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11 危機一髪
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一先ず、この狼の魔獣の事を調べよう。
ーーーー
狼の魔獣 コヨーテ
とても足の速い魔獣。
速いだけでなく、俊敏性にも優れている。
約10~15匹の群れで動く。
偵察隊の2~3匹で、相手を群れの中心まで追い詰める。
希に風魔法を使うコヨーテもいる。
ーーーー
つまりこの3匹は偵察隊。群れの中心まで追い詰めるってことは、今攻撃されても、殺される事はないと言うことかな?死なない程度にはなぶられそうだけど
コヨーテが姿勢を低くして、ゆっくりと近づいてくる。
(ダメ元で、コヨーテの下に土魔法で穴を空けるか?でも、俊敏性もあるから確率は半々かな)
こちらは動けないのに、コヨーテはその距離を縮めてくる。あまり迷っている時間はない。
俺は、コヨーテに気づかれないように尻尾を地面につけ、尻尾を通して魔法を使った。
すると、コヨーテの下に穴が空いた。俊敏性で躱されるのを見越して、少し大きめの穴を空けた。
本能で躱そうとしたコヨーテだけど、穴が大きかったため、そのままキャインと情けない鳴き声をあげて落ちた。
そこまで深さはないので、俺は急いでその場を離れた。
しかし、どうやらすでに囲まれていたらしく、木陰に隠れていたコヨーテが一斉に襲いかかってきた。
森で火魔法は厳禁。手っ取り早く使おうとして、慌てて風魔法に変えた。手を翳し目標を定め、ウインドカッターを進行方向に放った。2匹に当たった。
全てを相手に出来るほど、今の俺は強くない。
いくら、竜人のチートを引き継いでいても、いきなり実戦ではそんなものだ。
進行方向以外からの攻撃を受けても、走る事をやめなかった。
尻尾も使って、後ろを穴だらけしながらも、走った。
ふと、お城の位置を確認するために顔をあげたとき、何かにつまずいて転んでしまった。
その隙をコヨーテが見逃すはずはなく、穴に落ちることのなかった残りのコヨーテが一斉に飛びかかってきた。
ここまでかと、飛びかかってくるコヨーテを見ていると、一陣の風が俺の上を通りすぎた。
すると、飛びかかってきていたコヨーテが全て吹き飛び、絶命した。
呆然とそれを見ていたら、突然陰りだした。
そのまま上を見ると、真っ赤な竜がいた。
その竜を見て「ああ、父上だ」とわかった。
父上はそのまま降りてきて、降りてくる途中で人型に戻り、俺の前に降り立った。
場違いにも俺は、すごい身体能力だなと感心していた。
「ルイ、大丈夫か!ああ、ひどい怪我だ。すぐに医術長に視てもらおう!恐かっただろう?助けに来るのが遅くなってすまなかった」
俺は呆然と父上が来るのを見ていたが、父上の温もりを感じた途端、涙が溢れた。
「ち、父上。こわ、こわかった。恐かった」
身体の精神年齢に引っ張られてか、俺は父上にすがり付いて泣きじゃくった。
父上は俺をそっと抱き締め、大丈夫、もう大丈夫だ。と背中を擦ってくれた。
そのまま泣き疲れて俺は眠った。
目を覚ましたのは、太陽が傾き始めた頃だった。
体を起こそうとして、痛みでまたベッドに倒れこんだ。
自分の体を見ると、包帯だらけだった。
俺は痛みを我慢して体を起こし、ベッドの横に設置してある台から水を取り、飲んだ。
喉の乾きを潤したあと、
「誰かいないの?」
と声をかけると、隣の侍従部屋からドタバタと音がしたと思ったら、ルージュがでてきた。
「あれ?ルージュ、お休みだったんじゃ」
ないの?と続けようとしたら、ルージュが消えた。たぶん父上達に知らせに言ったんだろう。
ものくすごく泣きそうな顔をしていたな、ルージュ。
しかし、問題はジュジュとシュシュか。父上、俺のお願い、聞いてくれるかな?
ルージュが消えて、すぐに父上達が部屋に現れた。医術長も一緒だ。
「ルイス殿下、こちらをお飲みください。怪我を治すポーションです。殿下が眠っておられたので、手当てだけしか出来ませんでしたからね。頑張りましたね」
俺はポーションを受け取り、飲んだ。
「うっ、苦い」
「良薬口に苦しです。ほら、全て飲まないと治りませんよ」
俺はポーションをしばらく睨み付けてから、鼻をつまみ、飲み干した。
「う〰️、苦味があとを引く」
しかし体の痛みは引いたので、怪我は治ったのだろう。医術長が俺に巻かれている包帯を取った。
「もう大丈夫そうですね」
かなり深そうだった傷も無くなっていた。
「医術長、ありがとう」
「いえ、これがお仕事ですから。でもご無事で良かったです」
医術長は少し驚いたあと、ふっと笑った。
そして、医術長は部屋を出た。
そのあとは、家族に揉みくちゃくにされた。
母様とセレナ姉様には泣かれ、レーナ姉上も涙を流しなら俺の無事を喜んだ。アッシュ兄上とリード兄上には頭をくしゃくしゃに撫でられた。
父上も俺の無事と怪我が治ったことを喜びながら、家族が俺を揉みくちゃにするのを見ていた。
家族が落ち着いたあと、俺はジュジュ達の事を父上に聞いた。
「あの父上。ジュジュ達はどうしてますか」
家族は俺の部屋で寛いでいた。俺がジュジュ達の事を聞くと、途端に表情を固くした。
ルージュも動揺して、カートの上に食器を落とした。割れた音はしなかったから割れてはいないだろう。
「今は牢にいれている。ジュジュに関しては、眠らされていただけだから、すぐに出てこれるだろうが。ルイはどうしたい?ジュジュを外すか」
俺は、ルージュを見た。顔色が悪し、手も若干震えている。
二人の事は自分の侍従なのでよく見ている。ジュジュに関しても、俺は苦手意識があったけど、ルージュの次がジュジュなのでよく目にする。
だから、なんとなくだけどジュジュが俺の侍従になった訳がわかる。俺は父上に目線を戻した。
そして、父上が俺にどうしたいか意見を聞いたことを利用しようと思った。
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狼の魔獣 コヨーテ
とても足の速い魔獣。
速いだけでなく、俊敏性にも優れている。
約10~15匹の群れで動く。
偵察隊の2~3匹で、相手を群れの中心まで追い詰める。
希に風魔法を使うコヨーテもいる。
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つまりこの3匹は偵察隊。群れの中心まで追い詰めるってことは、今攻撃されても、殺される事はないと言うことかな?死なない程度にはなぶられそうだけど
コヨーテが姿勢を低くして、ゆっくりと近づいてくる。
(ダメ元で、コヨーテの下に土魔法で穴を空けるか?でも、俊敏性もあるから確率は半々かな)
こちらは動けないのに、コヨーテはその距離を縮めてくる。あまり迷っている時間はない。
俺は、コヨーテに気づかれないように尻尾を地面につけ、尻尾を通して魔法を使った。
すると、コヨーテの下に穴が空いた。俊敏性で躱されるのを見越して、少し大きめの穴を空けた。
本能で躱そうとしたコヨーテだけど、穴が大きかったため、そのままキャインと情けない鳴き声をあげて落ちた。
そこまで深さはないので、俺は急いでその場を離れた。
しかし、どうやらすでに囲まれていたらしく、木陰に隠れていたコヨーテが一斉に襲いかかってきた。
森で火魔法は厳禁。手っ取り早く使おうとして、慌てて風魔法に変えた。手を翳し目標を定め、ウインドカッターを進行方向に放った。2匹に当たった。
全てを相手に出来るほど、今の俺は強くない。
いくら、竜人のチートを引き継いでいても、いきなり実戦ではそんなものだ。
進行方向以外からの攻撃を受けても、走る事をやめなかった。
尻尾も使って、後ろを穴だらけしながらも、走った。
ふと、お城の位置を確認するために顔をあげたとき、何かにつまずいて転んでしまった。
その隙をコヨーテが見逃すはずはなく、穴に落ちることのなかった残りのコヨーテが一斉に飛びかかってきた。
ここまでかと、飛びかかってくるコヨーテを見ていると、一陣の風が俺の上を通りすぎた。
すると、飛びかかってきていたコヨーテが全て吹き飛び、絶命した。
呆然とそれを見ていたら、突然陰りだした。
そのまま上を見ると、真っ赤な竜がいた。
その竜を見て「ああ、父上だ」とわかった。
父上はそのまま降りてきて、降りてくる途中で人型に戻り、俺の前に降り立った。
場違いにも俺は、すごい身体能力だなと感心していた。
「ルイ、大丈夫か!ああ、ひどい怪我だ。すぐに医術長に視てもらおう!恐かっただろう?助けに来るのが遅くなってすまなかった」
俺は呆然と父上が来るのを見ていたが、父上の温もりを感じた途端、涙が溢れた。
「ち、父上。こわ、こわかった。恐かった」
身体の精神年齢に引っ張られてか、俺は父上にすがり付いて泣きじゃくった。
父上は俺をそっと抱き締め、大丈夫、もう大丈夫だ。と背中を擦ってくれた。
そのまま泣き疲れて俺は眠った。
目を覚ましたのは、太陽が傾き始めた頃だった。
体を起こそうとして、痛みでまたベッドに倒れこんだ。
自分の体を見ると、包帯だらけだった。
俺は痛みを我慢して体を起こし、ベッドの横に設置してある台から水を取り、飲んだ。
喉の乾きを潤したあと、
「誰かいないの?」
と声をかけると、隣の侍従部屋からドタバタと音がしたと思ったら、ルージュがでてきた。
「あれ?ルージュ、お休みだったんじゃ」
ないの?と続けようとしたら、ルージュが消えた。たぶん父上達に知らせに言ったんだろう。
ものくすごく泣きそうな顔をしていたな、ルージュ。
しかし、問題はジュジュとシュシュか。父上、俺のお願い、聞いてくれるかな?
ルージュが消えて、すぐに父上達が部屋に現れた。医術長も一緒だ。
「ルイス殿下、こちらをお飲みください。怪我を治すポーションです。殿下が眠っておられたので、手当てだけしか出来ませんでしたからね。頑張りましたね」
俺はポーションを受け取り、飲んだ。
「うっ、苦い」
「良薬口に苦しです。ほら、全て飲まないと治りませんよ」
俺はポーションをしばらく睨み付けてから、鼻をつまみ、飲み干した。
「う〰️、苦味があとを引く」
しかし体の痛みは引いたので、怪我は治ったのだろう。医術長が俺に巻かれている包帯を取った。
「もう大丈夫そうですね」
かなり深そうだった傷も無くなっていた。
「医術長、ありがとう」
「いえ、これがお仕事ですから。でもご無事で良かったです」
医術長は少し驚いたあと、ふっと笑った。
そして、医術長は部屋を出た。
そのあとは、家族に揉みくちゃくにされた。
母様とセレナ姉様には泣かれ、レーナ姉上も涙を流しなら俺の無事を喜んだ。アッシュ兄上とリード兄上には頭をくしゃくしゃに撫でられた。
父上も俺の無事と怪我が治ったことを喜びながら、家族が俺を揉みくちゃにするのを見ていた。
家族が落ち着いたあと、俺はジュジュ達の事を父上に聞いた。
「あの父上。ジュジュ達はどうしてますか」
家族は俺の部屋で寛いでいた。俺がジュジュ達の事を聞くと、途端に表情を固くした。
ルージュも動揺して、カートの上に食器を落とした。割れた音はしなかったから割れてはいないだろう。
「今は牢にいれている。ジュジュに関しては、眠らされていただけだから、すぐに出てこれるだろうが。ルイはどうしたい?ジュジュを外すか」
俺は、ルージュを見た。顔色が悪し、手も若干震えている。
二人の事は自分の侍従なのでよく見ている。ジュジュに関しても、俺は苦手意識があったけど、ルージュの次がジュジュなのでよく目にする。
だから、なんとなくだけどジュジュが俺の侍従になった訳がわかる。俺は父上に目線を戻した。
そして、父上が俺にどうしたいか意見を聞いたことを利用しようと思った。
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