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今丘の上にいるのは、ドラグ国から

父上と母様、アッシュ兄上とエレーナ姉上、リード兄上とセレナ姉様、それぞれの侍従、侍女。そこにルージュにジュジュとシュシュだ。

ラビー国から

国王陛下と外交大臣家族。さすがネズミ獣人、大家族だった。エミル含めて16兄弟(姉妹)で上が18歳から下が3歳だ。

本当は学園に通っていない子供達は、留守番させるつもりだったらしい。それもそうだ、人一人の、しかも姉の死を見ることになるんだ。

理解出来る出来ないにかかわらず、ラット大臣は今回の事を子供達に説明した。その際、エミルが死ぬことも伝えたようだ。

それでも、幼い子供達はついていくと言ったらしい。さすがに5歳以下の子供達は理解はしていなかったけど、皆が行くなら行くと騒いだらしい。

「姉様達に連れられて、こんなところまで来たけど、陛下やお父様達だけでなく、ドラグ国の陛下達まで。なに?あっ、もしかして、こっそりと番式でもするの?私達まだ、12歳よ?もう恥ずかしい」

体をくねくねさせながら、花畑発言をした。いくら番でも、これにはドン引きした。周りの人達もドン引きだ。

番式とは、結婚式の事。エミルが言うように、12歳は早い。というか、いくら父上達が許可しても出来ない。俺だけはやろうと思えば出来なくもない。でも普通は、18歳以上から番式は出来る。

つまり、老化が止まれば番式が出来る。
老化が止まる=成熟になるからだ。

むかーーーーしは、老化が止まれば成人だった。その名残で、老化が止まれば番式が出来る。今は竜人、獣人関係なく100歳で成人となる。

「エミル嬢。あなたは俺の番と言うことで、邪神に目をつけられてしまった。申し訳ない。ラビー国国王陛下、並びにラット大臣とそのご家族も、巻き込んでしまい、申し訳ありませんでした」

最初にエミルに頭を下げ、次にラビー国の陛下とエミルの家族に頭を下げた。
俺に続き、父上達も王族としてではなく、一親として、兄姉として一緒に頭を下げてくれた。

「ルイス殿下、それにドラグ国王達も、どうか頭をあげてくれ。一国の王としては、そちらに被害を訴えるなりしなければいけないのだろうが、事は神が関わっている。なれば、どうして責められようか。わが国も、ドラグ国も神の諍いに巻き込まれたに過ぎない」

ラビー国の国王の言葉に、父上が言葉を返した。

「寛大なお心遣い、感謝します。ですが、お金で解決と言うわけではないですが、ラビー国とラット大臣家には、慰謝料をお送りいたしたく思います。ドラグ国としてのけじめとして」

「・・そうですね。国同士としては、それが落としどころですか。では、ありがたく受け取らせていただきます」

あちらで、国同士の話し合いが行われていた時。
俺の方は言うと、

『いいか、ルイス。一回限りの破邪の魔法を授ける。それがあれば、もしも邪神が表に出てきても倒せる。だが、授けられるのも一回だけ。外すなよ』

『ルイス君、お姉ちゃんがまた迷惑かけてごめんね。こちらでもサポートするから、思いっきりやっちゃって!』

『娘がご迷惑をおかけしました。しかも、一度ならず二度も。もう本当になんとお詫びしていいのか。ごめんなさい』

『孫は今、罰をうけている。むしがいいかもしれんが、それで許してもらえんかの?何だかんだと甘やかして育てたワタシ達のせいだ。本当に申し訳ない』

頭の中が賑やかだった。頭の中に直接声が響いているので、若干頭痛がする。

(いっぺんに話すの止めてもらっていいですか?頭痛がするので)

『おお、すまん』

いっぺんに話すなと言ったからか、代表してこの世界の神様が謝った。

(わかってくれたならいいです。それで?破邪の魔法だっけ?ありがたいけど、どうやって使うの?)

『武器や攻撃魔法に、破邪の魔法を重ねるだけでいい。さっきも言ったが、授けるのも使うのも一回だけだ。慎重にな』

(わかった、ありがとう。そして、妹神様のえーと、『リーネよ』あっ、すみません。リーネ様とそのご家族ですか?神様なのに、わざわざ一人の人間、、今は獣人か。獣人のために謝りに来るなんて、姉神様は家族に恵まれているんですね。リーネ様や皆様はまともなのに、何で姉神様だけあんなんだったんですかね?すでに罰を受けているのなら、俺はもういいですよ。だけど、完全にとばっちりを受けたエミル嬢の家族には、何かしらのお詫びはしてください。それで、本当にチャラです)

『わかったわ。ルイス君がいいこで良かった』

いいこって。まぁ神様達にしてみれば、お祖父様ですら、“いいこ”になりそうだけどね。

『ルイス君?どんな世界でも、女性の年齢に触れるのはタブーよ?』

「はい!すみませんでした!」

ついつい、垂直に頭を下げて謝ってしまい、周りの皆を驚かせてしまった。

「ル、ルイ?どうしたの」

「え?あっ、な、何でもないよ。うん、何でもない。気にしないで、セレナ姉様」

俺は一度深呼吸をして、エミルに向き直った。
どうやら、あれから自分の世界に入っていたらしく、周りの状況を無視して、なにやら独り言を言っていた。そんな、エミルの意識をこっちに向けるため、声をかけた。

「エミル嬢。少し、話をしようか」

俺の声に反応して、独り言を止めたエミルが、俺を見た。

「番式の話?なになに?」

「一旦番式から離れようか?そうだね、エミル嬢は何か好きなものはある?俺は、、」

何気なく話ながら、少しずつエミルに向かって歩き出す。エミルも最初は戸惑っていたけど、話すうちにエミルの方からも、質問をするようになった。
そして、エミルの目の前に来た。

「この短時間で、エミル嬢の事が少しはわかった。だけど、やっぱりそのままのエミル嬢では、王族の番にはふさわしくない。残念だけどね」

「はあ?王族の番ってなに?私はルイスの番でしょう?“何をしようと番なことには変わりはない。受け入れろ”」

「姉神様のユーリ様は、ご家族が罰を与えたと言っていた。なんで、関係ないエミル嬢を巻き込んだ。そのせいで、多くの人が悲しむことになる。あんたも元は人を導く神様だったんじゃないのか?まだ良心が残ってるんならエミル嬢を解放しろ」

「“私は多くの人の歴史を見てきた。どの時代の人も皆同じ。愚か者共ばかりだ。同じような失敗を繰り返す。それでも、私が落ちずにすんだのは、テオの存在があったから。だけど、あの女は、ユーリは私からテオを奪った!だから、お前から大切な番を奪うんだ!お前からあの幸せな時間を奪うんだ!”」

『なるほど。時と運命の女神か。ここより先の未来で、ルイスとその番の幸せな時間軸視たのか。だけど、ユーリへの憎しみから、ルイスのその幸せを奪う為に時間を遡ったのか』

神様の言葉に、愕然とした。エミルと幸せになる未来があったと言うことは、本来のエミルの性格はこんなんじゃなかったということ。

「八つ当たりも大概にしろ。俺達はあんたら神様の人形じゃない。俺達の人生を、だたの人形遊びのように弄んでじゃないぞ」

悔しくて、うつむき拳を握りしめた。誰に言うでもなく小さく呟いた。

天を仰ぎ深呼吸して、そっとエミルを抱き締めた。その手には、隠し持っていたナイフを持って
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