上 下
36 / 45

34 学園へ

しおりを挟む
月日は流れて、4年。

この世界では、12歳になると学園に通うことになる。しかも、全ての国からだ。

学園があるのは、ドラグ国とビースク国の国境の街。しかも、全ての国から王族や特権階級、一般人までの12歳~18歳までが通うため、街全体が学園と言っても過言ではない。

そして、各国でお金を出しあって運営している為学費は無料。

王族や特権階級の人が通う学園と一般人が通う学園。そして、学園の近くにそれぞれの寮。
それから、カフェなどの飲食店や雑貨屋などのお店も立ち並んでいる。

一足先に学園に行っている兄姉達に続き、今年の6月から俺も学園に通う年になった。

しかし、一月前の俺の誕生日の朝。目が覚めた時にカチッと言う音が体から聞こえた。

最初は寝ぼけていたのもあり、体の関節でも鳴ったのかと思ったけど、頭が覚醒するにしたがい音の正体に気付き、絶望した。

成長期前に老化が止まった。そう、カチッという音はその音だったのだ。

ルージュ達が部屋に来た時、絶望にうちひしがれている俺に驚き、その理由を知るとなんとも言えない顔になった。

俺が父上のような高身長に憧れていたのを知っていたからだ。俺は絶望の中、皆のいる食堂に向かった。

俺が浮かない顔をしているのを心配した父上と母様がルージュ達を見た。

そしてルージュが説明中も、改めて突き付けられる現実に項垂れていた。

「ルイ。そう落ち込むな。晩成型だと思えば、、あー、すまん。言葉が見つからない」

俺が涙目で父上を睨むと、口ごもった。
晩成型?晩成型にも程がある!

知識スキルで調べると、異常者は一度、150歳前後で約5~10年間だけ時間が通常に進み、その後はまた老化が止まり、ゆっくりと時間が進むことになるらしい。

一月の間にどうにか気持ちを浮上させ、学園に向かった。
学園のある街まではルージュに運んでもらい、そのままルージュ達は、俺の護衛を兼ねてとどまることになる。

街の関門を通ってから、学園の寮へ向かった。寮の前には兄達が居た。
余裕を持って、入学式の3日前に来たのでそれ程混雑はしていなかった。

「ルイ、お疲れ。中に案内するよ」

笑顔で俺を迎えてくれて、アッシュ兄上が先頭に、寮を案内してくれた。

一般棟の寮は、学年ごとに寮の部屋が決められるが、ここ王族や特権階級の寮は、王族と特権階級に部屋が分かれ、王族は国ごとに、ワンフロアを与えられている。

「右が僕達、左がレーナ達が使っている。ルイの部屋は3つ先の部屋だよ。ルージュ達はそこから3つ先の部屋ね」

アッシュ兄上に案内され部屋に入ると、お城の部屋より少し狭いけど、生活するには十分な広さの部屋だった。

そして、この部屋には侍従部屋はない。だからルージュ達侍従には、部屋が別に用意されていた。

その日の夕食は、ワンフロア内の食堂でとった。

「そういえば、兄上達が番を見つけたと聞いたんだけど、どんな人達なの?父上も母様も教えてくれなくて」

そう、アッシュ兄上達が番を見つけたと、連絡したのは知っているけど、竜人なのか獣人なのか、俺には教えてくれなかった。

「仲間はずれは良くないよ」

俺が拗ねたように言うと、一瞬キョトンとした後、苦笑して

「別に仲間はずれにしたつもりはないよ。別に父上達に口止めもしてないしね。たぶん、先入観無しでルイに見てもらいたかったんじゃないかな?明日、紹介するね」

その後は他愛もない話をして、久しぶりの再会はお開きになった。

翌日のお昼過ぎに、約束通りアッシュ兄上達はそれぞれの番を紹介してくれた。

まずは、アッシュ兄上。
アッシュ兄上の番は、ラビー王国のお姫様。ピンクの髪に、真っ白な垂れ耳が可愛い獣人だった。

エレーナ姉上の番はビースク国の侍従の狐獣人の男性。しかし、格好はスレンダーなドレスを着た水色の長髪の美人。

今では完全に男装の麗人と化したレーナ姉上に、ドレス姿の美人な男性。完全に男女逆転した番だった。

リード兄上とセレナ姉様は揃って一般の双子の竜人の男女。どちらも騎士希望の有望株らしい。

リード兄上の番は、茶色の髪をポニテにしている美人な女性で

セレナ姉様の番は、茶色の短髪の格好いい男性だった。

自己紹介をした後は、少しの間お茶をしてから、お邪魔虫の俺は席を立った。

幸せそうな兄姉達を見て、まだ見ぬ番に思いをはせた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生して異世界の第7王子に生まれ変わったが、魔力が0で無能者と言われ、僻地に追放されたので自由に生きる。

黒ハット
ファンタジー
【完結】ヤクザだった大宅宗一35歳は死んで記憶を持ったまま異世界の第7王子に転生する。魔力が0で魔法を使えないので、無能者と言われて王族の籍を抜かれ僻地の領主に追放される。魔法を使える事が分かって2回目の人生は前世の知識と魔法を使って領地を発展させながら自由に生きるつもりだったが、波乱万丈の人生を送る事になる

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

元外科医の俺が異世界で何が出来るだろうか?~現代医療の技術で異世界チート無双~

冒険者ギルド酒場 チューイ
ファンタジー
魔法は奇跡の力。そんな魔法と現在医療の知識と技術を持った俺が異世界でチートする。神奈川県の大和市にある冒険者ギルド酒場の冒険者タカミの話を小説にしてみました。  俺の名前は、加山タカミ。48歳独身。現在、救命救急の医師として現役バリバリ最前線で馬車馬のごとく働いている。俺の両親は、俺が幼いころバスの転落事故で俺をかばって亡くなった。その時の無念を糧に猛勉強して医師になった。俺を育ててくれた、ばーちゃんとじーちゃんも既に亡くなってしまっている。つまり、俺は天涯孤独なわけだ。職場でも患者第一主義で同僚との付き合いは仕事以外にほとんどなかった。しかし、医師としての技量は他の医師と比較しても評価は高い。別に自分以外の人が嫌いというわけでもない。つまり、ボッチ時間が長かったのである意味コミ障気味になっている。今日も相変わらず忙しい日常を過ごしている。 そんなある日、俺は一人の少女を庇って事故にあう。そして、気が付いてみれば・・・ 「俺、死んでるじゃん・・・」 目の前に現れたのは結構”チャラ”そうな自称 創造神。彼とのやり取りで俺は異世界に転生する事になった。 新たな家族と仲間と出会い、翻弄しながら異世界での生活を始める。しかし、医療水準の低い異世界。俺の新たな運命が始まった。  元外科医の加山タカミが持つ医療知識と技術で本来持つ宿命を異世界で発揮する。自分の宿命とは何か翻弄しながら異世界でチート無双する様子の物語。冒険者ギルド酒場 大和支部の冒険者の英雄譚。

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

全能で楽しく公爵家!!

山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。 未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう! 転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。 スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。 ※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。 ※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

処理中です...