上 下
12 / 45

12 ジュジュとシュシュの処遇

しおりを挟む
「俺の意見を聞いてくれるのなら、ジュジュはそのまま俺の侍従に、そして、シュシュも俺に預けてください」

父上は険しい顔をして、

「ジュジュはいい。けど、シュシュはダメだ。あれは罪を犯した。罰せねばならない」

やっぱり簡単にはうなずいてくれないか。でも、

「その罰の為に俺に預けほしいのです。シュシュはジュジュが大切で罪を犯した。話せばもう俺の命は狙わないと思う」

父上は険しい顔のままだし、母様達もいい顔をしてない。俺はルージュを見て

「ルージュ。ジュジュとルージュは番だよね?だから、ジュジュは希望の第1から、ルージュのいる俺の侍従に希望を変えた。違う?」

ルージュは目を見開いて驚いている。当たり前だ。二人は番であることを俺に隠していたから。でも、

「二人の様子を間近で見てるんだよ?しかも、居住区の使用人達は番同士でイチャイチャしてるし。父上達の目がないからって、少し仕事をサボりすぎだと思う。だから、なんとなく二人は番なんだなってわかった。でも番なのに、サボらずにちゃんとお仕事してるから偉いよね」

ルージュは真っ赤になって、口をパクパクしている。

俺が使用人のサボりをチクると、母様の目がキランっと光った。耳もピクピクしている。

番のいない使用人の負担とストレスもこれで軽くなるかな?ごめんね、もう少し早くチクれば良かったね。

「なので、ジュジュはそのまま俺の侍従に留め置きたい。それに、護衛騎士や巡回騎士の方が人気で、侍従って不人気でしょう?今だって俺の侍従、ルージュとジュジュの二人だけだし。だからルージュとジュジュに揃ってお休みもあげたいし、シュシュの罰は俺が100歳になるまで休み無しの俺の侍従。いいでしょう?」

「なんで100歳なんだ?」

父上は、俺の100歳までという言葉に疑問を投げ掛けた。

「100歳までに番が見つからなかったら、番探しの旅に出ようと思って。天啓で番がもういることは分かっているからね。その頃にはルージュ達だって結婚して子供もいるだろうから俺付きから外れてるだろうし」

それに、それだけの時間があれば強くなれるだろうから1人で旅に出ても大丈夫でしょう!

「そんな、俺は一生ルイス殿下の侍従です!」

ルージュは声を張り上げて叫んだ。

「うん、ありがとう。その気持ちだけ受け取るよ。俺の侍従がルージュで良かった。ジュジュはたぶん、侍従としてより護衛として俺についているんだと今ならわかるよ」

だからこそあの固さだったんだろうな。真面目かって!

元々第1が希望だったんだ、根っからの騎士だったんだろう。それを番が侍従だからって畑違いの侍従になるなんて、ジュジュの愛は重いな。

「ルイの意志は固いようだ。わかった、ジュジュはそのまま、シュシュをルイスの侍従とする。しかし、暫くはシュシュには監視を付ける。それでいいな」

「うん。父上、ありがとう」

父上はやれやれと呆れたように苦笑して、母様はなにやらブツブツと呟いていた。シュシュの事は父上の判断に任せ、居住区の使用人達をどうするか考えているようだ。

セレナ姉様とレーナ姉上は心配そうに俺を見ていて、アッシュ兄上は、父上に監視の役目を自分が請け負うと言っていて、リード兄上はルージュをからかっていた。リード兄上、やめてあげて

すると、緊張感もなくなった部屋に俺のお腹がなった。

朝から何も食べてないので仕方ない。話が終わるまで鳴らなかったお腹は空気が読めるようだ。

「父上、さすがにお腹空きました」

俺がお腹を押さえて言うと、どっと笑いがおきた。

「そうだな。ルイは朝から何も食べてないものな。ルージュ、厨房へ行き料理を持ってきてくれ」

「かしこまりました」

ルージュは笑顔で消えていった。

ルージュが料理を持ってきて、俺が食べ終わるのを見届けて、家族は俺の部屋を後にした。

「ルージュ、お休みだったのに仕事させてごめんね。それに、ジュジュもすぐに出てこれそうで良かったね」

俺はルージュが用意してくれたお茶を飲みながら言った。ルージュは俺に背を向けた状態で

「陛下がお連れした時に、血まみれの殿下を見て心臓が止まるかと思いました。ジュジュも侍従部屋で、まるで死んだように深く眠っているし。犯人がシュシュだと知って、殴りたくなりました。俺の大切な殿下やジュジュを傷つけてって。本当に良かった。殿下が無事で、本当に」

最後の方は泣き声だった。

「うん、心配させてごめんね」

ルージュは涙を拭くように、腕で目をこすり俺の方に向き直ると、

「本当ですよ!しかもシュシュを侍従?正気ですか?俺は反対です!」

うん。ルージュはこうでないとね。ルージュにシリアスは似合わない。
俺がニコニコしていると

「何笑ってるんですか?シュシュの監視、俺も参加させてもらいます。ええ、休み返上で監視してやりますよ」

「それだとシュシュを侍従にする意味ないよ。大丈夫だよ。俺を信じて」

それから2日後、ジュジュが戻ってきた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

異世界に転生した俺は農業指導員だった知識と魔法を使い弱小貴族から気が付けば大陸1の農業王国を興していた。

黒ハット
ファンタジー
 前世では日本で農業指導員として暮らしていたが国際協力員として後進国で農業の指導をしている時に、反政府の武装組織に拳銃で撃たれて35歳で殺されたが、魔法のある異世界に転生し、15歳の時に記憶がよみがえり、前世の農業指導員の知識と魔法を使い弱小貴族から成りあがり、乱世の世を戦い抜き大陸1の農業王国を興す。

スキル【僕だけの農場】はチートでした~辺境領地を世界で一番住みやすい国にします~

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
旧題:スキル【僕だけの農場】はチートでした なのでお父様の領地を改造していきます!! 僕は異世界転生してしまう 大好きな農場ゲームで、やっと大好きな女の子と結婚まで行ったら過労で死んでしまった 仕事とゲームで過労になってしまったようだ とても可哀そうだと神様が僕だけの農場というスキル、チートを授けてくれた 転生先は貴族と恵まれていると思ったら砂漠と海の領地で作物も育たないダメな領地だった 住民はとてもいい人達で両親もいい人、僕はこの領地をチートの力で一番にしてみせる ◇ HOTランキング一位獲得! 皆さま本当にありがとうございます! 無事に書籍化となり絶賛発売中です よかったら手に取っていただけると嬉しいです これからも日々勉強していきたいと思います ◇ 僕だけの農場二巻発売ということで少しだけウィンたちが前へと進むこととなりました 毎日投稿とはいきませんが少しずつ進んでいきます

末っ子神様の世界に転生した何の取り柄のない平凡な俺がちょっとだけ神様の手伝いをする

チョッキリ
ファンタジー
小説で、転生者や転移者が料理する飯テロや内政チートがよく書かれてるが、世の中そんなスーパーな人は一握りしかいない。凝った料理なんてそれこそ好きだから作れるのであって、普通は混ぜて焼くだけだ。食べ物は惣菜ですませ、流されるように生きてきた俺には、無理な事。

平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。

モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。 日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。 今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。 そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。 特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。

処理中です...