、振ったりしていた。

「何が引っかかったんだ?」

代表して父上が聞いてきた。

「リックの行動だ。あの子は確かにおてん、えっと、やんち、ではなく、え~と」

「お転婆でヤンチャ。好奇心旺盛でいいと思うわよ?身内しかいないのだから」

俺がなんて言えばいいか迷っていると、レイナがそう言い切った。

周りを見れば父上も母上も頷き、子供達は笑いながら「お転婆!」「ヤンチャ!」と言っていた。

セバス達は表情を変えないようにしていたが、リリーだけは少し疲れた顔をしていた。
まぁ、この中ではリリーだけはあの子に振り回されているからな

「おほん。まぁ、皆の認識通りな性格だったけど、あの時のリックの行動は、ちゃんと目的を持って動いていた。不思議な事があったのにもかかわらず、だ」

俺が何を言いたいのか分かった皆は、ハッとした顔をした。

そう、本来のリックは一つの遊びをしていても、ジャックやローズが別の遊びをしていれば、そっちに興味を持ち、遊んでいたオモチャを片付けようとすると「遊ぶから片付けないで」と言って、メイド達を困らせるくらい、あっちこっちと目移りするの子なのだ。

「それに最初の方。リックは何か言っていたのに、その声が聞こえなかった。セバスを見たけど、セバスにも読めなかったらしい」

「はい。口の動きは何となく分かったのですが、阻害されているかのようにその動きを読む事は出来ませんでした」

俺の言葉に、セバスが説明するように話した。
俺も少しは読唇術を使えるが、セバスほどではない。そのセバスが読めなかった。

その事が今のリックの行動に関しているような気がすると、俺は考えている。

「セバスでも読めないとは、リックの行動の秘密はそこにありそうだな」

どうやら、父上も同じ考えのようだった。
しかし、たった一度の夢だけではこれ以上の事は分からない。

子供達が眠そうにしているので、今日の話し合いはこれで終わる事にした。

「もしかしたらまたリックの状況を見せてもらえるかも知れない。後の事はその時でもいいかもしれないな」

と言うことで、晩酌(父上だけ)もそこそこに俺達は眠りにつくことにした。

(願わくば、またリックの事を見れますように)
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